歯科技工士の問題は、歯科保険点数の仕組だった!解決策は?

◆ 歯科技工士の厳しい実態

  1. 卒後5年以内の若い歯科技工士の離職率が約8割と異常な状態。
  2. その原因は歯科技工士の異常な超長時間労働・低賃金が原因。

 

◆ 歯科技工士のブラック産業化の原因

ハッキリしていることは、歯科技工料金が異常な低料金であり、適正な価格となっていないことが歯科技工問題を引き起こしている根幹であることだ。

しかし、低料金に至る理由を個々個別の問題と考える場合が多い。

例えば、「大手技工所がダンピングを推進している」や「自由競争だから仕方がない」、「技術を習得すればよい」、「歯医者が悪い」など様々だ。

このように、低料金に至る理由を上げるとキリがない。だが、簡単に2つに絞るとしたら

  • 技工所間のダンピング競争
  • 歯科医からの値下げ圧力

という2つが絶妙にかみ合うことにより、ダンピングに歯止めが効かない状況となっているということであろう。

 

◆根本的な問題は「仕組み」

そして、歯科医と外注技工の歯科技工士(所)との取引は「自由競争・市場価格」ということがよく聞かれる。

私は、この「自由競争・市場価格」という言葉を聞くたびに腹が立つ。理由は口にする者のほとんどが自由競争・市場原理の下で商売を行ったことがない者たちだからだ。

経験もない者がイメージで議論するのでチンプンカンプンな話になる。私たちの様に実際に様々な商売を自由競争・市場原理の下で行えば、簡単に「そもそもの仕組み上の欠陥」を感じることができる。

だが、なかなかそうもいかないと思うので、記事にして伝えたい。根本は仕組み上の問題だ。

 

歯科技工料金は下がるマインドにしか働かない

そもそも保険でおこなう歯科治療は、公的保険制度のもと保険点数で決められており、全国一律の公定価格である。

そのため、入れ歯や冠(被せ物)なども保険治療でおこなえば、患者さんの窓口負担も全国一律である。

では、なぜ公定価格であるはずの歯科医療の技工料金はダンピング競争や、値下げ圧力といった問題が生じ、適正価格の義歯安物義歯が存在するのか?

その理由は、公定価格として入るのは歯科診療所までで、そこから技工所に委託する場合は市場価格(歯科医と歯科技工士(所)の間で自由に決めることができる価格)となる仕組みであるからである。

歯科技工料金が決定するまでの流れはこんな感じ

 

  • BtoG=企業対公的機関の取引
  • BtoB=企業対企業の取引
  • BtoC=企業対消費者の取引

 

患者さんは、全国一律で同じ保険料、同じ治療費を支払っている。

だが、無理矢理「市場原理」を医療に持ち込むことで、歯科医療の質の担保に必要とされる歯科技工料金を大幅に下回る安物義歯を患者に提供できる仕組みとなっている。

しかし、患者さんからするとこの制度では、知らないところで不当に安い歯科技工物が口に放り込まれているのでたまったものではない。

 

7:3大臣告示

だが、国は1988年に歯科技工料金に関するルールを示している。

歯科技工物の料金は歯科医院に入った点数の7割を技工士。3割を管理料として歯科医院。という技工料金の目安となる73大臣告示」というものを出している。

しかしこの「7:3大臣告示」というものが話をややこしくしているだけのもので、特に法的拘束力もない。そのうえ全くと言って良いほどに機能していない。

「7:3大臣告示」は歯科保険点数の決定要因

また、今ではこの「7:3大臣告示」は、公定価格である保険点数の決定要因となっている。市場価格である技工料金を2年に一度国が調査(技工料調査・非公開)し、その調査結果を基礎資料とし、調査から得た技工料金を7割とするためである。

この仕組みを説明するのは非常に難しい。訳が分からないため、図で示すとこんな感じだ。

 

7:3大臣告示のまとめ

「7:3大臣告示」を含め、歯科の保険点数の決定要因の特徴を簡単にまとめると以下の通りになる。

7:3大臣告示の目的と特徴

➀歯科医から技工士(所)への委託を円滑に実施するため、国として標準的な割合を示したもの

②市場価格である技工料を保険点数の決定要因として参考にしている

  • 上記の①については全く機能していない。7:3ではなく3:7でもおかしくない。
  • ②については、おそらく後付けで無理やり旧厚生省と日本歯科医師会が描いた無理なロジックであろう。

何故こんな「7:3大臣告示」というバカげた方法を実施したのかは、当時のバカ共に聞いてみないと分からないが、少なくとも私は関係ないので、後世にまで迷惑をかけているバカたちであることは自覚していただかないと困る。

7:3大臣告示は長く議論されているので、この大臣告示での解決は不可能であろう。だが、残念ながら現状はこの大臣告示のみが国が示した唯一のルールだ。

 

なので、一応、修正で活用できるものとするのであればこんな感じかな?と思うことや、7:3大臣告示の詳しい説明は別記事で紹介する。

 

 

歯科技工士(所)の仕組上の問題

ここまで書いた中で、7:3大臣告示は全く機能もしていなければ、これから期待でいるものでもないが、唯一のルールであることは確かだ。

そのことも含めて、ここからは本題である仕組上の問題を示したい。

現行システムの特徴・課題

【特徴】

◎市場価格である技工料が基準となり公定価格(保険点数)が決定するというロジック。

◎基本的に技工料、保険点数ともに下がるマインドにしか働かないシステムである。

 

【課題】

◎組織として7:3を守ろうとすることは独占禁止法に抵触するらしい。

◎市場技工価格のみが保険点数決定の数字的根拠とされている。

  • 労働実態(日技の実態調査で把握)は、点数決定要因とは関連性が無い。
  • 技術力や、技工物の質・安全性は、点数決定要因とは関連性が無い。

◎技工料調査は非公開である。(本当にこのシステムなのかは確認できない)

◎技工料金が上がれば、天井なしに点数が上がるシステム。(あまり考えられないが)

 

 

原価計算・積算が基本

現行のシステムに課題があることは明らかだ。だが、具体的にどうしたら良いかと言われると非常に難しい問題である。

多くの方は、どのようにしたら適正価格の技工料が歯科技工士に支払われるようにできるかというテクニカルな話に進みがちだ。(例えば、「7:3大臣告示の遵守」や「歯科技工士による直接請求(公定価格化)」など)

しかし、テクニカルな問題よりもっと根本的問題がある。

 

歯科保険点数の決定プロセス

それは、歯科医療報酬の全ての原資である歯科保険点数の決定プロセスだ。そして、その歯科保険点数の決定プロセスに歯科技工料金は大きく関係していることだ。

そこで、歯科技工料金や歯科保険点数の決定プロセスにおいて、明らかに異常な点を示したい。

 

  • 市場の歯科技工価格が実際に保険点数に反映されているのかを確認できない。
  • 歯科技工士の労働実態が全く反映されていない。
  • 保険点数は公定価格であるにも関わらず、積算により算出されていない。設計労務単価などもない。

 

原価計算や積算がどういったものかを説明する。厚生労働省は歯科技工物はモノであり、モノとして考えている。と明確に説明している。

要するに、歯科技工の歯科医療サービスにおいての位置付けは、サービス業ではなく製造(モノ)という考えであるということだ。(この記事では、歯科技工が医療か製造かといった話は割愛させていただく)

 

歯科技工物(モノ)であれば原価計算や積算

そこで、原価計算や積算というものがどういったものかを簡単に説明する。

 

すべてのモノの価格は積算で決まる

モノの見積もりであったり、公共工事というものの値段はすべてが積算(たし算)で決まる。積算以外で決まるモノは無い。

ここが最も重要なポイントだ。

 

もし、歯科技工に関わる保険点数以外のモノで、積算以外で価格が決定するモノがあれば教えていただきたい。歯科技工は医療だから特別ということではない。薬価も積算で決まる。

現段階で私が必要と考える具体的な方法を簡単に以下に示す。

 

公共工事は積算

分かりやすい比較は公共工事とだ。公共工事はほとんどの場合、一般競争入札によって価格が決定する。

一般競争入札は、最低価格落札方式と総合評価落札方式がある。最低価格落札方式では、国が定めた予定価格の制限の範囲内で最低の価格を もって申込みをした者を落札者とする方式。

国が定めた予定価格は当然、積算によって算出されたものだ。そして、最低価格以下で入札があっても落札されることはない。その理由は、不当に安い価格での落札では質と安全性が担保できないからだ。

 

公共工事

公共工事 農林水産省及び国土交通省(以下「二省」)では、毎年、公共工事に従事する労働者の県別賃金を職種ごとに調査し、その調査結果に基づいて公共工事の積算に用いる「公共工事設計労務単価」を決定しているが、この調査を「公共事業労務費調査」という。

この調査は、調査月に調査対象となった公共工事に従事した建設労働者の賃金について、労働基準法に基づく「賃金台帳」から調査票へ転記することにより賃金の支払い実態を調べるもので、昭和45年から毎年定期的に実施されている。(国土交通省から)

詳しくは国土交通省のホームページを見ればわかる。

 

歯科医療は公益事業

公共工事というよりは、歯科医療は公益性が高いので公益事業といえる。

なので、本来は公共工事と同じく公定価格である歯科保険点数は

①積算によって歯科技工料金が算出され、

②その価格を元に歯科保険点数が決定され、

③適正価格が製作者(歯科技工士)に分配されるようにし、

④実態を把握し、技術継承などを考慮し、積算により技工料を算出する。

というサイクルが必要だ。

何度も言うが、モノの価格は積算でしか算出できない。公共工事に限らず、市販されているペットボトル水でも同じだ。水の原価などは大した額ではない。

  • ペットボトルの容器やキャップ代
  • 容器のラベルやインク代
  • 製造工場や人件費

などを、たし算で算出したのが販売価格だ。例え水道水をペットボトル詰めして販売しようとしても設備投資費はバカにならない。

どれだけ議論してもモノの価格は積算でしか算出できないのだ。

歯科技工価格は引き算

そこで歯科技工価格の決定プロセスを考えていただきたい。何の根拠もなく決定された歯科保険点数から、歯科医の取分が自由に搾取された残りが歯科技工価格となる引き算だ。

こんな算出方法なのは歯科技工だけだ。

そして、この根本的な異常性を理解しないままに、歯科技工は「自由競争」や「市場価格」などという話をするので、全くチンプンカンプンな議論となる。

そもそも積算という価格決定プロセスを理解できなければ話にならない。積算という原理原則があり、はじめて「自由競争」の話ができる。「自由競争」の話はそれからだ。

取引にはルールがある

また、世の中のBtoB(企業対企業の取引)には取引ルールがある。「自由競争」はルールの下での自由競争だ。何でもありということではない。

歯科技工の価格が異常な低価格となるもう一つの要因は、一般的な「自由競争」にはあるはずの取引ルールが無いことだ。

そこで、公共工事と歯科医療との違いを比較する。

歯科保険点数(厚労省) 公共工事(国交省・農水省)

保険点数の決定プロセス

  1. 技工料調査により、市場価格を把握。
  2. 市場技工価格を7割とし、基本資料に。
  3. 管理料3割をプラスし、総合的に判断し保険点数が決定。

【特徴】

  • 積算でない。原価計算をもとにしていない。
  • 技工士の労働実態は反映されていない。
  • 全国一律である。

入札予定価格の決定プロセス

(一般競争入札)

  1. 公共事業労務費調査にて労働実態を把握。
  2. 公共事業設計労務単価の決定。

【特徴】

  • 積算である。原価計算をもとにしている。
  • 下請業者の労働実態が反映されている。
  • 入札予定価格内で条件を満たす一番安い入札額。

委託技工に関わる取引ルール

 

 

  • 特になし(7:3)
  • 罰則:特になし

 

 

 

下請け委託に関わる取引ルール

基本的に書面での契約(建設業法)

  • 丸投げ(一括請負)の禁止
  • 無許可業者への発注禁止
  • 管理者責任、工程管理責任
  • 罰則:あり

3年以下の懲役または300万円以下の罰

質・安全性の向上、担い手不足の解消に資する施策

 

 

 

  • 特になし

 

 

 

質・安全性の向上、担い手不足の解消に資する施策

〇総合評価方式

工期、機能、安全性等の価格以外の要素を総合的に審査し、最も評価の高い者を落札者とする制度。

☆公契約条例

行政からの、適正な委託費→適正な賃金・労働条件→質の高い公共サービスの好循環を生み出す施策

 

次に、公共工事と比較し課題を上げる。

公定価格、決定プロセスの課題
  • 原価計算による積算方式ではない。
  • 労務単価・実態を反映したものとなっていない。
委託に関するルールの課題
  • 委託における取引ルールが全くない。(ルール無き自由競争となっている)
  • 歯科医師、技工士(所)に対してのCSRやコンプライアンスの向上。
  • 重下請構造でないにも関わらず、原材料費の変動費、消費税を転嫁できているとは言えない状況である。
質と安全性の向上に対する課題
  • 公的資金が入っているにも関わらず、最低賃金・最低価格に対する施策はない。
  • 質と安全性の確保・向上に資する施策はない。
  • 担い手不足。技術・技能の継承・発展。に対する持続可能な政策やビジョンがない。

 

取引ルールというと下請法がある。下請法はほとんどの業種に適用され、違反した場合はペナルティーが課せられる。委託技工との比較は以下の通り。

4つの義務(下請法) ほとんどの業種 委託技工
①書面の交付義務 ①②の違反行為には罰則あり。

(50万円以下の罰金)

 

 

 

①~⑮の違反行為があると疑われる場合

  • 報告を求められる。
  • 立入検査に入られる

報告をしない。虚偽の報告をした。

立入検査を拒む、妨げる。

場合(50万円の罰則)

違反事実が認められた場合、指導勧告がなされる場合がある。

勧告は全件公開される。そのことにより、レピュテーション低下

 

 

 

 

 

 

 

無し

②書類の作成・保存義務
③支払期日を定める義務
④遅延利息の支払義務

11の禁止事項

⑤受領拒否
⑥下請代金の支払延長
⑦下請代金の減額
⑧返品
⑨買いたたき
⑩購入・利用強制
⑪報復処置
⑫支払原材料対価の早期決済
⑬割引困難手形の交付
⑭経済上の利益の提供要請
⑮給付内容の変更・やり直し

 

取引ルールが無い

既にお分かりかと思うが、歯科医は建設業で言う「元請け」にあたる位置付けだ。

ただ、建設業と違うのは、基本的に歯科医は直接、歯科技工士に依頼する。建設業の様に多重下請け構造ではない。

にもかかわらず、取引ルールが無いのだ。なので、再製作はタダなのだ。例えば、家が建ってから「なんかイメージと違うから、もう一回やり直して」と頼んでも、タダで再建築されることは無い。職人さんが自腹を切って建直すことも無い。

よく、歯科医師は患者さんと訴訟問題に発展した場合などの責任を負っている。という話を聞くが、これは歯科技工士には全く関係ない。その訴訟は患者さんと歯科医師の間の問題で、その原因が歯科技工士にあるのであれば、歯科医師が技工士を訴えればよいだけの話だ。

そもそも歯科技工士が原因ということすらあり得ない。歯科医師がそこまで強い責任感の持ち主であれば、再生料金くらいはそもそも支払うであろう。

 

 

歯科技工料の積算価格

では、歯科技工価格を積算により算出するといくらになるのかということとなる。

参考にできる資料は少ないが、2005年に日本歯科技工士会の報告にある「歯科技工原価計算要領」で、積算によって歯科技工料金が専門家によって科学的に算出されている。

ちなみに、この調査ではFMCが8,430円と積算されている。様々な意見はあると思うが、科学的にはクラウン1個を作るのに必要な予算は8,430円ということだ。

 

現在の保険点数の構成と内訳

先ずは、現在の歯科保険点数の構成と内訳を以下に示す。

右下の黄色の表は「歯科技工原価計算要領」で、積算によって算出された歯科技工費だ。

 

 

積算により算出した歯科保険点数

では、上記の黄色の表の部分の原価計算により算出された正しい歯科技工料金をもとに、積算により歯科保険点数を算出する。

厚労省が何故かこだわり続ける7:3大臣告示のロジックに従い、上記の図にある

  • インレー複雑(大臼歯パラ)
  • FMC(大臼歯パラ)
  • 硬質レジン前装冠

を、歯科技工量7:管理料3とすると以下のような保険点数となる。

 

積算の歯科技工料金をもとに算出した保険点数の一覧

他の歯科技工関連の保険点数も算出してみると、以下のような保険点数となる。

※厚労省は、「歯科技工価格を基準に保険点数を決定する」というロジックは崩していない。そのため、積算によって算出された技工料をもとに歯科保険点数を決定することは、本来の姿といえる。

というか、この方法以外で歯科保険点数を決定することには何の根拠はない。

 

 

歯科保険点数の決定プロセス

ここまで見てきたように、歯科保険点数は決定プロセスそのものに問題がある。

そして、この決定プロセスにおいて根本的な問題が、歯科技工費が積算によって算出されていないことだ。

異常に安い歯科技工料金は、歯科技工士の卒後5年以内の離職率が約8割であったり、超長時間労働、低賃金といったブラック産業化などの問題を招いている原因だ。

そして、この歯科技工価格の低価格化は、

  • 歯科医師の値下げ圧力
  • 歯科技工所間のダンピング競争
  • その双方の思惑が合致して歯止めが効かなくなった状態

などの理由は当然あるが、根本的な理由は仕組み上の欠陥だ。

「出来る」、「出来ない」は別として、歯科技工価格と歯科保険点数の決定プロセスが以下のような正常な形へと変わらない限りは、日々まじめに技工物の製作に励む歯科技工士が適正な評価を得ることはない。

1、労務単価をもとに積算で算出された歯科技工費の開示

2、積算技工料を基準に歯科補綴関連の点数を決定

3、歯科医から歯科技工士(所)への委託ルールを創設・遵守

4、歯科技工料金の市場価格と実態を調査

5、実態・積算をもとに保険点数を決定、分析、施策の立案

 

厚生労働省の仕事は?

当然、このすべては国(厚生労働省)が行うべきだ。

厚労省は7:3大臣告示からは、新たな施策の立案などハッキリ言って何も仕事をしていない。

それどころか、PDCAサイクル(計画・実行・検証・改善のサイクル)すら実施していない。これだけ歯科技工業界を混乱させたくせに、7:3大臣告示に対する報告・検証なども無い。

適正な歯科保険点数に必要な予算

上記で示した積算の歯科技工料金をもとに算出した保険点数の一覧①~⑨の現在の合計点数は、原価計算に基づく合計点数に占める割合は、平均59%であった。

従って、積算により算出された適正な歯科技工費を基準とする保険点数にはプラス41%が必要ということとなる。

H24年度の歯科医療費は約2.7兆円であり、歯冠修復及び欠損補綴が歯科医療行為に占める割合は40.5%である。

「平成24年社会医療診療行為別調査の概要」について:から

そのため、平成24年度の歯冠修復及び欠損補綴は約1.1兆円であることから、適正な歯科技工費に必要な新たな予算は、概算で約4500億円であると言える。

 

そろそろ歯科技工士は気付き、主張すべき

厚生労働省や歯科医師会は、歯科技工士の過重労働と犠牲のもとに歯科医療が維持されていることを十分に理解している。

歯科技工がブラック産業であることも分かっている。確信犯であることは間違いない。

理不尽な扱いをされ、利用され、全くロジックとして成立しない根拠で原資が決められ、現代の奴隷扱いであるにもかかわらず、

その確信犯へ、いつまで「へへ~」と自ら奴隷制度を続けるのか?ケツの穴を舐める役に徹するのか?いつまで「しゃあない」とウジウジ密室で愚痴っているのか?

そろそろ自ら提案し、基本的人権くらいは取戻す勇気を持ってはどうか?

今はもう21世紀だ。

 

 

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歯科技工士の実態と離職率!5年以内の離職率は?マジか80%

歯科技工士の離職率について

近年はブラック企業が社会問題となっている。ブラック企業に明確な定義は無いようだが、3~5年以内の離職率が30%以上の企業という定義が一般的であるようだ。

そこで、国家資格を有する歯科技工士の卒後5年以内の離職率は、なんと約80%であると指摘されている。卒後5年以内の離職率が80%であればブラック企業ではなく、ブラック産業といえる。

歯科医療関係者の中では、歯科技工士がブラックなことは長く問題になっていることからも、本記事では歯科技工士の実態を明らかにしていきたい。

では、この歯科技工士は何が問題かを大きく3つに絞り、以下に示す。

  1. 歯科技工士養成学校の卒業5年以内の離職率が約80%と言われる異常な離職率の高さ。
  2. その高い離職率は、超長時間労働、低賃金という就労環境に大きな原因がある。
  3. 高齢化と担い手不足。

簡単に絞ると上記に示した3つが問題といえる。最近では「歯科技工士問題」と題し国会内で集会が行われたりもしている。

また、国会議員が厚生労働委員会などで歯科技工士問題に対し質疑するなど、この問題が歯科医療関係者だけの問題ではなく、社会全体の問題として少し表面化しつつある。

 

 

では次にこの3つに問題を絞り、詳しく説明していく。

 

5年以内の離職率が約75%。

正確な離職率を算出することは難しいが、以下の資料は2008年に日本歯科技工士会が国家資格である歯科技工士免許交付数と就業数の割合から算出したものである。

歯科技工士の免許交付数と就業数

1、年次別免許交付数                       

単位:人

平成9年 平成10年 平成11年 平成12年 平成13年 小計
交付数 2,749 2,728 2,715 2,441 2,479 13,112

 

平成14年 平成15年 平成16年 平成17年 平成18年 小計
交付数 2,657 2,368 2,715 2,209 2,204 11,523

※10年間合計24,635人

 

2、年齢階級別就業歯科技工士数

 平成18年 平成16年
 (1)25~29歳  3,291人 4,125人
 (2)25歳未満  2,417人 2,493人

 

3、歯科技工士の離職率

① 25~29歳:約75%
算出方法

13,112(H9~H13交付者数)-3,291(H18就業者数)=9,821

9,821÷13,112=74.9

離職率=74.9%

 

② 25歳未満:約80%
算出方法

11,523(H14~H18交付者数)-2,417(H18就業者数)=9,106

9,106÷11,523=79.0

離職率=79.0%

※前提条件:各年度の交付者年齢を20歳とする

※資料:「衛生行政報告例」(厚生労働省大臣官房統計情報部編) 

2007.9調査企画部作成

 

 

最近の歯科技工士の離職率

以下のデータは同じ算出方法で2004年~2012年までの歯科技工士の離職率を推計(2年ごと)。

 

  25歳未満 25歳~29歳
2004年 79.2% 70.1%
2006年 79.0% 75.0%
2008年 76.0% 76.7%
2010年 74.2% 75.4%
2012年 85.0% 74.0%

 

最近のデータを見ても歯科技工士の離職率の高さは異常な状況にあり、離職問題が解決の方向へ進んでいるというよりは、むしろ悪化している状態と感じる。

この歯科技工士の離職率の高さは、担い手不足から歯科技工の技術、技能の継承が難しくなり、歯科技工物の質の低下が危惧されることは言うまでもない。

何より、これだけの若者が犠牲になることで、何とか歯科医療を支えているという状況は社会倫理の観点からも当然問題があると考える。

 

 

長時間労働、低賃金 【週70時間以上働く歯科技工士(一人ラボ)が66.2%】

歯科技工士という職業は長く慢性的な長時間労働状態にあり、多くの若手技工士が去っていく最大の原因であることは間違いない。

歯科技工士の離職率の高さの原因は長時間労働にある。

 

歯科技工士実態調査

はじめに示すデータは2年に1度、日本歯科技工士会によって行われる2015年歯科技工士実態調査からの抜粋である。この実態調査は厚労省も把握し、施策に反映されるといわれることから公的なデータといえる。

 

(問) 1週間の残業を含めた就労時間(通勤、休憩、食事等の時間を除く)等。

平均(時間)
全体 61.5
勤務者 55.6
自営者 68.9

 

(問) 他業種に移りたいと思われる理由は何ですか。【上位3回答】

※前問の歯科技工業から離れ、他業に移りたいと思いますか。の問いに対し「非常にそう思う」「そう思う」を選択した方が対象。

1位 給与 71.5%
2位 労働時間 70.8%
3位 将来性 62.8%

 

上記の日本歯科技工士会の実態調査は勤務している技工士(技工所勤務・歯科医院勤務)の割合が大きくなっている。

そのため、多数を占める個人事業者(一人ラボ)の技工士の割合が低くなっていることから、歯科技工士の現状を正確に反映しているかというと、やや疑問に感じる。

 

歯科技工所アンケート

次に示すデータは保団連近畿ブロック歯科技工所アンケートである。

このアンケートは全国保険医団体連合会近畿ブロックにより2015年11月に行われたもので、対象は技工所であり、その多くを占める個人事業者の技工所の現状を反映しているものとなっている。

○開業者の年齢、平均53.4歳

○開業年数、平均23.1年

(問) 1週間の労働時間(開設者のみ)

42時間以内 8.4%
43~50時間 12.7%
51~60時間 11.4%
61~70時間 12.4%
71~80時間 17.6%
81~90時間 15.9%
91~100時間 10.9%
101時間以上 8.9%

 

(問) 1週間のうち休みの日数(開設者のみ)

2日 14.1%
1日 49.4%
ほとんど取れない 28.5%
その他 7.2%

 

(問) 昨年の可処分所得。法人の場合は代表者の報酬。

平均 全体412万円 個人369万円 / 法人635万円 一人技工所345万円

 

高齢化と担い手不足

Ⅰ、後継者

まずは先ほど(2)の同じく歯科技工士実態調査と保団連近畿ブロック歯科技工所アンケートから、後継者の有無についての項目を示したい。

 

(問)後継者の有無。※歯科技工士実態調査

いる いない 決まっていない 無回答
自営者全体 13.1% 72.1 11.8% 3.1%
個人立 10.7% 79.2 8.2% 2.0%
法人立 23.0% 47.1 27.6% 2.3%

 

(問)後継者の有無。※保団連近畿ブロック歯科技工所アンケート

□いる

16.3%

 □いない

78.7%

□その他

2.9%

□無回答

2.5%

 

80% が後継者がいない

いずれの調査からも、特に個人事業者に関しては約8割が「後継者がいない。」という深刻な後継者不足であることがわかる。

歯科技工士の離職率80%と、後継者がいない80%には相関関係がありそうだ。

 

 

Ⅱ、高齢化

次に歯科技工士全体の年齢構成費から高齢化がわかるデータを示す。

上記の表は厚生労働省・平成26年衛生行政報告例から。

この表からは、歯科技工士の年齢構成の比率は50歳以上が約46.5%となっており、これから迎える超高齢化社会、特に歯科の需要のピークと言われる団塊の世代が後期高齢者となる2025年には、このままいくと供給側の歯科技工士の半分が60歳以上ということになる。

 

 

歯科技工士の離職率問題のまとめ

若い技工士の離職率の問題、高齢化・担い手不足の問題は厚労省も「問題だ」とは言いつつも、何の対策も打てていないのが現状である。

いくらデータを示して問題があることを明確化しても現状ではあまり意味がない。この問題を解決するためには全体的な就労環境の改善を図る具体的な対策を打つことが最も重要で、そのことがなされなければ絶対に解決できない問題であることは明らかである。

歯科技工士専門学校の入学者数の減少が問題ではない

よく、歯科技工士養成学校の入学者数の減少が問題と言われている。そして、入学者数を増やすための活動が、歯科技工士会や専門学校を中心に行われている。

しかし、私はこんな活動では何の解決にも繋がらないと考えている。

なぜなら、まともな就労環境を確立し、離職者を減らせば良いだけの話だからだ。歯科技工士の離職率が80%から20%になれば良いだけだ。そうなれば離職者の復帰も考えられる。

歯科技工がブラック産業化していることが問題の根幹だ。問題をすり替えようとしても新たな犠牲者を生むだけで何の解決にもならない。

歯科技工士の離職率を下げること

歯科技工士の離職率の高さは、若い技工士に根性がないからではない。ゆとり教育も関係ない。

厳しい経済状況のもと、奨学金で国家試験に受かり、免許を手にするときは既に多額債務者である若者も多くいる。

彼らは歯科技工が嫌で去っていくわけではない。肉体的にも精神的にもボロボロになり去らざるを得なくなり去っていく。

残念ながら今の歯科技工業界は、このような若者を使い捨てにせざるを得ない状況のもと、何とか歯科医療を支えているというのが現状である。まさにブラック産業化していると言っても過言ではない。

最後に

歯科技工士養成学校の入学者数を増やしても、ポジティブキャンペーンを行っても問題の解決にはならない。

歯科技工士の離職率が80%でブラック産業なのは構造上の問題なのだから、構造上の問題を解決しなければならない。具体的にどこが問題なのかは、歯科技工士の問題は、歯科保険点数の仕組だった!解決策は?で示したいと考える。

 

 

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歯医者の費用と「治療の質」が違いすぎるたった1つの理由!

入れ歯や、ブリッジなどの被せ物が合わない!噛めない!

このような悩みをお持ちの患者さんは多い。その原因は、あなたの「入れ歯」や「被せ物」が安物であるからという理由の可能性が高い。

何故なら、ほとんどの歯医者で提供されている「入れ歯」や「被せ物」は基準を大幅に下回る価格の「安物」だからだ。

そもそも、産地偽装などが社会問題となる中、どこの国の、誰が作ったものか分からない義歯を装着するのも怖い話だが。

 

腕がいい歯医者とは?

口の中は髪の毛が一本入っても気持ちが悪いと言われる程に繊細だ。

それほどまでに繊細な口の中に、治療前と治療後に違和感がない程にフィットした歯科技工物(入れ歯や被せ物)が提供される歯医者であれば、誰がどう考えても腕のいい歯医者と評価できる。

そうなると歯科医師の技術も大事だが、実際に義歯を作成する歯科技工士の技術は最も重要な要素となる。ではなぜ、これほどまでに違和感だらけの「入れ歯」や「差し歯」を口に放り込まれているのか?

それは、歯医者は技術が高い歯科技工士ではなく、安い歯科技工物を選んでいるからだ。最悪の場合、知らないうちに中国産の義歯を入れられている。

 

なぜ安物の義歯を装着されるのか?

保険治療は、患者さんが支払う治療費は全国一律の価格だ。しかし、口に入る歯科技工物の値段に大きな違いがあるという事実は知られていない。

国(厚生労働省)は歯科技工物の値段は「7割を製作した歯科技工士さんに」そして「3割を管理料として歯医者さんに」という基準を設けている。

専門用語で全く理解できないと思うが、以下の公益財団法人「日本歯科技工士会」の価格表が基準価格だ。


 

歯科技工物(入れ歯や被せ物)の値段はブラックBOX

歯科技工物の価格に違いがあることを患者さんは知らないし、「安物の義歯」を患者さんに入れた方が経費削減で歯医者は儲かる。

そのため、“安かろう悪かろう”でも安い値段の入れ歯や、値段を徹底的に買いたたいた義歯を患者さんの口に放り込んでいる。

いくら言い訳しても、患者さんが知らないことをいいことに歯医者が安い歯科技工物を取り扱っているのは意図的だ。

可哀想なのは患者さんだ。例えば前歯を保険で治療する場合は、硬質レジン前装冠というものを入れる。

この場合にA歯科医院とB歯科医院では、治療費・窓口負担はともに同じだ。

 

A歯科医院 B歯科医院
治療費総額 15,000円 15,000円
窓口負担(3割) 4,500円 4,500円

※窓口負担とは、実際に窓口にて支払う自己負担額のこと

 

あたりまえだが、A歯科医院とB歯科医院で違いはない。もちろん全国どこでも同じだ。

しかし、明細を出すと、最も重要な実際に装着する硬質レジン前装冠の値段が違うことがわかる。

 

A歯科医院 B歯科医院
治療費総額 15,000円 15,000円

価格

硬質レジン前装冠

8,000

(歯科技工士の儲け)

3,000

(歯科技工士の儲け)

差額

(治療費総額-硬質レジン前装冠費)

7,000

(歯医者の儲け)

12,000

(歯医者の儲け)

窓口負担(3割) 4,500円 4,500円

※窓口負担とは、実際に窓口にて支払う自己負担額のこと

 

このように、患者さんが支払う治療費は同じだが、歯科技工物を安物にすることで差益が発生する。

 

その結果、

①A歯科医院を受診した患者さんは適正価格で制作された良質な硬質レジン前装冠を装着され、満足した治療結果を得ることとなる。

②B歯科医院を受診した患者さんは安物義歯を装着され、質の低い治療となる。歯医者は儲かるが、その他全員は不利益を被るという結果だ。

 

それでは、実際に国が示す硬質レジン前装冠の正当な価格は8,220円だが、あなたの治療で装着された歯科技工物が正当な価格で作られたものなのかをチェックする方法へと移っていこう。

だが、その前に保険が効かない高額治療であるセラミックの治療費に占める歯科技工物の費用はこのような感じだ。

 

<例:保険が効かないセラミックの内訳>

歯科医院
治療費総額(患者負担) 8万円~10万円
セラミック料金

(技工料金・経費)

1万円~1万2,000円

(歯科技工士の儲け)

差額

(歯医者の儲け)

7万円~9万円

(歯医者の儲け)

 

高額な保険外治療を勧める理由

保険が効かない治療は,、見て分かるように高額なうえに原価率が1.5割程度だ。

歯医者はメチャメチャ儲かる(ボッタクリのようなものだ)。

なので、歯医者は保険が効かない高額な治療を勧めてくるということだ。

 

 

あなたの義歯は正当な価格かチェック!

治療明細では歯科技工物の価格が分からないようになっている。そのため、以下のPDFをダウンロードしていただき、治療後に歯医者で記入してもらうと良い。

 

▲「見える化」で安心の歯科技工物へ!のご協力をお願いいたします。

 

順序は、

 

順序

①治療後に歯医者に記入してもらう

②治療明細書で補綴物(歯科技工物)のの名称を確認する

③記事内(前半)にある適正価格と、実際の歯科技工料金を見合わせてみる

 

 

以上で簡単に確認することができる。

※適正価格以下の安物義歯を装着されていたら、二度とその歯医者には行かないようにしよう。

 

 

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歯医者がホームページで効果を最大にするWEBマーケティング

現在、歯科医院経営においてホームページを活用し集患することが重要と言われている。

そして、高額な作成費を投じてホームページを作成し、デザインにもこだわり、システム構築なども高額な費用をかける傾向にある。しかし、成果に繋がっていない歯科医院がほとんどだ。

この記事を読んでいただければ、高額な費用を投じても全く意味がない理由がすぐわかる。

そして、この記事では歯医者がWEBで確実に成果を上げるための具体的なWEBマーケティングのノウハウを提供する。

この記事のポイント
  1. 見込み患者を増やす
  2. 患者を教育する
  3. あなたの歯科医院のファンになってもらう

 

 

1.WEBマーケティングでは見込患者を増やす

まず、WEBを通じてあなたの歯科医院に患者さんが来るようにするためには、患者さんがあなたの歯科医院に来院してもらえるようにマーケティング戦略を立てる必要がある。

「運任せ」ではいけないということだ。そこで、まずWEBマーケティングの基本を知らなければならない。

歯医者に患者・予約・来院を確実に増やす経営学的6ステップの記事でマーケティングの基本でもある購買サイクルについて解説させていただいた。まだ読んでいない方は是非、ご確認いただきたい。改めて購買サイクルを簡単に説明すると、

購買サイクルの6つのステージ

  1. Awareness(認知):あなたの歯科医院または治療/医療サービスのことを認知する
  2. Interest(興味):治療や医療サービスに関してもっと知りたいという興味を持つ
  3. Consider (検討):治療や医療サービスのため来院を具体的に検討する
  4. Purchase(購入):治療や医療サービスを受診し新規患者に変わる
  5. Repeat(継続):治療や医療サービスに満足した結果リピート患者や継続利用をする
  6. Advocacy(応援):歯科医院のファンになり積極的に友人知人に広める

患者さんは来院し、治療に満足し、歯科医院のファンとなり口コミで広げてくれるまでには、6つのステージを経ている。何となく口コミが広がるのは単なる運だ。

そして、その構成は以下のようになっている。

6つのステージの1~3までは潜在的患者であり、この1~3のステージの見込患者をどれだけ増やし、来院に繋げるかがカギとなる。そして、見込患者の獲得にはブログが効果的だという話までを歯医者に患者・予約・来院を確実に増やす経営学的6ステップの記事ではお話しした。

「は?ブログ??」と思われるだろう。しかしブログなどは実は非常に効果的な媒体である。その理由と具体的な活用方法は後に説明する。

 

1-1.歯科経営とWEBマーケティング

歯医者経営にとって見込患者を増やすために効果的な方法がWEBマーケティングだ。WEBマーケティングと聞くと、ホームページの充実などをイメージされる方も多いと思う。

しかし、そんな単純な話ではない。そんなことでは無数にある歯科関係のホームページに埋もれて存在を知られることすらない。

まず、歯科経営にとってWEBマーケティングがなぜ効果的なのかをはじめに示す。

 

効果的な理由
  • チラシなどと違い、WEBは興味を持つ者が自ら訪問してくるため、信頼関係を構築しやすくコンバージョン率が高い。
  • 医療広告ガイドラインに抵触しない。
  • WEB情報は蓄積されることから資産となる。その資産であるWEB情報が24時間、365日働いてくれる。

 

医療では基本的に広告が禁止されている。そんな中、歯科医院の開業時にスタッフ募集の裏に歯科医院の宣伝をしているチラシや、ティッシュを配ったりしているのをよく見かける。

しかし、このチラシの抜け道の論理は、昔のピンクチラシと全く同じもので、煙たがられるどころか逆効果になることすら考えられる。そんなことに無駄な費用と労力を費やす時代ではない。

 

チラシ効果を最大にする

歯科医院経営ではないが、私の経験でチラシ効果を最大にする方法がある。それは、12月31日の大晦日の夜にポストに配布するという方法だ。

何故なら、ほとんどのポストがきれいに片付けられ、翌日は新聞も休みで年賀状しか入らない。チラシは見てもらうことが最も難しい。しかし、この日は高確率で見てもらえるため、最大の効果を得ることができる。

※参考にしていただいても良いが、私は抜け道チラシの配布はしないし反対だ。そんな姑息なことをしなくてもWEBマーケティングでは、チラシ効果とは比べ物にならない成果を得ることができるからだ。

 

1-1-1.ブログの活用とは

ブログと聞くとどういうイメージが湧くだろうか?

日記のように「〇〇の〇○チャレンジ日記(゚д゚)!」みたいなイメージかと思う。間違いではないが、経営を強化するためのブログというものは全く違うものだ。そのことを上記のGoogle検索の結果と関連付けて説明したい。

まず、ブログの機能などの説明をはじめるとキリがないのでその辺りはご自身で調べていただきたい。そのうえで、上記の患者ニーズの中から「歯科医療費への不安」を払拭し、来院に繋げるためにも効果的であることを示す。

 

ケーススタディ

例えば、あなたが矯正歯科を開業・経営するとしよう。

子どもの歯並びに不安を抱えた親が「歯科矯正」を考えたとする。その場合、親はどのような行動をとるか?と自身に問いかけてみよう。

なぜ、そんなことを考える必要があるかというと、この場合の「顧客」は子どもではなく「親」だからだ。塾の経営で誰が顧客か?と考えた場合と同じで、実際に支払いをする親であることで間違いない。最も重要なことは常に顧客は誰か?と問い続けることだ。

子どもの歯科矯正を考える親であれば、現在はインターネット検索で歯科矯正についての情報をインプットするであろう。そして、歯科矯正について

  • 費用はいくらか?
  • どの程度の期間を要するのか?
  • 効果やメリット・デメリットは?

などを調べる。歯科矯正の情報を得る前に、歯科矯正に優れた歯科医をさがす親はまずいない

そして検索結果で上位表示されているページに目を通すこととなる。そこには歯科矯正に対して正確な情報を伝えるページが多く、検索患者ファーストな良質な歯科医療コンテンツが提供されている。

昔のように調べたい情報から何故かアダルトサイトへ誘導されることは無くなった。これはGoogleが検索ユーザーにとって最も有益なコンテンツが上位表示されるように常に技術革新を行なっているからだ。

これはGoogleの理念でもある。なぜなら、最も有益な情報を得ることができない検索システムなど誰も利用しなくなるからだ。そのため、現在の検索システムで上位表示を目指すには、正確で本当に検索ユーザーファーストな情報を提供することが最も評価を受けることとなっている。

そして、この上位表示されるページの多くが実はブログ記事なのだ。

 

1-1-2.あなたが提供する歯科医療コンテンツ

ここで想像していただきたい。もし、あなたが矯正専門歯科で、あなたが書いた記事ページが歯科矯正のキーワードで上位表示されたらどんな事が起こるかを。ちなみに矯正の検索数は月間22,000回以上だ。

この月間22,000回以上の検索ユーザーは、正に見込患者だ。そして、この見込患者が信頼するのは有益で正確な情報を提供してくれたブ記事であり筆者ということとなる。

このブログ筆者とサイト運営者があなたであれば、間違いなくこの時点で対応不可能なほどの患者さんの予約に悩ませられることとなる。

歯科医院経営においてWEBマーケティングの戦略強化はとてつもない成果に結びつく。

 

 

キーワードは、歯科医療に関するものだけでも無数にある。このように様々なキーワードからWEBマーケティングで歯医者に爆発的な利益を生み出すことは難しいことではない。

また、歯科医療の啓蒙活動に活用することも可能だ。当然、あなたの治療方針や考え方を社会に広めることもできる。

更には歯科衛生士や勤務医の募集にWEBマーケティングを活用することで

どうだろう?たかがブログ記事だが、歯科医院経営においてのWEBマーケティングでは、実は活用方法次第で非常に効果的なツールとなることが理解していただけたのではないだろうか?そして、このブログ記事は基本的にはほとんど経費がかからない。

そして、このようなSEOを中心としたWEBマーケティングは、大企業であろうが個人であろうが歯医者でも関係ない。良質なコンテンツを提供する者が評価される世界なのだ。

しかし、このWEBマーケティングでは評価されるための基本的なノウハウがある。この辺りの基本をお伝えする。

 

1-1-3.効果を出す歯科ブログ・WEBマーケティング

最も重要なことは患者が知りたい歯科のことを正確に伝え、患者目線で歯科医療コンテンツを制作することが最も重要だ。しかし、思った以上にこれが難しい。

まず、専門用語を使わずに、患者さんが調べる言葉と、分かる言葉で説明しなければならない。あなたが専門用語を多く話せるかは関係ない。検索患者は、分かりやすい説明を受けることでスムーズに理解でき、分かりやすい親切なページと評価する。

このことは実際の臨床現場でも応用できる。何故なら、実際の現場で専門用語を連発する歯科医師は多く存在する。しかし、患者さんは説明の途中で「?」が頭に浮かべば、その後の説明は全く頭に入らない。その結果、「説明が下手な歯科医師」という評価となるのだ。

プレゼン能力の向上は、小学生でも理解できる言葉で、わかりやすい説明ができるように心がけることが必要だ。補綴やインレー、デンチャーという言葉でも専門用語だ。なので患者さんには分からない。

 

良い歯科医療ブログの基本

記事を読むであろう相手(歯科に関心のある見込患者)を具体的にイメージして書く。例えば、

  • 性別は?
  • 年齢は?
  • 仕事や家族構成は?

などの基本情報だけでなく、どのようなライフスタイルなのか?何に悩んでいるにか?記事を読んでいる時間帯は?なども考えて作成することで高い精度で良質な歯科医療コンテンツを生み出すことが可能となる。

① キーワードを意識する

そして歯科におけるWEBマーケティングでは、キーワードを意識することも必要だ。何故なら、何も意識しないで「歯科矯正」の記事ページを作成しても検索上位に表示されることは無い。

狙う歯科関係の検索キーワードをタイトルや見出し(この記事の水色で大きな字の部分など)、文章内に適切に入れることで、ターゲットキーワードで上位表示を狙うことは基本だ。

また、検索エンジンにてターゲットキーワードを検索すると関連キーワードが表示される。この関連キーワードも検索ボリュームがあるので、ブログタイトルや文章にキーワードを的確に使用し、新たな記事を作成することで、ここでも上位表示に近づけることが出来る。

また、実際に歯医者がWEBマーケティングとして実際に活用する場合には、Googleアドワーズのキーワードプランナーというツールを使うと、細かな検索キーワードごとのボリュームや競合性なども調べることができる。しかも、全て無料で。

② キーワードの狙い方

検索上位表示し、そこからの検索ユーザーの流入を狙うことをSEO(Search Engine Optimization)という。

そして、検索ボリュームが大きい「歯科矯正」などはビッグキーワードという。そして、関連キーワードで比較的ボリュームが小さいキーワード(例えば、「歯科矯正 期間」や「歯科矯正 料金」など)のことをロングテールキーワードという。

SEOでは、このロングテールキーワードを狙って歯科医療関係の記事を積み重ねていくことが、SEOを攻略する最も有効な戦略と言われている。なぜならキーワード全体の割合は、ビッグキーワード:ロングテールキーワード=2:8程度であるため、ロングテールキーワードを攻略することが結果的にはビッグキーワードを攻略することに繋がるからだ。

そもそも、いきなりビッグキーワードを狙っても、上位表示されることは無い。

歯科医療関連のキーワードの検索ボリュームは非常に大きいうえ専門性が高い。ロングテールキーワードも無数にあると言える。あなたの専門知識を活かし、ライティング技術を高め、プレゼン能力を向上させることで、どの治療に関しても検索患者から絶大な信頼を得ることは可能となる。

そのスキルアップは、日常の診療においても歯科医院全体の説明能力の向上につながる。

 

1‐2.歯科医療コンテンツを提供するタイミング

タイミングを誤るとどんな良質な歯科医療コンテンツを提供しても煙たがられる。

歯科医療コンテンツによるWEBマーケティングで大きな成果を出すためのもう一つのカギはタイミングだ。タイミングを間違えると、どれだけ良質な歯科医療コンテンツだとしても患者から煙たがれ嫌われてしまう。それでは逆効果となる。

もし、この記事が、役にも立たない単なる売り込み記事であったとするとどうだろうか?あなたが今この記事を読んでいるのは、私たちに興味があるのではなくて、あくまでもこの記事が自分にとって役に立ちそうだからだ。

その結果として、今、私たちのブログを「認知」してくれている。これはWEBに限ったことではない。普段の診療時でも患者さんへの提案のタイミングは重要だ。いきなり自費を勧められたり、懐具合を探りながら治療をされると患者さんの不安は増すばかりだ。

基本的な治療計画は歯科医療従事者であれば伝えなくてもわかる。しかし、患者さんはこの後どういう治療になるのか?どのくらいの期間が必要となるのか?など、想像以上に不安を感じている。そのことが最悪の場合は歯医者不信へとつながる。

例えば、私たちの記事を読んでいただいている皆さんは、私たちのサービスを将来的に提供する可能性のある潜在的見込客だ。しかし、私たちの「のびーる式経営力アップ」は各記事で提供しているノウハウを実施していただき、成果を実現してくださった方々に対し、一緒に更なる経営力アップに繋げていただくためのサービスだ。

そのタイミングで私たちのサービスを前向きに検討している方に対して、費用対効果の試算表や成功事例集などのセールスコンテンツをお届けすると、同じ売り込みのコンテンツでも、今度は感謝されることだろう。

 

1‐2‐1.間違ったタイミングでは?

このように、同じコンテンツでも、届けるタイミングを誤ると、ユーザーの反応は全く違ったものになってしまう。大半の歯科医院が、まさにこのWEBマーケティングでの間違いを犯している。ホームページで自身の歯科医院の紹介ばかりしているのが、典型的な失敗例だ。

特に認知の段階では、あまりセールスを意識せず、患者ニーズだけにフォーカスすることが大切だ。

① 適切なタイミングとは?

購買サイクルのそれぞれのステージで、ユーザーが必要としている歯科医療コンテンツは全く違う。以下の表を見て欲しい。

 

<それぞれのステージで使うツールとコンテンツ>

ステージ ツール コンテンツ例
 認知  ブログ・ソーシャルメディア  ブログ記事 
 興味  ホームページ  より詳しい治療内容
 検討  ホームページ・ステップメール  事例や治療費など
 来院  歯科診療所  診療・口頭での説明
 継続  院内ニュース・定期検診  メンテ・予防・啓蒙
 応援  院内ニュース・SNSで拡散  市民講座など 

 

これは、歯科医院で考えた場合に購買サイクルのそれぞれのステージで、WEBマーケティングにおいてどのようなコンテンツを届ければ喜ばれるかを簡単にまとめたものだ。

歯科医院の「認知」を獲得するには、ブログとソーシャルメディアを連携させて、患者さんの症状や治療内容、歯科医療サービスの潜在患者の役に立つコンテンツを提供することが必要だ。

ここで、一般的なWEBマーケティングでは、「興味」を持ってもらうため、ブログに、見込客の役に立つ無料プレゼントとリスト取得用のランディングページを設置する。目的は見込客リストを獲得するためだ。

そして、「検討」してもらうには、ホームページを使って、考えられる症状や治療への不安を払拭する内容、臨床例や費用対効果などで見込患者さんに役立つコンテンツを提供しよう。そこから来院してもらうためには、患者さんの役に立ち背中を押してあげるような絶対的な信頼と安心を感じることができるオファーを提供しよう。

このように、それぞれのコンテンツを最適なタイミングで潜在患者に届けることを意識すれば、歯科医療コンテンツによるWEBマーケティングの結果は大きく改善される。

 

② 歯への不安や興味に届ける全ての情報がコンテンツ

購買サイクルのそれぞれのステップで良質な歯科医療コンテンツを適切なタイミングで見込患者に届け、通常より遥かに高い比率で来院とリピート患者に繋げるのが歯科医療コンテンツを通じたWEBマーケティングの目的だ。

そして、見込患者に届ける全ての情報は、見込患者にとって価値のある歯科医療コンテンツだ。

そのため、ブログ記事はもちろん、ホームページやメールマガジン、そして、PPC広告やランディングページさえ、見込患者に価値を届けるための歯科医療コンテンツだという意識を徹底する必要がある。

例えば、患者獲得のためのPPC広告でのランディングページの場合でも、その内容が自分目線で言いたいことだけを言っているものとなってはならない。なぜなら、そんなものでは多くの来院患者を獲得することはできないからだ。

重要なことは、実際に来院してもらい、歯科医療サービスに満足してもらい、リピート患者となりファンとなって広めてくれるまでのプロセスの全てが、患者さんにとって素晴らしい体験になることだ。

そのために、全てのプロセスが患者さんにとって素晴らしい歯科医療サービスになるようにしなければならない。なぜなら、そうすることで、必ず売上が最大化し安定経営を実現できるからだ。

それでは、次からいよいよ歯科医療コンテンツによるWEBマーケティングの実践ステップをご紹介しよう。

 

③ 「認知」を獲得する

歯医者のホームページのデザインをいくら素晴らしいものにしてもWEBからの見込患者の訪問はない。

まず、歯科医院の存在よりも先に患者さんが気付いてるニーズや、まだ気付いていない潜在的ニーズにまで気付いてもらう必要がある。

例えば、まだ気付いていない潜在的ニーズで考えた場合にCAD/CAM冠がある。この場合はCAD/CAM冠事態を検索患者が認識していない。そのため「CAD/CAM冠」と検索することはない。おそらく「保険 セラミック」や「保険で白い歯」、「最新の治療」などという関連キーワードからCAD/CAM冠という存在に気付くことになる。

ここで検索患者は、はじめて先端医療である「3D・CAD/CAM装置でつくる、保険の白い歯CAD/CAM冠」を知ることとなる。このときに見込患者を120%満足させることの出来るコンテンツを提供することとなる。なのでCAD/CAM冠の記事が必要となるのだ。

歯科医療に関するブログ記事を公開して、記事がブックマークされ、Facebookなどのソーシャルメディアで広くシェアされ、ナチュラルな被リンクが付くことで、SEOで上位表示される。

 

「認知」ではSEOが重要

SEOで上位表示されると、毎月安定した歯科医療関連の見込患者のアクセスが入るので継続的に「認知」を獲得することができる。そして、次の段階の「興味」に誘導することができる。

このSEOが歯医者が配布するチラシなどとは比較にならないコンバージョン率を生み出すには理由がある。それは、検索患者が自ら訪れているということだ。そもそも解決したい課題や不安、興味を持っている見込患者にアプローチするのだから、興味もない段階で不意打ちに来るチラシとは全く効果が違う。

また、当然、検索患者が自ら訪問してきているため、医療公告ガイドラインに抵触することも無い。

 

④ 「興味」の獲得

コンテンツマーケティングの第二ステップは「興味」の獲得だ。

1.「興味」の獲得

「興味」の獲得とは

「認知」の次に、潜在的見込患者にあなたが提供する歯科治療の内容や治療方針、考えといった歯科医療サービスが、どのような効果や結果をもたらすことができるかを知ってもらい顕在見込患者になってもらうことだ。そして、「もっと知りたい」という欲求を持ってもらうことだ。

興味を獲得するために大切なことは、あなたの歯科医院や治療内容や考えを紹介することでもないし、その良さを分かってもらおうとすることではない。あなたが、患者さんにどんなベネフィットを与えることができるかを伝えることだ。

そして、この興味の段階に移った見込患者は、潜在的見込患者から顕在見込患者になる。そして、以降はホームページやメルマガで歯科情報を配信していくことが必要となる。

思い出してほしい。ブログやソーシャルメディアは、歯医者にとってのWEBマーケティングにおいては、あくまでも潜在的見込客からの「認知」を獲得するためのものだ。そこで、「興味」の段階以降に届けるべき歯科医療コンテンツを出してしまうと、それがどれだけ良質なものであっても、潜在的見込客の心は離れていってしまうからだ。

それでは興味獲得のメカニズムをご説明しよう。

 

2.興味獲得のメカニズム

ここでは、基本的なWEBマーケティングの流れで説明する。興味の獲得のステップを図で表すと以下の通りだ。

この段階でまず必要なのは、ブログ記事以上に内容の濃いプレゼントコンテンツ(無料PDFなど)を用意することだ。

この無料プレゼントのPDFとは、歯科医院の宣伝用パンフレットではいけない。あなたが専門医であれば、小児歯科に関わる内容でも、審美でもインプラントでもよい。専門性を持たせなくても歯周病予防や口腔ケアの重要性を伝える内容でもよい。患者さんに喜ばれる内容のものとなるように意識することが重要だ。

無料コンテンツは作成してしまえば、後はダウンロードやメール送信なので費用も労力もかからない。良質なプレゼントコンテンツを読んだだけで自然とあなたの歯科医院や治療内容に対する「興味」を獲得できるようになっている。

 

3.無料プレゼントとステップメール

無料プレゼントを用意する理由は「興味」の獲得だけではない。メールアドレスの獲得という目的がある。

メールアドレスを獲得することで、質の高い見込患者リストを入手することができる。見込客リストというと響きが少しイヤらしいが、有名な話がある。それは、呉服屋が火事になった時に呉服をもっては逃げない。顧客リストを持って逃げる。そのことで、商売を再建でるほどに顧客リストは重要だということだ。

そこで、例えばステップメールというものなどで直接見込患者にアプローチすることで来患や再来院、リピート患者へと繋げることが可能となる。

 

ステップメールとは

ステップメールとは、あらかじめ作成した文章をメールで段階的に自動配信するものだ。

 

活用方法

無料のプレゼントコンテンツで顕在見込患者のリストを取得したら、ステップメールなどの配信で興味を強く持ってもらう。

新規患者獲得用のコンテンツは以下のようなストーリーで配信するとよい。

  1. 信頼関係構築:プレゼントコンテンツダウンロードに対する感謝を伝え、さらに良質で役に立つ歯科医療情報を届ける。
  2. 教育:今すぐに、あなたの歯科医院を利用した方が良い理由を伝える。
  3. 選ぶ理由:他の歯医者ではなくあなたを選んだ方が良い理由を伝える。

これらの要素を含んだメルマガコンテンツを7通用意して、7〜21日の間で配信する。それでは、それぞれの内容を詳しく解説する。

 

信頼関係構築

ここでは、メールアドレスを登録したばかりの見込患者とラポールを構築することが目的だ。まずは、登録のお礼を述べて、今まで以上に濃い歯科医療情報や人に教えたくなるような有益な歯の豆知識などをお届けすることに集中しよう。

そうすると、「まだ、こんなに様々なことを教えてくれるのか?!」「この歯医者は本物だ!」と実感してくれる。そこまで来たら、症例や考え方、費用などを伝えることで、患者さんの不安を払拭し、信頼を深めてもらえるような歯科医療コンテンツをお届けしよう。

 

教育

WEBマーケティングにおいて、この段階では見込患者はあなたのことを本物の信頼できる歯医者だと感じてくれている。

しかし、多くの人はまだ、「今すぐに歯医者に行かなければ!」というところまで緊急性は高まっていない。そのため、ここでは早く来院した方が良い理由を伝えよう。

そのことは、早期発見・早期治療を実施し重症化を防ぐことにも繋がる。

 

選ぶ理由

あなたの歯科医院を早く利用した方が良い理由は伝わったが、それだけでは、山ほどある他の歯科医院を選ぶかもしれない。そこで、あなたの歯科医院を選ぶ理由を伝えよう。

有効なのは、あなたの歯科医院の質と安全性が他医院よりも高いことと、費用対効果が最も高いことを伝えることだ。

 

注意!

ここで注意しなければならいことは、絶対に迷惑メールにならないことだ。

メールコンテンツは、他のコンテンツと違ってセールスの要素が加味されるため、メリットを前面に押し出す内容や、提供したいサービスへ繋げることにフォーカスした煽りの場合も多い。

しかし、歯科医療でそのような内容にすることは好ましくない。ここで重要なことは商売っ気を出すことではなく、あなたの歯科医療サービスが提供できるベネフィットを正直に伝えることだ。

歯科医療コンテンツによるWEBマーケティングでは、全てのコンテンツが患者ニーズを120%満たすものでなければいけないことを忘れないようにする。

そのすべてが自動でできるステップメールはなかなかの優れものだ。

 

 

2.患者を教育する

さて、ここからは「患者を教育する」という段階へと移っていく。

ここまでのWEBマーケティングで無料プレゼントとメールコンテンツにより、見込患者は歯科医療に対する不安を払拭し、あなたの歯科医院に親近感と信頼関係が生まれている。

 

2‐1.患者を教育することは重要

一昔前は、歯医者にとってWEBからの来院患者のイメージは良くなかった。しかし、今は変わった。WEBからの来院患者の方が既に基礎知識をもった優良患者である場合が多くなったのだ。

その理由は、一昔前の患者のほとんどはWEB広告からの患者であったのに対し、今は検索上位の良質な歯科医療情報からの患者が多くなったことだ。そして、この流れは益々進むこととなるであろう。

WEBではないが、仕上げ磨きなどで子どもの虫歯が減ったことや、8020運動の成果などは、正に歯科医師の患者への教育であり、歯科医療に対する啓蒙活動での歯医者の社会貢献と言える。

このようなことが歯科医師の組織活動ではなく、歯医者個人の患者教育と、売り上げアップをハイブリット化して進めることが可能となっているのだ。

患者教育は成果を最大化する

例えば、ゴミの分別で考えてみると良い。ゴミを分別するということはエコや環境問題として習慣化されている。

これは正に消費者の教育ということだ。確かにエコなどの理由はあるが、習慣化していることで、廃棄物処理業者は資源ゴミを分別する作業がなくなる。そのことで効率化と利益の最大化を同時に手にすることができている。

歯科医療においては、早期発見・早期治療や定期検診、メンテナンス、予防などによるリピート患者の獲得は、患者を教育すること以外に実現することは難しい。

患者のデンタルIQを自然に高めることは、効率化と利益の最大化を同時に得ることへと繋がるカギとなる。

 

 

3.新規患者として来院

ここから歯医者のWEBマーケティングにおいて、いよいよ新規患者としてあなたの歯科医院に来院し、ファンになってもらい、かかりつけ歯科医院となり、リピート患者として来院するだけでなく、多くのファンを増やしてくれる患者となってもらう。

 

3−1.診療すらも歯科医療コンテンツ!

歯医者経営にとっての最終ゴールは新規患者の獲得ではなく、できるだけ多くの新規患者に優良患者になってもらうことだ。

そして、もし、新規患者が来院し、実際に診療を行ったがリピート患者になってもらえなかった場合は失敗だ。なぜなら、それでは次の段階の「継続」や「応援」にはつながりにくいからだ。

そこで重要なのは、あなたの歯科医療サービスは、患者さんの悩みを解消したり希望を叶えたりするための一つのコンテンツに過ぎないという視点だ。そして、繰り返しになるが、歯科医療コンテンツやWEBマーケティングでは全てのコンテンツが患者ニーズを120%満足させるものだということも思い出してほしい。

 

3-2.歯医者は歯だけを見てはいけない

昔、内科の医師に言われたことで印象的な言葉があった。それは、「歯医者は患者さんの『歯』しか見ていない」と言われたことだ。

その意味とは、内科は、病状だけでなく患者さんや家族との会話から、生活習慣や経済状況など総合的な状況を掴む。そして、病気の治療と同時に生活習慣などの改善を促すことで根本解決に繋げるというものだ。

これは正に医療における患者ニーズを120%満足させることと言える。歯の悩みの裏には、本質的な悩みがある場合や、口の中から患者さんの生活状況を想像できる場合もある。口の中から見える患者さんの真の問題を解決するためのコミュニケーション能力も歯科医療コンテンツと言えるのだ。

 

3-3.来患後の流れ

ここまで様々なコンテンツを用意してきたが、ここまですると従来を遥かに上回る高いコンバージョンを獲得することができる。しかし、前述したように新規患者の獲得が歯科医療コンテンツとWEBマーケティングの最終ゴールではない。

次は新規患者にリピート患者になってもらい、優良患者になってもらうためのコンテンツを用意して定期的に患者さんに届けよう。そのことで、患者数と歯科医院経営を持続的に発展することが可能となる。

 

 

4.まとめ:圧倒的に良質な歯科医療サービス

口コミを広げてくれる患者さんになってもらうに診療所内での仕掛けも必要となるが、この部分は別記事にて詳しくお伝えしたいと思う。

今回は、あなたの歯科医院を「認知」してもらい「興味」を持ってもらい、実際に新規患者として来院してもらうための歯科医療コンテンツとWEBマーケティングを中心に記事を書いてある。

ここまでの歯科医療コンテンツやWEBマーケティングの良さは自働化できることだ。PDCAサイクルは必要だが、一度仕組みを作ってしまえば後はあまり手間がかからず毎月安定したコンバージョンを運んできてくれるようになる。

そして、これからの歯科医院経営はますます厳しい状況となるに違いない。その中で経済状況や、近距離での他医院の開業などに影響を受けない歯科医院であるためには、潜在的見込患者を中心に全ての歯科医療コンテンツや歯科医療サービスがWEBマーケティングによって患者ニーズを120%満足させる「圧倒的に良質な歯科医療コンテンツ」を徹底して追求することだ。

是非、あなたの良い治療と歯科医療コンテンツを充実させることで、歯科医療全体の発展と患者ニーズの掘起しに貢献していただきたい。

最後に繰り返しになるが、

  1. 見込み患者を増やす
  2. 患者を教育する
  3. あなたの歯科医院のファンになってもらう

これは頭に叩き込もう。歯科医療に限らず、商売の原理原則だからだ。

 

 

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歯医者も補助金・助成金・融資で必須!事業計画書の作成方法

小規模事業者持続化補助金・ものづくり補助金・創業補助金

応募者数が多くなったことや、専門家への依頼が増えたことで、以前に比べると補助金獲得の競争が激しくなり採択率は下がっているようだ。

しかし、どの補助金にも共通する計画書の基本は、

補助金の事業計画書の基本
  1. 経営・業界・市場・顧客・競合・情勢などの状況分析
  2. 分析から、成果を得るための戦略を計画立案

から構成される。勿論、採択されれば次は計画の実行となる。

計画書に必要な部分は①と②のみだが、分析や戦略と聞くと何やら難しそうに感じる。

補助金で採択される計画書

確かに本来、この部分はとてつもなく難しく大変な労力を費やす。

しかし、認定や賞の獲得が目的ではない。補助金の計画書に限って言えば、『採択される計画書』を作成することが目的だ。

そのために必要なこと
  1. 必要なポイントを絞り、簡単に端的にまとめる。
  2. フォントの大きさや、枠で囲む・図・写真など視覚的にも読みやすくまとめる。
  3. 審査の加点対象項目など、重要箇所は目立つように示す。

 

私が特に重要と考えているのは「読みやすさ」だ。「読みやすさ」とは審査員にとって読みやすいという意味だ。

審査員は有識者と呼ばれる人たちであろう。その人たちの評価を得る計画書を作成していこう。

まず初回は、絶対に理解しておかないといけないポイントをザックリ整理していく。

平成28年度第2次補正予算 小規模事業者持続化補助金

平成28年度第2次補正予算 小規模事業者持続化補助金の募集が始まっている。

(募集期間)

受付開始: 平成30年3月 9日(金)

受付締切: 平成30年 5月18日(金)[締切日当日消印有効]

小規模事業者持続化補助金の加点項目

はじめに、小規模事業者持続化補助金の要綱によると、加点による審査方式だ。

要するに各項目が何点かは知らないが、各項目の合計点が満点に近い順に採択されるということだ。

この補助金の計画書には審査に関係のないことをいくら書いても意味がない。書くだけ無駄だ。

 

審査対象の項目は以下の項目となっている

自社の製品・サービスの

  • 強みを把握し、経営状況を適切に分析できているか。

経営方針・目標と今後のプランは、

  • 強みを踏まえているか
  • 対象とする市場(商圏)の特性を踏まえているか

補助事業計画は具体的

  • 実現可能性が高いか
  • 経営計画の今後の方針・目標を 達成するために必要かつ有効なものか
  • 自社ならではの創意工夫の特徴があるか
  • ITを有効に活用する取り組みが見られるか

積算の透明・適切性

  • 事業費の計上・積算が正確・明確で、事業実施に必要なものとなっているか

 

では、次に上記の各項目は経営計画書(様式2)と補助事業計画書(様式3)の主にどの部分に記入していくのかを示めす。

 

経営計画書(様式2)・補助事業計画書(様式3)の大まかな構成を理解する

ステップ①: 大まかに審査項目を分ける

  • ①自社の製品・サービス
  • ②経営方針・目標と今後のプラン経営計画書(様式2)
  • ③補助事業計画は具体的
  • ④積算の透明・適切性補助事業計画書(様式3)

そのことを踏まえて計画書を作成するにあたっては、

  1. ストーリー性
  2. 一貫性
  3. 革新性

を心掛けて作成する。

 

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経営計画書(様式2を説明

ステップ②: 計画書と加点項目の関係を知る

計画書はストーリーとして描くことが重要と言われる。

例えとして、桃太郎の話

経営計画書(様式2)の各構成と審査項目の関連を説明する。

 

1.企業概要:経営計画書(様式2)

「私の名前は桃太郎」

昔々、おじいさんは山へ芝刈りに。

おばあさんが川へ洗濯に行くと、

川から「どんぶらこどんぶらこ」と

流れてきた桃から生まれた。

桃太郎は強く大きな子どもに育った。

加点項目で言うと①自社の製品・サービス

  • 強みを把握し、経営状況を適切に分析できているか。

 

2.顧客ニーズと市場の動向:経営計画書(様式2)

桃太郎は、

ながく外国に居て帰ってきた人から

不思議な話を聞いた。

  1. 遠い海の向こうに鬼ヶ島という島があり、鬼が住んでいること。
  2. 鬼たちは悪い鬼で、いろいろな国の人から宝物をかすめ取っていること。
  3. 鬼ヶ島には鬼たちがかすめ取った宝物がたくさんあること。

 

 

3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み:経営計画書(様式2)

桃太郎は普通の子どもに比べ、

体もずっと大きく、力が強く、

かなうものは一人もいないくらいだった。

そのうえ、優しい子どもだった。

十五歳になった桃太郎は、

日本の国中で桃太郎ほど強い

ものはいない程になっていた。

加点項目で言うと②経営方針・目標と今後のプランは、

  • 強みを踏まえているか
  • 対象とする市場(商圏)の特性を踏まえているか

 

4.経営方針・目標と今後のプラン:経営計画書(様式2)

強くなった桃太郎は考えた。

  1. 外国へ出かけ、腕いっぱい力試しをしてみたい。
  2. 鬼を成敗して、鬼たちに苦しめられている人たちを助けたい。
  3. 鬼ヶ島の宝を手にいれたらお金持ちになれる。

そこで桃太郎は、

おじいさんとおばあさんにお願いした。

「鬼ヶ島に行き、鬼たちを成敗したい」と。

 

加点項目で言うと、

①自社の製品・サービス②経営方針・目標と今後のプラン

を踏まえ、③補助事業計画は具体的でに繋がる。

 

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補助事業計画書(様式3を説明

桃太郎の例え話の続きで、補助事業計画書(様式3)での各構成と審査項目の関連を説明する。

1.補助事業で行う事業名:補助事業計画書(様式3)

桃太郎が鬼ヶ島で鬼たちを成敗する」

2.販路開拓等の取組内容:補助事業計画書(様式3)

(いつ)補助事業で、(だれが)桃太郎が、

「どこで・誰に・何を・どのように」ということを桃太郎の話で説明。

<どこで>

鬼ヶ島で

<誰に>

悪い鬼たちに

<何を>

成敗を下す

<どのように>

陣羽織を着て、

腰に刀、

日本一のきび団子を持って。

いぬ・さる・きじ、の家来と共に。

 

加点項目で言うと③補助事業計画は具体的

  1. 実現可能性が高いか
  2. 経営計画の今後の方針・目標を 達成するために必要かつ有効なものか
  3. 自社ならではの創意工夫の特徴があるか
  4. ITを有効に活用する取り組みが見られるか

 

 

3.補助事業の効果:補助事業計画書(様式3)

桃太郎は

鬼ヶ島で鬼たちを成敗することで、

立派な3人の家来に、宝物を引かせて帰る。

そのことで

  1. 外国へ出かけ、腕いっぱい力を試すことができた。
  2. 鬼を成敗して、鬼たちに苦しめられている人たちを助けた。
  3. 鬼ヶ島の宝を手にいれたらお金持ちになった。

の目標を達成する。

そのことで、

  1. 桃太郎は力を試せて、より強くなって3人の立派な家来とともに帰ってきた。
  2. 鬼に苦しめられていた人たちは救われ、平和になった。
  3. 宝物でおじいさん、おばあさんも豊かに暮らすことができた。

という成果を得ることができる。

加点項目で言うと③補助事業計画は具体的

  1. 実現可能性が高いか
  2. 経営計画の今後の方針・目標を 達成するために必要かつ有効なものか
  3. 自社ならではの創意工夫の特徴があるか
  4. ITを有効に活用する取り組みが見られるか

 

4.経費明細表:補助事業計画書(様式3)

ここでは、補助事業の対象経費で必要な経費となっているかを間違いが無いように示す。

加点項目で言うと④積算の透明・適切性 

  • 事業費の計上・積算が正確・明確で、事業実施に必要なものとなっているか

 

小規模事業者持続化補助金の計画書を実際に書き始める。

ステップ③: フレームをつくる

ここまでで、経営計画書(様式2)と補助事業計画書(様式3)を、どの審査項目に照らし合わせて書いたら良いかをザックリ理解していただけたと思う。

次回からは、実際に計画書を書くための具体的な内容に入っていく。

そのため、実際に計画書を書き始めるにあたり、少し専門的に言うと

①経営計画書(様式2)では、自己分析を行い、補助事業に繋がる目的を明らかにする。

むやみやたらに書き始めても迷走することは間違いない。

経営計画書(様式2)ではSWOT分析と3C分析という基本的な分析方法を用いてフレームをつくっていく。

非常に簡単なので、次回からのフォーマットに従って書いていけば理解できると思う。

ただ、全く知らない方は一応、Google先生で調べていただきたい。

②補助事業計画書(様式3)では、経営計画書(様式2)をもとに、補助事業で行うプランニングと成果予測を行う。

ここでも基本的な5W2H という手法を基にフレームをつくっていく。

SWOT分析と3C分析と同様、全く知らない方は一応、Google先生で調べていただきたい。

 

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歯医者が開業資金の調達方法で絶対知るべき3つの知識

あなたが歯医者で開業を考えているのであれば、まず頭を悩ますのが開業資金や運転資金ではないだろうか?

あなたは事業資金に関しての悩みを、コンサルタントや税理士、会計士などに相談していないだろうか?

そうだとしたら、歯医者の開業資金に関するこの記事を最後まで読んでいただきたい。もし、相談している専門家がこの記事で示す基本的な内容すら提案できていないようであれば、すぐに相談を辞め私たちに連絡することをお勧めする。

何故なら、彼らが言う教科書情報を鵜呑みにして、すべてお任せ状態では最高の成果を得ることができないばかりか典型的なカモ歯医者のパターンとなる可能性が高いからだ。

ここでは、コンサルタントなどが伝える「しょーもない教科書情報」は伝えない。私たちが今まで様々な事業を立上げ、運営することで得た実戦的で生きた知識を提供する。ここで基本の知識を得て、その専門家が本当に専門家であるか見極めていただきたい。

この記事のポイントは

1、自己資金でなく融資が有利な理由

2、融資制度の種類と特徴

3、経営知識が乏しいことは罪

 

問題

Q.はじめに基本中の基本の質問をする。

歯医者の開業資金や運転資金は、なるべく多くを借入金で調達した方がよいが、それは何故か?自己資金が有るか無いかは関係ない。その理由は?

さすがに簡単すぎてほとんどの人がわかったと思う。もし、この質問に答えられなければ、開業は一旦保留とし、経営の基礎知識をつけなければならない。

では、問題の答えは、

 

歯科医院経営において資金繰りは血液循環

A.答えは簡単だ。

  1. レバレッジを利かすことが出来る
  2. 非課税
  3. 負債となる

からだ。簡単に説明する。

 

1、レバレッジを利かすことが出来る

レバレッジとは、金融用語では「てこの原理」という意味で、小さな資金で大きな利益を得ることをいう。

例えば、あなたが歯科医院の開業資金に1億円を投じたとする。そして2つのパターンを想像してほしい。

①自己資金5000万円、借入金5000万円で開業

②自己資金を1000万円、借入金9000万円で開業

この場合、同じ利益率であれば、自己資金1000万円で開業した方が、自己資金の回収に係る期間は何倍も早い。

回収後は金利分を除きすべてが儲けとなるため、成長のスピードも自己資金5000万円に比べ格段に早くなる。

不動産投資での例え

不動産投資で考えると分かりやすい。同じく自己資金1000万円と5000万円で比べよう。

1億円の不動産に投資し、家賃収入で資金を回収するのは自己資金1000万円の方が圧倒的に早い。自己資金5000万円を回収するのに何年もかかっている間に、1000万円を回収し、新たな家賃収入によって1000万円が溜まる。そして、この1000万円を元に新たに9000万円を借り入れて1億円の不動産をもう1棟購入する。

この時点で、自己資金1000万円の方は1億円の不動産を2棟得たことになる。これをレバレッジ効果という。レバレッジ効果が大きいほど儲けや成長スピードは速くなる。

 

2、非課税

上記を例に自己資金を1000万円と5000万円で考えてみよう。実際には自己資金5000万円は無理な話で、1000万円でも厳しいと思う。あくまで例えということで。

1000万円と5000万円では差額は4000万円にもなる。4000万円を貯めようと思ったら、かなりの高給取りで、とてつもなく働き、とてつもなく節約し、とてつもない額の税金を納めてきたということになる。

一方、借入金の場合は、金融機関の預金者の預金4000万円を活用するので、借入側は将来の金利負担以外には何の負担もないということになる。当然、税金がかかることも無い。

預金者が苦労して貯めてきた預金を効率的に活用するということだ。借入側は、時間的・労働的・税・保険料の負担は一切負っていない。

お金というものの特徴をしっかりと理解することで、将来のキャッシュ・フローにはとてつもない差が生じることとなる。

 

3、負債となる

歯医者の開業資金を借入金で調達すると、それは負債だ。

なので当然、負債には税金がかからない。一方、自己資金を投じてしまえば、後は儲けだ。利益には税金がかかる。

歯医者の開業においては負うべき負債と、負ってはいけない負債がある。利益を生み出すための良い負債を理解しなければならない。

 

問題のまとめ

歯医者の開業に関わらず、事業経営を行ったことが無い人はどうしても借入が怖くて、なるべく借入金を少なくしたり、早く完済しようとする。

しかし、実は金融機関や借入金とどのように付き合い、利用するのかが重要なのだ。

住宅ローンなどの完全負債と事業負債は全く違うものだ。利益を生み出すための負債の意味をしっかり理解しよう。

 

 

歯科医院経営の資金調達はどこから?

思ったよりも問題の解答の説明が長くなってしまったため、同じ負債総額であっても返済方法を借入方法と返済方法を変えるだけで、年収を確実に倍化させる3つの方法などもお伝えしたかったが、別記事でお伝えすることとする。

この記事では、資金の調達先と、各金融機関の特徴などを説明する。

歯医者の開業で、自己資金10%の借入は可能か?

先ほどの歯医者の開業資金の例えでは、自己資金負担率が10%であった。でも実際には自己資金10%で借入できる訳がない。そう思っていないだろうか?

結論から言うと全然可能だ。実際に私たちは新規開業の場合、ほとんどの場合が自己資金負担10%かゼロ%(0円)で融資を受ける。

コンサルタントなどが「自己資金はなるべく多く用意してくれ」というのは、自己資金が多ければ誰でも融資は実行されるからだ。

自己資金10%未満は厳しいが、10%程度は全然可能だ。例え1回や2回金融機関に断られても交渉し、実行まで持っていく。たかが数回の交渉と多額の自己資金を貯める労力を比べれば、どちらが良い方法かは言うまでもない。

歯医者の開業資金の融資において、金融機関は歯医者として優秀かを見ているわけではない。「お金の知識」として優秀なものを持ち合わせている歯医者かどうかを見ている。

では、本題に入って行こう。

 

 

開業資金や運転資金の種類と選択

融資や借入というと、単純に「銀行に行って借りれば良い」と考え、最初から銀行からのプロパー融資(銀行直接融資)での融資実行を目指す開業医も多い。

それでも実行できれば良いと言えばいいが、今後の資金繰り計画などを考えると最も賢い方法とは到底言えない。

借入方法や融資の種類などは多く存在するので、ここでは以下の3つに絞って説明する。

①日本政策金融公庫

②制度融資(保証協会付融資)

③プロパー融資(銀行直接融資)

それぞれに特徴があり、状況に適した種類の融資を活用することで歯科医院を円滑に経営することが可能となる。

 

 

開業資金は日本政策金融公庫

まだ、信用がない歯医者の開業時に民間金融機関から好条件で融資を受けることは不可能に近い。そこで公的創業融資である日本政策金融公庫の新創業融資を活用するべきだ。

そこで、開業時に日本政策金融公庫の新創業融資を活用する理由を示す。

  1. 最近の傾向として、政府として起業を積極的に促し、開業融資を積極的に実行している。
  2. 自己資金要件が10分の1以上に緩和されたうえ、設備・運転資金で最大2年の据置期間がある。
  3. 3000万円まで無担保・無保証で融資が可能。

大きな特徴は、自己資金要件が3分の1から10分の1に大幅に緩和され、据置期間も最大2年に拡充されたことだ。要するに、1000万円の事業であれば自己資金100万円で900万円の融資を受けることができ、返済は2年後からスタートということになる。

政府が融資に積極的に取り組んでいることもあり、無担保・無保証なのでリスクは無いと言ってもよい状況だ。歯医者の開業時には積極的に活用するべきと考える。

 

融資実行のポイント


とは言え、融資を断られることもある。そこで、日本政策金融公庫がどこを見て融資判断を行っているかを、私の経験も含めお伝えする。

通帳のここを見る

歯医者の開業に伴い融資を受けるためには面接がある。そこで通帳の中身を確認される場合がほとんどだ。

これは預金が多いか少ないかを見ているわけではない。日本政策金融公庫が公的な機関であるという特徴がある。そのことから、

公共料金や税金の支払い

電気・ガス・水道といった公共料金が遅れずに引き落としされているか。税金(勤務であれば固定資産税など)の支払いが遅れていないかを見る。

これは、開業する歯医者がお金にルーズかどうかを見ているのと、公的機関が融資するということに理由がある。公共料金が遅れたりしそうな方は、引き落としでなく、コンビニ払いなどにしておくと多少遅れても言い訳できる。

自己資金

10分の1の自己資金だが、単純にあるか無いかを見ているのではない。自己資金100万円で900万円の融資を受けるのに、預金が1000万円あれば通常は安心して融資が実行されると思いがちだが、決してそういうことではない。

歯医者が開業するまでに自己資金ができる経緯を見ている。なので、裕福なバカボンが「親が援助してくれた資金です」などといっても、それはあなたが管理していたものではないので意味がない。

これから事業を継続していくための資金管理能力を見ている。

断られても交渉

歯医者の開業資金の満額融資が断られることも多い。ほとんどの人はここで諦めるが、「融資は断られてからが本番」というくらいに考えていた方がよい。

一発で融資が実行されるよりも、交渉で融資が実行されることの方が私たちは圧倒的に多い。一度断られたくらいで凹むハートの弱さでは話にならない。

また、最近では事業計画書が融資実行の重要な判断材料となっている。ここでいう事業計画書とは、日本政策金融公庫から求められるレベルの計画書ではない。一般企業の事業コンペやエンジェル(ベンチャーキャピタル投資家)、補助金の獲得などで作成するレベルの事業計画書のことだ。事業計画書については、歯医者も補助金・助成金・融資で必須!事業計画書の作成方法で説明している。

日本政策金融公庫の新創業融資はこちらから➤➤➤

 

 

歯医者の開業の資金調達に制度融資

制度融資とは、市町村などの自治体が、個人や中小企業をサポートする目的の融資制度だ。

各自治体にある信用保証協会が個人や中小企業の保証をすることで、金融機関からのからの融資がスムーズに行われる。そのため、保証協会付融資とも呼ばれる。

制度融資でも歯医者の開業資金の調達は可能だ。だが、制度融資は事業の途中での使い勝手の方が良いという性質がある。

しかし、歯医者の開業となると融資額が多額になることから日本政策金融公庫だけで全て調達することは難しい場合もある。そのような場合に併用することも可能だ。

制度融資も日本政策金融公庫と同じく公的融資のため、スムーズに融資が実行されることと金利が低いことが特徴だ。

市と県での違い

制度融資でポイントとなるのが、市と県によって制度融資の内容が違う場合がある。例えば、市の制度融資は保証料がかかるが、県は保証料が無料などだ。

どちらを選択するのかによって違いが生じる場合があるので、あらかじめ自治体に確認する必要がある。

市県民税

次に、保証協会と金融機関がどこを見るかと言えば、売り上げを中心的にみている。後は市県民税の税額によって融資枠を決める傾向にある。

多額の資金が必要な状況など、場合によっては修正申告なども考える必要がある。

融資条件

制度融資も日本政策金融公庫と同じく、ほとんどの場合が無担保・無保証・低金利で借りることができる。

また、制度融資と連動して様々な公的融資のパッケージが出される。そのような新たな制度を常にチェックしておくことで、他者よりも返済条件や借換条件などが好条件となる状況が生まれる。

また、ここでも日本政策金融公庫と同じく事業計画書を作成することでスムーズな融資実行に繋がる。「あーだこーだ」口頭で説明されても担当者以外は理解できないうえ、事業が持続的に発展する根拠がない。論理立った事業計画書で示す以外に、具体的な事業計画を伝える方法は無い。そのため、事業計画書がスムーズな融資実行に繋がるということだ。

事業計画書で金融機関と、いつ、いくら、なぜ、資金が必要となるのかを計画であらかじめ協議しておくと非情にスムーズに進む。ペースとしては400万円を借入て、順調に200万円を返済した時点で新たに400万の借入が可能となる感じだ。

自己資金ゼロの自治体も

最近は自己資金ゼロでの制度融資に取り組む自治体も出てきている。

歯医者の開業資金に関していえば、日本政策金融公庫と自治体の制度融資の条件を見比べて好条件な方からチャレンジするべきだ。

また、日本政策金融公庫と併用したり、別の金融機関(信用金庫など)から複数本を借入れたりと資金調達には様々テクニックがある。

信用保証協会の詳しい情報はこちらから➤➤➤

 

 

プロパー融資(銀行直接融資)

驚くのが歯医者の開業や、歯科医院経営においてプロパー融資によって資金調達をしている歯科医師が多いことだ。

あなたが10億円を超える売上が有る歯医者であればプロパー融資は有効だ。しかし、売上が10億円以下であればプロパー融資が好条件である場合はほとんどない。

したがって歯医者経営でプロパー融資を積極的に活用するメリットはほとんどないと言える。

プロパー融資でなくてもよい

制度融資の時に言い忘れていたが、歯医者の開業や事業資金で保証協会付融資で融資を受けるのは信用金庫にするべきだ。

信用金庫は営業エリアが決まっている。あなたの地域に根差した歯医者を営業していることから、地域密着で貸主と借主は一進一退の関係だ。なので、あなたの歯科医院の経営が順調でないと信用金庫も困るという構図だ。

なので、地銀はまだしもメガバンクから融資を受ける意味などないと思った方がよい。メガバンクがあなたの歯科医院の経営にそこまで親身になる必要があるのかを考えると分かると思う。

そこで、プロパー融資でなくても良い理由は、あなたの歯科医院がある地域が余程の郡部ではない限り、数件の信金があると思う。1つの金融機関だけでなく、複数の信用金庫から借入ることで問題は解決できる場合は多い。

また、複数の信用金庫から借入れるには、とても大きなメリットがある。私も信用金庫から最大8本の借入があったが、それにはとてつもなく大きなメリットがあるからだ。テクニック次第で月の返済額を半額にすることもできる。この方法は歯医者の年収と推移:年収を確実に倍化させる3つの方法とはで説明している。

 

 

まとめ

誰でも最初は歯医者の開業に必要な経営知識や経験などない。融資制度の種類や、資金調達方法、金融機関の特徴など知らない。

しかし、一般的な事業の起業と言えば開業資金200~300万円規模の個人事業から始まる。中規模な飲食店の開業でも、始めはせいぜい1000万~1500万円程度だ。

そして、その間に小さな失敗を繰り返しながら経験を積み、事業規模の拡大・多角化へと成長していく。例えるなら、自転車に乗れるようになるようなものだ。特殊な才能の持ち主でない限り、一度もコケることなく自転車に乗ることはできない。

歯医者の開業・経営や、一般事業経営も自転車の練習と同じだ。小さな失敗を繰り返し軌道修正し続けることが重要で、死に至る程の大事故を起こせば終わりだ。自転車も事業も変に慣れてきた頃に即死することが多い。普通は練習時期に即死する程の事故にはならない。

歯科医院の開業とは

一方、歯科医院の開業は数千万円かかると言われている。これは失敗すると即死のレベルだ。だが、即死する歯科医院はほとんどない。なぜなら、歯科の保険点数がいくら低いとはいえ、保険制度などで守られているからだ。

また、キャッシュインの仕組みが零細企業規模にもかかわらず、値下げ要求・競争に巻き込まれることがなく、優先的地位によって先取特権を得ることができていることにある。

しかし、決して豊かとはいえない。その理由には開業時をはじめとして資金繰りで失敗していることが大きな理由のひとつだ。資金繰りの改善で経営状況は劇的に良くなる。

経営知識が乏しいことは罪

今回は融資の種類や特徴をお伝えしたが、返済方法は知識を得ることで、利益を最大にすることができる方法もある。

同じ借入金額の歯科医院が2軒あるとして、月々の返済額が半額であれば、半額の歯科医院のキャッシュ・フローが豊かであることは誰でもわかる。そのような状況を生み出すことは何も難しいことではない。

私たちは、歯医者であっても経営者の能力と意識を身に着けてほしいので、記事を書いて伝えている。あなたの歯科医院の経営力アップであなたの収入を増やすことは簡単だ。

しかし、そんなことよりも経営力アップで手に入れた利潤を、歯科医師以上に困っている衛生士さんや技工士さんに還元してあげてほしい。そうすることであなたへの信頼と評価は絶大なものとなる。良いと感じたものは人に伝えるし、歯科医院の結束力は他医院ではまねができない最高のチームを創り出すことへとつながる。

本サイトでは、資金面だけでなく歯医者の売上を劇的に増やすノウハウや、開業前から集患する方法なども伝えている。是非、様々な記事を参考にしていただきたい。

 

 

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歯科技工士の本当の年収は?時給で計算すると170円だった!

この記事では、歯科技工士の実態から求人サイトなどで示されている歯科技工士の年収や労働環境が如何に信憑性の乏しい情報であるかを報告したい。

歯科技工士を目指す方々や、実態を正しく把握したい若手技工士のための「歯科技工士の本当の年収」の情報を提供するために。

 

求人サイトなどでは


「歯科技工士 年収」などのキーワードで検索すると、求人サイトなどで多く示されている歯科技工士の年収は、

求人サイト

  • 平均年齢:40~50歳
  • 勤続年数:10~20年
  • 労働時間:170~180時間/月
  • 超過労働:8~10時間
  • 月額給与30~35万円
  • 年間賞与40~45万円
  • 平均年収:400~500万円

などと示している場合が多い。おそらく根拠となる資料は、

厚生労働省:賃金構造基本統計調査 から算出したものだと考えられる。しかし、鵜呑みにしてはならない。ハッキリ言って参考にならないデータなので、実態を示した正確なデータをこの記事では示したいと考える。

 

実態は以下の通り


まず、気になる「実態」を示した歯科技工士の年収と就労状況を示す。

実態

  • 平均年齢:52~57歳
  • 技工年数:10~20年
  • 労働時間60~90時間/週
  • 月額給与17~33万円
  • 平均年収:200~400万円

※労働時間は月ではなく週なのでお間違えないように。そのため、超過労働は労働時間に含む。

以上のデータの根拠は後で説明するとして、8時間労働で週休2日(一般常識を採用)でザックリ時給を算出すると時給170円ということになる。

「さすがに時給170円は無いやろ」と少しビビッてしまった。そこで、思い切って365日年中無休で働いた場合(一人コンビニのような感じ)の時給も示すと、大幅アップで755円となり、多くの自治体の最低賃金に少し及ばない程度となった。

※だが、本来は8時間労働、週休2日程度で算出するのが一般的だ。社会通念上、365日24時間労働で算出する時給や年収なんかは存在しない。

一言でいうと歯科技工士の業界全体はブラック産業ということは間違いない。

それでは、このデータの根拠を示していこう。

 

歯科技工士の特徴

はじめに求人サイトなどで示されている歯科技工士の年収がいかに実態を反映していないかを示す。そのためには歯科技工士の就労実態がどのような特徴があるのかを知る必要がある。

歯科技工士のほとんどは歯科診療所で雇用されているわけではない。歯科医師は患者さんの歯科技工物(入れ歯や、被せ物)を自分で作るわけではなく、患者さんの歯形を歯科技工所(ラボ)という製作現場に外注委託する。

簡単に言うと、歯医者さんから外注委託され、歯科技工物の製作を「歯医者さんの下請け」として作るのが歯科技工所ということになる。そこで入れ歯などを製作するのが国家資格を持った歯科技工士だ。

そして、この歯科技工所の特徴が、歯科技工所全体の80~90%が1~2人で歯科技工業を営む個人事業という事業形態だ。なので、ほとんどの歯科技工士は個人経営であるという大きな特徴がある。

歯医者さんのほとんどが個人経営で、イオン歯科やセブンアンドアイ歯科のような大型量販店型ではないのと同じイメージだ。

全ての歯科技工物は手作りで制作され、職人仕事であることは言うまでもなく、

  • ほとんどの歯科技工士は歯科医院で雇用されているのではない。
  • 歯医者の下請けとして歯科技工物の製作を請け負っている。
  • そのほとんど(80~90%)が個人事業という経営形態である

という特徴がある。

 

 

実態を反映していない

そこで、歯科技工産業がブラック産業であるという根拠に入る前に、求人サイトなどで紹介されている歯科技工士の年収は「厚生労働省:賃金構造基本統計調査」を基に示してあるが、いかに実態を反映していないかを示す。

まず、この調査の特徴は

  • 対象は10人以上の事業所
  • 区分訳は、10~99人、100~999人、1000人以上

となっている。この時点で歯科技工士(所)の特徴を反映したものではない。

しかし、少数ではあるが大手技工所もある。そこに就職すると良いだけかと思われるかもしれないが、私たちが知る限り、大手歯科技工所が調査結果のような就労環境にあることはない。

では、なぜ実態と調査結果にこれだけの開きが生じるのだろうか?明確な理由は分からないが、私たちはこう考える。

この調査は厚生労働省によって行われている。そして歯科技工士を所管するのも厚生労働省だ。さらに技工所の従業員ではなく、報告するのは技工所の経営者だ。

そのことから、ブラック企業である技工所が、自らを所管する厚生労働省にそのまま「ブラック企業です」と報告するはずがないではないか?

 

 

歯科技工士の年収と労働実態

では、実態はブラック産業であるという根拠を示す。冒頭から繰り返している「実態」ということがカギとなる。歯科技工所の実態を示した調査データがある。

 

歯科技工士実態調査

はじめに紹介するのは、公益社団法人「日本歯科技工士会」が定期的に行っている歯科技工士実態調査というものがある。

実際のデータは、こちらの2015歯科技工士実態調査を参考にしていただきたい。ここから、自営者の労働状況と歯科技工士の年収を示すと以下のようになる。

 

2015歯科技工士実態調査

  • 平均年齢:53.6歳
  • 休日:週0.9日
  • 週労働時間:平均は68.9時間
  • 平均年収:255.3万円

 

この調査は、日本歯科技工士会が3年ごとに定期的に行っている調査だ。

特徴は、歯科技工士会員が対象であるということだ。日本歯科技工士会の歯科技工士全体に占める会員比率は30%程度で、ベテランの技工士が多く、会費を支払っていることもあり「比較的豊かな技工士」と言われている。

 

歯科技工所アンケート

次に紹介するのは全国保険医団体連合会が行った「2016 年歯科技工所アンケート」というものから歯科技工士の年収を示したものだ。実際のデータは2016年歯科技工所アンケート調査結果と概要報告を参考にしていただきたい。

 

2016年歯科技工所アンケート

  • 平均年齢:55.77歳
  • 休日:週1 日が48.2%、ほとんど取れない30.5%
  • 週労働時間:71~80 時間が16.3%、61~70 時間が14.5%
  • 平均年収:317万円(300万円以下が53%)

 

このアンケートの特徴は、全国2,454件の歯科技工士(所)がアンケートに答えており、過去に類を見ない規模で実施されたのアンケートであることだ。

また、歯科技工士会の会員、会員以外関係なく行っている調査なので、最も業界の現状を反映していると言える。

また、このアンケートでは膨大な数の自由コメントを集め公開している。データだけでなく現役技工士の生の声が集められている貴重な調査結果だ。

 

 

歯科技工士の年収と実態のまとめ

まずは、歯科技工士の年収や労働実態の貴重な調査・アンケートを実施されいる日本歯科技工士会と全国保険医団体連合会に心より敬意を表したい。

双方の調査結果からは、過労死ラインを大幅に超える超長時間労働であるという実態が明らかになっている。そのことからも日本の歯科医療は歯科技工士の過重労働によって支えられていると言ってもよい。

そして、この調査結果は厚生労働省も日本歯科医師会も把握しているが、特に対策をとる姿勢は見られない。特に日本歯科医師会に至っては、闇献金問題や迂回献金問題と「政治と金」の問題を牽引している「自分たちさえ良ければよい」との考えの問題団体であることは明らかだ。

 

若い技工士が犠牲に

歯科技工士の年収や時給を実態に合わせて算出すると、歯科技工士の就労環境はとんでもなく劣悪な状況であることが分かった。

そして一番の被害者は若い技工士たちだ。「歯科医療を通じて社会に貢献したい」と夢と希望をもって歯科技工士という職業に就くこととなった彼らの約8割は5年以内に離職する。脅威の離職率8割をたたき出すブラック産業化を牽引しているのは誰なのか?

離職率8割の詳しい記事はこちら👉歯科技工士の実態と離職率!5年以内の離職率は?マジか80%

彼らは歯科医療にかかわる者たちの「見て見ぬふり」と「他人事」というような関わり方により未来を奪われている。

私が良い歯医者とは?と問われると、若い歯科技工士のような弱い立場のために勇気を持って行動する歯科医師と答える。そういう歯科医師は、困っている患者さんに対しても同じように接することが出来ると思う。

インテリ気取って辱めもなくしょーもない話をする歯医者ではなく、少数派であってもこのような歯科医師を応援したいし、そのような歯医者が患者さんから評価されるような情報を発信していきたいと考える。

 

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歯医者に患者・予約・来院を確実に増やす経営学的6ステップ

あなたは、「良質な歯科医療サービスとは?」と問われると何と答えるだろう?

言うまでもなく、良い治療は「良質な歯科サービス」を構成する要因の1つだ。しかし、「良質な歯科医療サービス」とはそれだけでな無い。

記事を読んだ最後に「良質な歯科医療サービスとは?」の答えが今とは違い、新たな発見が含まれた答えが生まれることを期待したい。

だが、そんなことはどうでもよく、あなたの歯科医院が地域から信頼・評価され、これからも患者数の減少や、予約が埋まらないことなど経営の不安が無いのであればこの記事を読む必要はないと思う。

しかし、

  • 確かな歯科医療技術の習得・向上に努め、
  • 最先端の機材や、診療所の内外装を整え、
  • スタッフ教育をしっかり行い、

立地条件などのリサーチもしっかり行い開業することで、口コミでも広がり、安定的な歯科医院経営が確立されると思っていたら大間違いだ。

おそらく上記の要因だけでは、来院患者や予約を増やすことには思うような成果は得ることが出来ない。

何故なら、これらの要素はマーケティングの「強み」としての優位性はあるが、小規模事業マーケティングの原理原則が理解出来ていなければ、歯医者に患者・予約・来院を増やす効果を最大限発揮することはできないからだ。

 

歯科診療所におけるマーケティング

はじめに歯科医院に限らず、小規模事業者が行うマーケティング戦略は、大企業や中堅企業(地域の大企業)のマーケティングとは全く違う。

基本的に大企業が行うマーケティングは、「マスマーケティング」と言われるものだ。マスマーケティングとは簡単に言うと、テレビ広告などで大々的に宣伝を行う方法だ。そのため、幅広い人々に企業名ではなく商品名として消費者に意識付けられる場合が多い。「誰もが知っている商品」というように周知される効果がある。

ここでは、マスマーケティングを詳しく知ったところで、歯科医院経営や患者の来院、予約増には全く役に立たないため、詳しい説明は割愛させていただく。

 

購買サイクルを歯科医院経営に

歯科医院をはじめとする小規模事業ではマスマーケティングを行ってはいけない。ターゲティングを徹底的に行い、マスマーケティングとは真逆の戦略を取ることで利益に繋げることが可能となる。

そこで利益を上げるには、

見込患者を獲得し、

②新規患者に変え、

③さらにリピート患者になって貰う

ことが重要だ。この三段階は、商売の基本中の基本だ。

このように、見込患者があなたの歯科診療所を知り、予約をする、実際に来院し、診療に満足してリピート患者になるまでの一連のステップを一般的には「購買サイクル」と言う。

 

購買サイクルの6つのステージ

  1. Awareness(認知):あなたの歯科医院または治療/医療サービスのことを認知する
  2. Interest(興味):治療や医療サービスに関してもっと知りたいという興味を持つ
  3. Consider (検討):治療や医療サービスのため来院を具体的に検討する
  4. Purchase(購入):治療や医療サービスを受診し新規患者に変わる
  5. Repeat(継続):治療や医療サービスに満足した結果リピート患者や継続利用をする
  6. Advocacy(応援):歯科医院のファンになり積極的に友人知人に広める

 

簡単に言うと、歯科医院経営に必要なマーケティングとは、この購買サイクルのそれぞれのステージで、最適なツールを使って最適なタイミングで良質な歯科医療コンテンツを提供することで、スムーズに治療や予防の実施に結びつけ、来院してもらうことで利益を上げることを指す。

「そんなこと知ってるわ」と感じるかと思う。しかし、実際にはこのことをしっかりと理解している方は少ない。

実際にインターネットのPPC広告に頼っているが、広告費の高騰も相まって思うように患者獲得の成果を上げることが難しくはなっていないだろうか?

当記事では認知から購入までのステップで行う歯科医療コンテンツマーケティングのノウハウをお伝えする。

 

歯科医療コンテンツマーケティング

上記で示す「購買サイクル」6つのステージを確認していただくと分かるが1~3

  • Awareness(認知):あなたの歯科医院または治療/医療サービスのことを認知する
  • Interest(興味):治療や医療サービスに関してもっと知りたいという興味を持つ
  • Consider (検討):治療や医療サービスのため来院を具体的に検討する

までは、見込患者に実際の行動を促すための要素だ。そして4~6

  • Purchase(購入):治療や医療サービスを受診し新規患者に変わる
  • Repeat(継続):治療や医療サービスに満足した結果リピート患者や継続利用をする
  • Advocacy(応援):歯科医院のファンになり積極的に友人知人に広める

で患者は実際に予約という行動に移り、来院し、リピート患者となるまでとなる。ここで理解していただきたいのは、実際に来院し、歯科治療を実施のは6ステージの後半の半分だけだ。

 

見込患者の階層別のボリューム

ここで考えていただきたい。あなたの歯科医院では実際に来院した4~6のステージでは最高の歯科医療を提供するために日々の努力を怠っていないと思う。

しかし、購買サイクルのステージ1~3に対してはあまり積極的にマーケティング戦略は行っていないのではないか?実はこの1~3のステージこそがカギとなる部分で、ここに力を入れることで4~6のステージの患者数は天と地ほどの違いが生じる。

ステージごとの具体的なノウハウは別記事にて説明するとして、先ずは何故4~6の患者数に天と地の差が生じるかを図で示す。

購買サイクルは逆ピラミッド型となっている。そして6つのステージでは、1~3がボトムとなっていて最大層だ。これは所得階層の図式でも同じような傾向がある。保険治療であろうが自費治療であろうが同じだ。

これは単に患者増による利益拡大を目指すだけではない。歯科医療コンテンツを高めることにより、歯科治療が必要にもかかわらず、受診に至っていない潜在的患者の歯科医療ニーズを掘り起こすことにも繋がる。

 

良質な歯科医療サービスとは?

それでは、ここで改めて「良質な歯科医療サービスって何?」と言われて、あなたは何と答えるだろうか?

記事を読み始めた段階では、多くは「高い技術の治療や予防を患者に提供すること」、「歯科医も患者も満足できる治療を行うこと」と答えていたかもしれない。しかし、それだけでは購買サイクルステージ1~3の潜在的患者さんにとって満足するには程遠いものだということに気付いていただけたかと思う。

私たちはこのように定義している。

「良質な歯科医療サービス」とは、潜在的患者が持っている「これを知りたい。あれを知りたい」というニーズをも120%満たす歯科医療コンテンツ情報を提供することと。

より良く理解するには、「悪い歯科医療コンテンツとは何か?」を知ることが近道だ。

「悪い歯科医療コンテンツ」とは、患者ニーズを満たすという視点が欠落して、自分目線で自分が言いたいことを主張しているもののことを言う。

 

患者ニーズとは何か?

以下の図を見てほしい。

 

これは、Googleで検索されているキーワードのボリュームを知ることの出来るキーワードプランナーというツールだ。

まず、検索キーワードは単純に「歯医者」と入力してみた。ここからは高度な分析を行わなくても(本来は徹底的に分析する)、患者が歯科医院に予約を入れ、来院するまでの不安や、来院を遠ざける理由が見えてくる。

また、様々な患者アンケートなども参考に、来院までの障壁が明確なものを簡単にまとめると以下のようになる。

① 歯医者選び

② 費用が心配(自費or保険、窓口負担、通院期間を含む)

③ 痛い・怖いといった不安

まだまだ細かなニーズをくみ取れば山ほどあるが、大きくはこの3つとする。

この時点で簡単にまとめると、やはり患者さんは上記のような不安が来院するまでの大きな障壁になっている。そこでこの不安を払拭することによりスムーズに来院へと繋げることが可能となる。

ここにこそ歯科医療コンテンツマーケティングにより、スムーズに「購買サイクル」に結びつけるポイントがある。

患者さんは、上記の不安を解消してくれる歯科診療所 = 信頼できる歯医者となる。そのためにも、患者さんの抱く不安を解消するために「これを知りたい。あれを知りたい」というニーズを120%満たす情報を提供する必要があるのだ。

 

しかし、実際には多くの歯科医が力を入れてアピールしていることは

  • 高額な自費治療
  • 高額機器や診療所の内外装
  • 学会やスタディグループなどの経歴

が多い。悪いことではないが、このようなアピールは安心には直結するが、「患者さんが最も知りたいこと」であろうか?実は最もアピールする部分ではない。

これでは、患者ニーズを満たすという視点が欠落して、自分目線で自分が言いたいことを主張している「悪い歯科医療コンテンツ」と言える。

 

購買サイクル1~3のステージにアプローチ

では、ここからは実際に見込患者の獲得の方法を解説していく。ただ、その方法は1つではなく、あまりに多い。

そのため、この記事では1つに絞って書く。他の歯科経営に直結する実戦的な方法に関しては、個別記事にて説明していきたい。最大の成果を得るためには、様々な方法を組み合わせる必要がある。「合わせ技一本」の様なものなのだ。

そこで私たちは、既に歯科医院を経営しているDrだけでなく、開業前のDrも活用できる方法に絞りお伝えしたいと思う。

そこで、あえて要件を絞り込む。

  • 開業前でも効果的な方法である
  • 副次元的に自身の経営力アップに直結する
  • お金と時間の負担がなく実施できる

そして、この記事によって短期間で見込患者を増やし、予約、来院という成果を得ることが出来る方法に絞り込む。そうなると私たちはブログが良いと思う。

「ブ、ブ、ブログって( ^ω^)・・・しょーもな😞」みたいに感じるかと思う。しかし侮るなかれ、ブログは現代経営においては非常に効果的なツールであることを示したい。

ちなみにこの記事もブログ記事だ。

次は別記事にて、ブログの効果を含め、歯科経営においてWEBマーケティングがいかに経営力アップにつながるかをお伝えしたいと思う。是非、参考にしていただきたい。

 

 

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