騙されるな!歯科技工士は奴隷?実態は?正しい知識のすべて

歯科技工士という仕事は、超高齢化社会の到来や現役歯科技工士の高齢化に伴う需要拡大、「手に職」ということで安定した仕事と感じている方が多い。

一方で、情報社会の発展により、ブラック産業や高離職率などの負の面がWEBだけでなく、実社会や政治の場でも問題視されるようになった。

私自身は完全に「ブラック産業」であると考えているが、ここではデータなどから客観的に歯科技工業界がどのような状況にあり、どのようなシステムで運営されているのかを示したい。

「技術さえつければ、いくらでも稼げる!」や「先ずは技術をつけてから!」などと何の根拠もなく自信満々に言ってくるバカな現役歯科技工士は驚くほど多い。

若い歯科技工士のみなさんや、これから歯科技工士を目指す皆さんは正しい知識を付け、現在の残念な技工バカが技工バカを生み出し続ける負のスパイラルに巻き込まれないようにしていただきたい。

 

歯科技工士の状況

歯科技工士の本当の年収は?時給で計算すると170円だった!

歯科技工士の実態と離職率!5年以内の離職率は?マジか80%

歯科技工士数と歯科技工所数の推移:その驚きの結果とは!

無資格で歯科技工物を製作!200以上の歯科医院で患者に装着

 

歯科技工士・技工所に必要な知識

歯科技工士専門学校に入学する前に知っておくべき3つの事実

歯科技工士とは?歯科技工士に必要な資格や働き方とは

歯科技工士(所)が開業前に絶対に知るべき5ステップ

✅■歯科技工士の問題は、歯科保険点数の仕組だった!解決策は?

 

 

 

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歯科技工士専門学校に入学する前に知っておくべき3つの事実

あなたは、歯科技工士のこと知っていますか?

歯科技工士の多くは歯科技工所(ラボ)という所で働いているが、ラボを見たことがある人はどれだけいるだろうか?

  • 歯科技工士は儲かるのか?
  • 歯科技工士は手に職を持った安定した職業なのか?
  • 労働環境や将来性はどうなのか?

あなたは、歯科技工士専門学校や4年制大学・短大へ入ることが目的ではないはずだ。

歯科技工士になった後に充実した人生を送れるかどうかが最も重要なはずだ。そのためには、歯科技工士になった後がどのようなものかを知る必要がある。

何故なら、このことを知らないでいると歯科技工士専門学校の入学金・学費・時間と労力は全て無駄になるからだ。

 

歯科技工士専門学校の入学金・学費が無駄になる

歯科技工士になるためには、歯科技工士の国家資格を得ることが必要だ。

そのためには歯科技工士専門学校(2~3年・夜間課もあり)や、4年制大学・短大でのカリキュラムで歯科技工について学ぶ必要があることは既にご存知の通りである。

しかし、歯科技工士専門学校で学び、国家資格を所得したにも関わらず、そのほとんどの歯科技工士が既に歯科技工士として働いていないことはあまり知られていない。

歯科技工士専門学校の入学金・学費・時間と労力は全て無駄になる」とハッキリ言いきれるには根拠がある。

なぜなら歯科技工士専門学校を卒後し、国家資格を得て、歯科技工士として働きだした若い歯科技工士の5年以内の離職率は約80%と異常な状況にあるからだ。

 

歯科技工士専門学校の情報だけを鵜呑みにしていないか?

歯科技工士に興味を持ち、歯科技工士を目指そうとした場合、歯科技工士教育機関に入学する前に歯科技工士専門学校のホームページやパンフレットなどで情報を得るかと思う。

そこには、「高齢化社会で歯科の需要が高まる」や「年齢構成で若い技工士の割合が低い」などと明るい未来が待っているかのような情報ばかりが発信されている。

さらには、「WEB上での歯科技工士の情報は一部の歯科技工士」と長時間労働の問題を「一部の技工士」と堂々とハッタリをかます専門学校まである。(※歯科技工士の離職問題の原因は長時間労働・低賃金)

学校は生徒を集め、入学金や学費で儲けることが目的なので仕方がない部分もあるが、ここまで行け「詐欺」に近い。そもそもメリットとデメリットの双方があるのは当たり前のことだ。

しかし、デメリットを伝えないということは「意図的に隠している」または「正しく分析できていない」のどちらかだ。そして、“デメリットが多い=ダメ”というわけではない。正確に分析できているかどうかの話だ。

そのことを踏まえて、

本記事では、歯科技工士の長時間労働・低賃金が「一部の歯科技工士」ではないことと、卒後5年以内の離職率が約80%という根拠を示したいと思う。

先ずは、下に各歯科技工士専門学校の一覧を示しているので歯科技工士の魅力をご確認いただきたい。👇

歯科技工士教育機関の一覧はこちら
都道
府県
学  校  名 郵便
番号
住     所 電話番号
北海道 北海道歯科技術専門学校 歯科技工士科 061-1121 北広島市中央3-4-1 011-372-2457
吉田学園医療歯科専門学校 歯科技工学科 060-0063 札幌市中央区南三条西1丁目 011-272-3030
札幌歯科学院専門学校 歯科技工士科 064-0807 札幌市中央区南七条西10-1034
札幌歯科医師会会館内
011-511-1885
青森歯科技工士専門学校 038-0031 青森市三内字稲元122-2 017-782-3040
岩手医科大学医療専門学校 020-8505 盛岡市内丸19-1 019-651-5111
(内4128)
東北歯科技工専門学校 982-0841 仙台市太白区向山4-27-8 022-266-0237
仙台歯科技工士専門学校 984-0051 仙台市若林区新寺3-13-6 022-293-1822
東北大学歯学部附属歯科技工士学校 980-8575 仙台市青葉区星陵町4-1 022-717-8428
東北歯科専門学校 歯科技工士科 963-8015 郡山市細沼町12-18 024-932-5690
茨城歯科専門学校 歯科技工士科 310-0911 水戸市見和2-292-1 029-252-3335
栃木県立衛生福祉大学校 歯科技工学科 320-0834 宇都宮市陽南4-2-1 028-658-8521
埼玉歯科技工士専門学校 337-0051 さいたま市見沼区東大宮1-12-35 048-685-5211
筑波大学附属聴覚特別支援学校 歯科技工科 272-8560 市川市国府台2-2-1 047-371-4135 3年制
東京医科歯科大学歯学部口腔保健学科口腔保健工学専攻 113-8549 文京区湯島1-5-45 03-5803-5780 4年制大学
日本大学歯学部附属歯科技工専門学校 101-8310 千代田区神田駿河台1-8-13
日本大学歯学部内
03-3219-8007 夜間課程 (3年)
愛歯技工専門学校 173-0003 板橋区加賀1-16-6 03-5375-5516
新東京歯科技工士学校 143-0016 大田区大森北1-18-2 03-3763-2211 夜間課程 (3年)
昼間課程(2年)
東邦歯科医療専門学校 歯科技工士学科 191-0032 日野市三沢1-1-1 042-591-5364
日本歯科大学東京短期大学 歯科技工学科 102-0071 千代田区富士見2-3-16 03-3265-8815 短期大学
神奈川 新横浜歯科技工士専門学校 222-0033 横浜市港北区新横浜2-6-10 045-472-5101
横浜歯科医療専門学校 歯科技工士学科 220-0011 横浜市西区高島1-2-15 045-222-8661
明倫短期大学 歯科技工士学科 950-2086 新潟市西区真砂3-16-10 025-232-6351 短期大学
富山歯科総合学院 歯科技工士科 930-0887 富山市五福五味原2741-2 076-441-5355
石川県歯科医師会立歯科医療専門学校 歯科技工士科 920-0806 金沢市神宮寺3-20-5 076-253-0039
岐阜県立衛生専門学校 歯科技工学科 500-8226 岐阜市野一色4-11-2 058-245-3691
愛知学院大学歯科技工専門学校 464-8650 名古屋市千種区楠元町1-100 052-751-2561
名古屋歯科医療専門学校 歯科技工士科 451-0043 名古屋市西区新道1-26-20 052-563-2121
東海歯科医療専門学校 465-0032 名古屋市名東区藤が丘158 052-773-7222
滋賀県歯科技工士専門学校 525-0072 滋賀県草津市笠山7-4-43 077-564-6691
京都歯科医療技術専門学校 技工士科 604-8415 京都市中京区西ノ京栂尾町3-8 075-812-8494
大阪大学歯学部附属歯科技工士学校 565-0871 吹田市山田丘1-8 06-6879-2285
大阪歯科大学歯科技工士専門学校 573-1144 枚方市牧野本町1-4-4 072-857-3905
新大阪歯科技工士専門学校 532-0002 大阪市淀川区東三国6-1-13 06-6391-2211 昼間課程(2年)
夜間課程 (3年)
東洋医療専門学校 歯科技工士学科 532-0004 大阪市淀川区西宮原1-5-35 06-6398-2255 3年制
日本歯科学院専門学校 歯科技工士学科 577-0803 東大阪市下小阪4-12-3 06-6722-5601
鳥取歯科技工専門学校 680-0845 鳥取市富安2-84 0857-23-3197
島根県歯科技術専門学校 歯科技工士科 690-0884 松江市南田町141-9 0852-24-2727
岡山歯科技工専門学院 701-1202 岡山市北区楢津2182 086-284-4905
広島歯科技術専門学校 738-8504 廿日市市佐方本町1-1 0829-32-1861
広島大学歯学部口腔健康科学科口腔工学専攻 734-8553 広島市南区霞1-2-3 082-257-5797 4年制大学
下関歯科技工専門学校 751-0823 下関市貴船町3-1-37 0832-23-4137 夜間課程 (3年)
香川県歯科医療専門学校 技工士科 760-0020 高松市錦町2-8-37 087-851-6414
河原医療大学校 歯科技工学科 790-0005 松山市花園町3-6 089-915-5355 H22年度新設
徳島歯科学院専門学校 歯科技工士科 770-0003 徳島市北田宮1-8-65 088-631-3977
九州歯科技工専門学校 820-0044 飯塚市横田770-1 0948-24-6400
博多メディカル専門学校 歯科技工士科 812-0044 福岡市博多区千代4-32-1 092-651-8001
九州医療専門学校 歯科技工士科 841-0038 鳥栖市古野町176-8 0942-83-4483
熊本歯科技術専門学校 歯科技工士科 860-0811 熊本市本荘3-1-6 096-366-7715
長崎歯科技術専門学校 856-0831 大村市東本町104-7 0957-53-7074
大分県歯科技術専門学校 歯科技工科 874-8567 別府市亀川中央町 0977-67-3038
宮崎歯科技術専門学校 歯科技工士科 880-0021 宮崎市清水1-12-2 0985-29-0057
鹿児島 鹿児島歯科学院専門学校 歯科技工士科 892-0841 鹿児島市照国町13-15 099-226-7079

(公益社団法人 日本歯科技工士会から)

 

歯科技工士の長時間労働・低賃金の実態

■歯科技工士実態調査

はじめに示すデータは2年に1度、日本歯科技工士会によって行われる2015年歯科技工士実態調査からの抜粋である。この実態調査は厚労省も把握し公開されている公的なデータだ。

(問) 1週間の残業を含めた就労時間(通勤、休憩、食事等の時間を除く)等。

平均(時間)
全体 61.5
勤務者 55.6
自営者 68.9

 

(問) 他業種に移りたいと思われる理由は何ですか。【上位3回答】

※前問の歯科技工業から離れ、他業に移りたいと思いますか。の問いに対し「非常にそう思う」「そう思う」を選択した方が対象。

1位 給与 71.5%
2位 労働時間 70.8%
3位 将来性 62.8%

 

■歯科技工所アンケート

次に示すデータは保団連近畿ブロック歯科技工所アンケートである。

このアンケートは全国保険医団体連合会近畿ブロックにより2015年11月に行われたもので、対象は技工所であり、その多くを占める個人事業者の技工所の現状を反映しているものとなっている。

○開業者の年齢、平均53.4歳

○開業年数、平均23.1年

(問) 1週間の労働時間(開設者のみ)

42時間以内 8.4%
43~50時間 12.7%
51~60時間 11.4%
61~70時間 12.4%
71~80時間 17.6%
81~90時間 15.9%
91~100時間 10.9%
101時間以上 8.9%

 

(問) 1週間のうち休みの日数(開設者のみ)

2日 14.1%
1日 49.4%
ほとんど取れない 28.5%
その他 7.2%

 

(問) 昨年の可処分所得。法人の場合は代表者の報酬。

平均 全体412万円 個人369万円 / 法人635万円 一人技工所345万円

 

歯科技工士の実態の詳しい記事はこちら👉歯科技工士の本当の年収は?時給で計算すると170円だった!

 

歯科技工士専門学校の卒後5年以内の離職率

以下のデータは、厚生労働省から公表されている歯科技工士免許交付数と就業数の割合から、

2004年~2012年までの歯科技工士の離職率(2年ごと)を算出したものである。

簡単に言うと、免許発行数に対して、同じ年代の歯科技工士が5年後にどれだけ実際に働いているかを比較したものだ。

計算式は、就労者数÷その年代の免許発行数ということになる。

【歯科技工士の離職率】

25歳未満 25歳~29歳
2004年 79.2% 70.1%
2006年 79.0% 75.0%
2008年 76.0% 76.7%
2010年 74.2% 75.4%
2012年 85.0% 74.0%

 

最近のデータを見ても歯科技工士の離職率の高さは異常な状況にあり、むしろ悪化している状態と感じる。

歯科技工士の離職率に関する詳しい記事はこちら👉歯科技工士の実態と離職率!5年以内の離職率は?マジか80%

 

歯科技工士の魅力

本記事では決して歯科技工士専門学校への入学を考えている人たちに対してネガティブキャンペーンを行っているわけではない。かと言って各専門学校のようにポジティブキャンペーンを行うこともいかがなものかと思う。

歯科技工士の魅力に関しては、各歯科技工士教育機関のホームページで確認していただければお分かりになるかと思う。

■モノづくりが好きな人


モノづくりがとことん好きな人には歯科技工士はいい仕事だ。言い換えれば長時間労働が可能となるのも、モノ作りである歯科技工に没頭できるためだ。

モノづくりが本当に好きな人は歯科技工に没頭できるため、あっという間に時間が過ぎ、多少の長時間労働であれば仕事のストレスはほとんど感じることが無く過ごせると思う。

■独立開業が可能


歯科技工関連機器は高額化しているため、昔に比べると独立開業は難しくなっているが、まだ比較的開業しやすい職業だ。

残念ながら今の開業は、長時間労働・低賃金の就労環境よりは「独立開業の方がマシ」ということから独立がふえているのが実態だ。

しかし、高い歯科技工技術を習得し、しっかりとした歯科技工料金を歯科医からもらうことや、経営を学ぶことで豊かな歯科技工士となることは不可能なことではない。

■海外で活躍することも可能


歯科医療従事者というと、歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士の3者だ。

この3者の中で、世界で活躍しているのは圧倒的に歯科技工士で、日本の歯科技工士の技術や評価は世界一とも言われるほどだ。

世界では日本と違い、歯科技工士に対して非常に評価の高い国も多くある。グローバルに活躍するという大きな夢を実現することも不可能ではない。

 

 

まとめ

歯科技工士専門学校に入学・国家資格を所得する若者は減っている。歯科技工士国家資格の所得状況は以下の通り。

若い歯科技工士の割合が、歯科技工士全体からすると非常に低いことで将来性があるかのように伝えられるが歯科技工士専門学校から伝えられてる。

しかし、若い歯科技工士の割合が低い理由は、間違いなく約80%という異常に高い離職率にある。

言い換えると80%の若者は、歯科技工士専門学校の高い入学金と学費を捨てた上に、歯科技工士として働きだしたのは良いが、肉体的にも精神的にもボロボロになり歯科技工業界を去っているのが現状だ。

歯科技工士を目指し、歯科技工士専門学校への入学を考えている場合は是非、慎重にしっかりと考えてほしいと思う。

 

 

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歯科技工士とは?歯科技工士に必要な資格や働き方とは

 

歯科技工士とは、入れ歯や被せ物(差し歯やブリッジなど)などの義歯を作る仕事だ。

職場は、

①歯科技工所に勤務(営む)が全体の7割

②歯科医院に勤務が全体の3割

 

歯科技工所とは

歯医者さんから外注委託にて義歯の製作を請負う製作所のこと。歯医者さんから歯型を持ち帰り歯科技工所で義歯を製作する。保健所への届出が必要。

 

歯科技工士には国家資格が必要

歯科技工士として働くには歯科技工士国家試験に合格しなければならない。

また、試験に合格した者が、厚生労働大臣が指定する登録機関に申請することで歯科技工士名簿に登録される。そのことにより歯科技工士免許が交付される。

 

歯科技工士専門学校

歯科技工士国家試験の事件資格を得るためには、歯科技工士の養成機関で2年以上学ぶ必要がある。

歯科技工士の養成機関は2年生・3年生・4年制大学・2年生短大や夜間部などがある。

近年は歯科技工士の養成機関に入学する者が激減している。

 

歯科技工士の働き方

歯科技工士の働き方は冒頭に説明したように、大きく2つに分かれている。

①歯科診療所にて雇用され、診療所内で働く歯科技工士

歯科技工士全体の約3割である。現在、直接雇用できている歯科診療所は、歯科診療所全体の1割程と少ない。

②歯科技工所にて働く歯科技工士

歯科診療所にて治療のために歯形を採った後に、歯型を技工所という所に持って帰り、この歯形をもとに冠(かぶせもの)や入れ歯などの歯科技工物を製作する歯科技工士。

外注技工士(所)と言われ、技工士全体の約7割。その内1~2人の個人経営の歯科技工所(一人ラボという)が約8割と個人事業者が多い構成となっていることが特徴である。

外注技工所には、大手技工所とよばれる技工所も存在するが、最大手でも1000人規模であり、歯科技工産業において占めるシェアはそれほど大きくない。

 

歯科技工士の就労環境

歯科技工所は、「入れ歯専門」や「保険外技工専門」など様々な経営スタイルの技工所がある。

ほとんどの歯科技工所では、深刻なレベルの慢性的な長時間労働・低賃金の状況にある。そのため、過酷な就労環境となっている。

参考はこちら👉歯科技工士の本当の年収は?時給で計算すると170円だった!

また、そのことにより養成機関を卒業した歯科技工士の約8割が離職するという異常事態となっている。

参考はこちら👉歯科技工士の実態と離職率!5年以内の離職率は?マジか80%

現段階では、歯科技工士の劣悪な就労環境・離職問題を解決するための業界全体の動きなどは一切見られない。

 

海外で活躍する歯科技工士

日本の歯科技工士の技術レベルは間違いなく世界トップクラスだ。

歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士という歯科医療従事者の中でグローバルに活躍しているのは圧倒的に歯科技工士が多い。

日本では歯科技工士の評価は著しく低いが、歯科技工という技術を習得し、歯科技工士に対して評価の高い海外で活躍するという夢を抱き歯科技工士を目指すことは夢があるのではないか。

 

歯科技工士とは:まとめ

歯科技工士になるには

  • 歯科技工士専門学校(養成機関)で2年以上学ぶ必要がある
  • 歯科技工士国家試験に合格し、歯科技工士免許を得る必要がある

歯科技工士の働き方

  • 歯科技工所と歯科診療所がある
  • 7割が歯科技工所、3割が歯科診療所で働いている

歯科技工士の就労環境

  • 長時間労働・低賃金という劣悪な就労環境である
  • 卒後5年以内の歯科技工士の離職率は約8割と異常な状況
  • 海外で活躍できる可能性のある仕事でもある

 

 

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歯科技工士(所)が開業前に絶対に知るべき5ステップ

歯科技工士数が減少する一方、歯科技工所の開業は増えている。しかし、歯科技工士の経営状況は非常に厳しいのが実態だ。

独立開業に至るまでに高い技術・技能を習得し、夢と希望で満ち溢れ自信たっぷで開業する歯科技工士も多いと思う。

一方で、独立開業への大きな不安を抱く歯科技工士はそれ以上に多いと思う。そこで本記事では歯科技工士の独立や、歯科技工所経営で絶対に知っておくべき知識を各ステップごとにお伝えする。

この記事のポイント

この記事では、経営に必要な知識(特に資金繰り)をお伝えする。

そのため、どれ程の技術を身に着けるべきかや、どれだけ営業に力を入れるか。といった個人差が大きい根性論には触れない。

誰もが同じような成果を上げることができるノウハウをお伝えする。

 

1、歯科技工所の開業資金を知る

最近は鋳造機一つとっても歯科技工関連機器は高額化の傾向にある。デンチャー or クラウン・ブリッジによっても違うが、CAD/CAM装置となれば、それだけで1000万円程度する。

欲しい設備をすべて整えようとすれば、開業資金はいくらあっても足りない。そこで、最初は必要最低限の設備からスタートするべきだ。

そのことを踏まえて開業資金は700万円程度と考える。というよりは、中古などを活用してでも700万円程度に抑える必要がある。自身があっても1000万円以内には抑えるべきだ。

理由は様々ある。そのあたりは後でお伝えするが、お金と時間の関係を知ることが最も重要だ。

2、開業資金は金融機関から調達

次に開業資金をどう用意するかだ。ここでは起業家としての考え方が必要となる。

「お金が貯まったら」や「もう少しお金を貯めないと」という声をよく聞く。結論から言うと、開業するのにお金を貯める必要も無ければ、「お金が無いから開業できない」という考え自体が間違っている。

単純に考えてみてほしい。仮に開業資金に1000万円が必要だとする。1000万円を貯めるために

  1. どれだけの時間と労力を費やす必要があるだろう?
  2. 税金や保険料はどれだけ払う必要があるだろう?
  3. 必死にためた1000万円を使い切って運転資金は大丈夫なのか?

1000万円を貯めるためには、とてつもなく時間も労力もかかるということだ。自宅を購入するのであれば貯めることにメリットもある。だが事業を起こし営むにはあまり必要ない。

2-1、金融機関から調達するメリット

では、開業資金をどうするか?ということになるが金融機関から調達すべきだ。理由は、

  1. 時間や労力を必要としない。
  2. 借入金は負債であるため税金はかからない。
  3. 回収する必要が無く、レバレッジを効かすことができる。

金融機関からの融資の方が、1000万円を貯めるより圧倒的にメリットが多くスピード感がある。

金融機関からの借入金の原資は預金者の預金だ。わざわざ苦労して貯めなくても、苦労して貯めてきた人たちの預金を活用するということだ。こういった考え方を起業家や経営者としては持つ必要がある。

 

※借金を抱えることが怖いと思う方も多いと思う。実はそんな不安を抱く必要は全くない。そのことは後に説明するので、このまま読み続けていただきたい。

3、開業資金は公的金融機関から

では、実際に歯科技工所を開業するにあたって、どのような金融機関から融資を受けるべきかをお伝えする。

開業資金は国や自治体が実施する公的融資と呼ばれる融資制度を活用する。開業資金に最も適当なのが

  • 日本政策金融公庫
  • 制度融資(保証付き融資)

の2つだ。

それではこの2つの公的融資の特徴を説明する。

3‐1、歯科技工士の開業資金は日本政策金融公庫

まだ、信用がない開業時に民間金融機関から好条件で融資を受けることは不可能に近い。そこで公的創業融資である日本政策金融公庫の新創業融資を活用するべきだ。

そこで、開業時に日本政策金融公庫の新創業融資を活用する理由を示す。

  1. 最近の傾向として、政府として起業を積極的に促し、開業融資を積極的に実行している。
  2. 自己資金要件が10分の1以上に緩和されたうえ、設備・運転資金で最大2年の据置期間がある。
  3. 3000万円まで無担保・無保証で融資が可能。

大きな特徴は、自己資金要件が3分の1から10分の1に大幅に緩和され、据置期間も最大2年に拡充されたことだ。

要するに、1000万円の事業であれば自己資金100万円で900万円の融資を受けることができ、返済は2年後からスタートということになる。

政府が融資に積極的に取り組んでいることもあり、無担保・無保証なのでリスクは無いと言ってもよい状況だ。開業時には積極的に活用するべきと考える。

✅自己資金0円での融資も可能

一般的には上記に示した通り自己資金要件は10/1だ。

だが、1000万円以下に限られるが、実務経験が5年以上ある者や、専門家からの経営支援を受けた場合などは自己資金ゼロでの融資も可能だ。

歯科技工士の場合、ほとんどが実務経験は5年以上であることから自己資金ゼロでの融資は可能な場合が多い。

融資実行のポイント

とは言え、融資を断られることもある。そこで、日本政策金融公庫がどこを見て融資判断を行っているかを、私の経験も含めお伝えする。

通帳のここを見る

融資を受けるためには面接がある。そこでは通帳の中身を確認される。これは預金が多いか少ないかを見ているわけではない。見るポイントは日本政策金融公庫が公的な機関であるという特徴が出る。そのことから、

公共料金や税金の支払い

電気・ガス・水道といった公共料金が遅れずに引き落としされているか。税金(勤務であれば固定資産税など)の支払いが遅れていないかを見る。

これは、お金にルーズかどうかを見ているのと、公的機関が融資するということに理由がある。公共料金が遅れたりしそうな方は、引き落としでなく、コンビニ払いなどにしておくと多少遅れても言い訳できる。

自己資金

10分の1の自己資金だが、単純にあるか無いかを見ているのではない。自己資金100万円で900万円の融資を受けるのに、預金が1000万円あれば通常は安心して融資が実行されると思いがちだが、決してそういうことではない。

その自己資金ができるまでの経緯を見ている。なので、裕福なバカボンが「親が援助してくれた資金です」などといっても、それはあなたが管理していたものではないので意味がない。これから事業を継続していくための資金管理能力を見ている。

最も重要なのは事業計画書

ここまでで分かるように自己資金要件が10/1となった今では、融資可能かどうかの判断はその事業内容次第ということになる。正確には今から開業なので事業計画次第ということだ。

そして、その事業計画を伝えるすべは事業計画書のみだ。したがって事業計画書を見て、この事業の

  • 将来性はどうか?
  • 客観的に正確に分析できているか?
  • 実現性は高いか?

などが総合的に判断され、融資が実行されるかが決まる。当然、金融機関は、返済が焦げ付かないかは最低限の判断基準となる。

事業計画書には書き方がある。私たちは融資や補助金の獲得などにおいて事業計画書では今のところ100%の採択率だ。

事業計画書の作成はこちらを参考にしていただきたい👉歯医者も補助金・助成金・融資で必須!事業計画書の作成方法

断られても交渉

満額融資が断られることも多い。ほとんどの人はここで諦めるが、「融資は断られてからが本番」というくらいに考えていた方がよい。

一発で融資が実行されるよりも、交渉で融資が実行されることの方が、私たちは多い。一度断られたくらいで凹むハートの弱さでは話にならない。

また、最近では事業計画書が融資実行の重要な判断材料となっている。ここでいう事業計画書とは、日本政策金融公庫から求められるレベルの計画書ではない。一般企業の事業コンペやエンジェル(ベンチャーキャピタル投資家)、補助金の獲得などで作成するレベルの事業計画書のことだ。事業計画書については、また別記事で説明する。

3‐2、歯科技工士の開業資金は制度融資

制度融資とは、市町村などの自治体が、個人や中小企業をサポートする目的の融資制度だ。

各自治体にある信用保証協会が個人や中小企業の保証をすることで、金融機関からのからの融資がスムーズに行われる。そのため、保証協会付融資とも呼ばれる。

制度融資でも開業資金の調達は可能だが、自治体によって自己資金要件にはかなり違いがある。

最近は自己資金ゼロでの開業融資を行っている自治体もあるので要チェック

例えば滋賀県や兵庫県などは自己資金要件が0円だ。そのため日本政策金融公庫よりも活用しやすい。

だが、一方で自己資金要件が2割以上の自治体もある。県と市によっても違うので歯科技工所の在る自治体に確認していただきたい。

個人的には、事業の途中での使い勝手は日本政策金融公庫よりも制度融資の方が良いように感じる。

制度融資も日本政策金融公庫と同じく公的融資のため、スムーズに融資が実行されることと金利が低いことが特徴だ。

市と県での違い

制度融資でポイントとなるのが、市と県によって制度融資の内容が違う場合がある。例えば、市の制度融資は保証料がかかるが、県は保証料が無料などだ。どちらを選択するのかによって違いが生じる場合があるので、あらかじめ確認する必要がある。

市県民税

次に、保証協会と金融機関がどこを見るかと言えば、売り上げを中心的にみている。何故だかよくわからないが利益率や営業利益ではなく売上を見る。

後は、市県民税の税額によって融資枠を決める傾向がある。そのため、多額の資金が必要な状況など、場合によっては修正申告なども考える必要がある。

融資条件

制度融資も日本政策金融公庫と同じく、ほとんどの場合が無担保・無保証・低金利で借りることができる。

また、制度融資と連動して様々な公的融資のパッケージが出される。そのような新たな制度を常にチェックしておくことで、他者よりも返済条件や借換条件などが好条件となる状況が生まれる。

また、ここでも日本政策金融公庫と同じく事業計画書を作成することでスムーズな融資実行に繋がる。「あーだこーだ」口頭で説明されても担当者以外は理解できないうえ、事業が持続的に発展する根拠がない。論理的で経営知識があることが感じられる事業計画書で示す以外に、具体的な事業計画を伝える方法は無い。そのため、事業計画書がスムーズな融資実行に繋がるということだ。

4、借入金が返済できなくなったら?

冒頭に少し触れたが借金が返せなくなる不安を抱く人は多い。

ここまでで歯科技工士の開業資金の調達先として、日本政策金融公庫と制度融資を挙げた。その特徴を読んでいただいた方の中には既にお気付きの方もいらっしゃると思うが、この2つの公的融資はどちらも基本的に無担保・無保証だ。

つまり簡単に言うと、返済不可能となり借金を踏み倒しても、取られる担保も無ければ迷惑をかける保証人もいない。

極端な良い方だが、「開業前と同じ状態」になるだけだ。なので必要以上に借入を怖がる必要はない。むしろ積極的に活用するべきだ。

正確には返済が困難な場合は、条件変更や条件変更型借換保証といった制度も活用できる。

それでも返済不可能になっても代位弁済でも事業は継続できる。制度を知っているにと知らないのとでは天と地ほど違いがあるのだ。

5、お金と時間の関係を知る

さて、ここからが重要なポイントとなってくる。ここからはお金と時間の関係を理解する時間だ。ここまでで歯科技工士の開業にあたっては

  • 自己資金ではなく融資を活用する
  • 公的融資の活用と特徴(日本政策金融公庫・制度融資)

についてお伝えした。

そしてここからは、その返済方法で利益(キャッシュ・フロー)にとてつもなく大きな差が生じることをお伝えする。

■歯科技工士にとって利益とは

利益とは簡単に言うと、単純に「入り」から「出」を差引いた残りだ。だが、単純に利益と言ってもキャッシュ・フローではない。

何故なら、決算上は売上から経費を差引いた残りが利益となるが、その利益から設備投資費を捻出することとなれば、利益=キャッシュ・フローとはならない。

そのため、キャッシュ・フローをいかに多く生み出すかが強い経営のポイントとなる。どんな理想的なビジネスでもキャッシュが枯渇すると最悪倒産する。

キャッシュは経営資源の王様なのだ。そのため、理想は、

  1. 利益率を最大化し、
  2. キャッシュインとキャッシュアウトに大きな差を生じさせ、
  3. そのサイクルをいかに強く・大きく・早くするか

ということとなる。

そこで、どのようにしてキャッシュ・フローを生み出すのかをお伝えする。ここでは理解しやすいように同じ条件の歯科技工所を例えに比べる。ここを理解するだけでも飛躍的に経営力はアップするのでしっかり理解してほしい。

同じ条件とは、

①同じ売上、同じ経費、同じ利益率

②同じ借入額・負債額

で検証してみる。

5‐1、キャッシュ・フローで歯科技工所は大きな差が生じる

まず、キャッシュ・フローの管理で、歯科医院にどのような違いが生じるかを示す。売上は同じだが、

  • A.は資金繰り面で最もよい条件で経営する歯科技工所
  • B.は資金繰り面で最低な条件で経営する歯科技工所

2つを比較してみよう。

 

A歯科技工所

B歯科技工所

比較

 

A技工所は先に収入があり、材料などを仕入れているので、資金が枯渇することがない。絶対潰れない技工所だ。

一方でB技工所は先に材料を仕入れて在庫を確保している。多くの技工所がB技工所と同じやり方をしている

あなたは、「現実にはA技工所のような経営は不可能だ。」と考え諦めているだけだ。しっかりと支払いサイクルを見直すことでA技工所の状況に近づけることは間違いない。

5‐2、借入方法や返済方法で技工所の固定費に大きな差が生じる

ここでは、借入を一本化することで月々の返済額を少なくし、キャッシュ・フローを最大化する方法をお伝えする。

なるべく解りやすいように公的制度である「借換保証制度」という公的制度で説明するが、必ずしも「借換保証制度」を活用する必要はない。

現在、返済が順調であれば「借換保証制度」を活用しなくても、金融機関や信用保証協会との交渉で「借換保証制度」以上の好条件での一本化は可能だからだ。

中小企業・小規模事業者の資金繰り支援・「借換保証制度」とは

複数の保証付借入金を新たに借換えて一本化することで、月々の返済負担を軽減し、中小・小規模事業者の資金繰りの円滑化をうながす制度。

 

一本化することで、なぜ返済負担が軽減されるのか?

ピンとこないが、複数の借入先から別々に融資を受けている場合に一本化することで、月々の返済負担が軽減される場合は多い。具体的には簡単にシュミレーションをしてみると理解しやすい。

例えば、総額5000万円の借入金があり、返済しているとする。(単純計算なので、返済期間は5年。金利は考えずに計算する)

▲借換保証 図

 

 

この場合、4年目の月々の返済額の合計は84万円。借入残高は2780万円となっている。

この時点で一本化したとする。その場合の月々の返済額は

2780万円÷5(年)÷12(カ月)=46万円。となる。

 

このように一本化することにより、月々の返済額が84万円から46万円となり、月々38万円返済が軽減されたこととなる。

また、実際の借換保証の場合は、保証料がかかるが、金利の引き下げや据え置き期間などもあるので、間違いなく大きな負担軽減となる。

対象者
  • 保証申込時点において、保証付きの既往借入金の残高がある方
  • セーフティネッ ト保証による借換えを利用する場合は、セーフティネット保証の 認定を受け適切な事業計画を有している方
本制度のメリット
  • 複数の債権を一本化して、経営実態に合わせて返済計画を新たに設定する。
  • 借換実施時に、返済開始までの据え置き期間を設けることが可能。
  • 経営改善が図られ、審査が通れば新規借入も可能。

※経営力強化保証による借換を行う場合、信用保証料の割引(通常よりも概ね0.2%低い)がある。

また、100%保証の保証付き借入金を同額以内で借り換えるときに、100%保証で借り換えることができる。

保証期間

セーフティネット保証による借換の場合、原則10年以内(据置期間1年以内)

借換保証のまとめ

借換保証は、経営環境の悪化のより、セーフティーネット保証と併せて利用することをいう。

しかし、経営悪化だけでなく、経営が順調に進んでいる方も借入の一本化は検討するべきだ。経営が順調な方は、制度活用をしなくても金融機関との交渉を優位に行える。

5‐3、資金繰りを劇的に改善する

売上げなどが同じ技工所でもキャッシュインとキャッシュアウトの関係や、融資の方法やタイミングを把握することでキャッシュ・フローは全く違う状況となる。

開業時に必要以上に借入しない

歯科技工士が開業時に最大借入額を1本で借入れることは、開業と同時に最大の返済額が長期間決定することとなることはこれまでの説明してきた。

そのため、開業時の借入額は最小限にとどめ、成長にあわせて設備と借入額を計画的に増やしていくことが最も重要なポイントとなる。

おそらく開業時は様々な業者やメーカーが必要以上に設備投資を勧めてくる。何故なら彼らは開業時が一番売りやすく儲かるから勧めてくることを理解しよう。すでに商売は始まっている。

この辺りのテクニックが将来、キャッシュ・フローにとてつもない差を生じさせることは、また別記事で紹介する。お金のことを理解することだ。

事業計画書の共有

また、事業計画書を金融機関と共有することもスムーズな融資の実行へと繋がる。

事業計画としては中長期計画を作成することで、いつ、どのタイミングで、何のために、いくら必要で、どのような効果をもたらすかなどを明確に共有できていれば、間違いなく融資はスムーズに実行される。

目安は3年後がよい。理由は創業3年後の廃業率が70%とも言われていることからだ。多くの場合は融資の際に3年分の確定申告や決算書の提出を求められるのもそういった理由からであろう。

経営が存続しているだけでも評価は高いということだ。

歯科技工士(所)が開業前に絶対に知るべき5ステップ:まとめ

この記事では技術や設備に関しては全く触れていない。技術が大事なことは百も承知だ。設備や営業力が必要なことも知っている。

しかし、それらはもはや当たり前のこととなっている。そして、それらは何よりマーケティングの強みの要素であっても経営のすべてではない。

何故なら、あなたが日本一うまい歯科技工士であっても、そのことを歯医者に知らせなければ仕事には繋がらない。

例え知ったとしても、その歯医者がメリットを感じなければ仕事や利益には繋がらない。言い換えればマーケティング戦略によっては、ヘタクソ技工士が日本一技工士に勝つことは対して難しいことではない。

歯科技工士にとって経営知識は重要

今回はお金と時間の関係を中心に説明した。これは経営知識のほんの一部だ。しかし知っているのと知らないのとでは天と地ほどの差が生じる。

「先ずは技術」や「技術を付けたら大丈夫」、「修行の期間」などと多くの歯科技工士は言う。確かに重要だが、それと同じくらい経営知識を付けることは重要だ。

歯科技工士が長時間労働・低賃金である状況において、「技工バカ」のバカ職人ではいけない。経営知識は就労環境を改善することにも繋がる。雇用の創出にも繋がる。

バカ同士の競争ほど悲惨なことはない。少なくとも今の厳しい状況は技工バカ同士の競争によって創られた部分も大きい。

是非、賢い歯科技工士が増え、歯科技工士の地位向上と業界全体の力を強めるためにも協力し合える歯科技工士が増えることを願っている。

 

 

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歯科技工士数と歯科技工所数の推移:その驚きの結果とは!

歯科技工士数の推移

(厚生労働省「衛生行政報告例」から)

 

歯科技工所数の推移

(厚生労働省「衛生行政報告例」から)

 

歯科技工士の減少から見えること

上記の歯科技工士数と歯科技工所数のデータは厚生労働省「衛生行政報告例」からだ。2004年~2014年までの10年間で1,173人の歯科技工士が減少していることがわかる。

何故だろうか?

■歯科技工士国家試験の合格者数の推移

2016年度の歯科技工士国家試験の合格者は987人で、この10年間に新たに歯科技工士養成学校へ入学・卒業する新たな歯科技工士は減少し続けている。

それでも2002年~2016年までの14年間で23,000人以上は間違いなく新たに歯科技工士として誕生しているはずだ。

しかし、歯科技工士数は減少し続けている最大の理由は、若い歯科技工士の離職率が異常に高いことにある。

■離職率80%が最も大きな要因

現在、歯科技工士の就労環境は、超長時間労働・低賃金といった劣悪な環境にあり、現代の奴隷制度やブラック産業と言われている。

そのことで卒後5年以内の離職率は約80%となっている。これは、離職率が非常に高い教育・介護職(40%程度)と比べても異常な状況であることが分かる。

歯科技工士養成学校への入学者数の減少が問題視されている。また学校の廃校も問題視されている。

しかし技工士の減少はそんなことが原因ではない。どう考えても原因はこの離職率の高さだ。離職率が歯科医師並みになれば何の問題もない。

長年、これだけの若い歯科技工士を犠牲にしてきたということだ。他にこれほどまでに若者を犠牲にしている産業が他にあるだろうか?

■歯科技工士の高齢化や途中リタイアも原因

歯科技工士全体の年齢構成は50歳以上が約半分を占める。アンバランスな年齢構成と高齢化も歯科技工士数の減少の原因であろう。

約80%が離職すると考えても毎年1000人程度は歯科技工士が誕生しているにもかかわらず、近年、歯科技工士数の減少が加速化していることは現役歯科技工士の離職・リタイアも大きな原因であろう。

ただ、年齢構成や高齢化による歯科技工士数の減少に関しては、対策や予測は十分可能だ。そして、若い歯科技工士の離職率が低くなれば技術・技能の継承の問題も解決できる。

それでも若い歯科技工士をボロボロになるまで酷使し続けることを改めない歯科業界全体に大きな問題があることは間違いない。

 

歯科技工所の増加から見えること

歯科技工士数が減少する一方で歯科技工所数は19233軒から20166軒へと増加している。

ここで注目すべきポイントは、2004年の歯科技工所の就労人数は平均1.85人であったのに対し、2014年は1.22人であった。

平均1.22人ということは、ほとんどの技工所が一人ラボということとなる。開業は良いことだが、この多くの開業した歯科技工士たちは果たして前向きな開業であったのだろうか?

■希望をもった開業なのだろうか?

歯科技工所数の増加に関しては、歯科技工士たちが夢と希望に満ちて開業したわけではないと私は感じる。

おそらく多くの歯科技工士が就労先の労働環境に限界を感じ、開業という選択肢しか残されなかったか、「雇われよりは、まだマシかも」と考えて開業に至ったように感じてならない。

ただ、どのような状況下で開業したとしても歯科技工所数は増加しており、一人ラボが増加しているということから、一人ラボや個人事業への対策を強化していく必要があるということだ。

若い歯科技工士たちが、将来に夢と希望をもてる歯科業界になる日は来るだろうか。

■歯科医療の質と安全性、患者に不利益ではない

この若い歯科技工士の離職問題は、歯科医療を受ける患者さんにとっての不利益が問題とされている。当然、歯科技工物の質と安全性の確保と、供給の問題としてだ。

このような問題提起は間違いなく正しい意見で、最も重要な問題として考えなければならない。

しかし、倫理観などどうでもよい私個人の意見として言いたい。

「じゃあ、言ってるお前らが社会貢献として歯科技工をやったらええやん」

歯科技工士養成学校へ「歯科技工を通じて社会に貢献したい」との思いから純粋に入学してくる若者には、全く歯科技工士の現状は伝えないばかりか、この問題の当事者である現役の歯科医療関係者のほとんどは歯科技工士の状況を改善しようと行動など起こしていない。

■歯科技工士専門学校への入学は注意が必要

歯科技工士養成学校の学費は非常に高額だ。奨学金を受け卒後すぐに多額債務者となる新歯科技工士も多い。養成学校には補助金も交付されている。

学費だけはちゃっかりむしり取りながら、卒後はブラック産業に放り込む現状は国家ぐるみの詐欺と言って良い。

歯科技工士の減少問題を、養成学校の定員割れや入学者数・卒業者数などの問題としてはいけない。若い歯科技工士の異常に高い離職率と、歯科技工士のブラックな労働環境と、問題解決のための対策が何もなされていないことが問題なのだから。

 

 

 

 

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無資格で歯科技工物を製作!200以上の歯科医院で患者に装着

大阪府豊中市の歯科技工所=サンエー株式会社=の社長ら役員4人と、パート従業員2人を大阪府警が2017年5月2日、歯科技工士法違反の疑いで書類送検したとのことだ。

書類送検容疑は、6人が共謀して今年1月、歯科技工士の資格が無いのに歯の詰め物(金属冠やセラミックなど)を製作し、関西の200以上の歯科医院で装着されていたとして調べているようだ。

朝日新聞➤➤➤無資格で歯の詰め物製造容疑 社長「被害出てないので」

2017年05月08日 18時06分 関西NEWS WEB

無資格者使用の歯科技工所はいくらでもある

この豊中市の技工所サンエー株式会社は私も知っている。

この歯科技工所の特徴は、国が示す適正な歯科技工価格を大幅に下回る「安い歯科技工物」を提供する歯科技工所ということだ。また、記事には他の歯科技工所に比べ納期が早かったとある。

今回は無資格者の使用での歯科技工士法違反ということで、サンエー株式会社が悪質な技工所であることは明白だ。だが、このような無資格者のパート従業員を使用している歯科技工所はいくらでもある。氷山の一角だ。

さらに、労働基準法違反ということで言うと、ほとんどの歯科技工所が超長時間労働・低賃金という就労環境にあり、労働基準法に抵触するだろう。

 

歯科技工はブラック産業

技工所サンエーの技工所単体の問題は勿論ある。擁護するつもりもない。だが、この問題の根幹は歯科技工業界全体がブラック産業化していることにある。

歯科技工産業は超長時間労働・低賃金という状況にあり、若い歯科技工士が使い捨てにされている。歯科技工士の実態はこちら👉歯科技工士の本当の年収は?時給で計算すると170円だった!で示してある。

そのことから、国家資格を所得した若い歯科技工士の卒後5年以内の離職率は約8割と異常な状況にある。そのことは、👉歯科技工士の実態と離職率!5年以内の離職率は?マジか80%で詳しく示してある。

加害者なのに被害者面する歯医者

ニュース動画の後半に「長年、歯科技工所サンエーと提携している」という歯医者がインタビューに応じている。

その中でこの歯医者は「遺憾だ」とか「知らなかった」などと被害者面して、さらには「怒りをどこにぶつけたらよいか」などと上から目線で話している。

このインタビューを見た感想は、は?お前は一番の加害者やろ!だ。

その理由は、

歯医者が歯科技工所サンエーと取引する理由
  • ①歯科技工料金を安く抑えることができる
  • ②短納期を強要でき、患者の回転率を上げることができる

要するに、自らが買いたたき、安物の技工物を仕入れているのだ。

通常の商売であれば特に問題は無いのだが、「医療」という観点からは大きな問題がある。理由は以下の通りだ。

①歯科技工料金を安く抑えることができる

歯科医療を行うことで、歯医者は公定価格である保険点数として治療費(売り上げ)が振り込まれる。

この保険点数は全国一律で、どこで治療を受けても患者さんの治療費負担は同額だ。これが、「いつでも、どこでも、だれもが」良質な医療が受けられるための国民皆保険制度だ。

しかし、歯科技工料金を安く買いたたくことで歯医者は、不当利益を得ることができる

どういうことかというと、歯科技工料金を安く買いたたけば買いたたくほど経費は抑えられ、売上の保険点数との差益が生じる。

当然、そうなると安物で不良な歯科技工物が出回り、歯科医療の質と安全性が担保できなくなることから、国は「7:3大臣告示」というもので歯科技工料金の適正価格を示している

しかし、この7:3大臣告示は守らなかったからといって罰則などの法的拘束力はない。歯科医師の倫理観に任せられている。

そのため、ほとんどの歯医者が質と安全性を無視して、自らの利益のためだけに安物の歯科技工物を患者さんの口の中に放り込んでいるのが実態だ。

②短納期を強要

ニュースでは納期は3日とある。そもそも低価格なうえに納期が3日となると、これはもう地獄としか言いようがない。

歯科技工物は一つ一つ手作業で患者さんに合うものに作られる。そのため、非常に繊細な作業で時間がかかる。

多くの歯医者さんでは予約は1週間後だ。最低でも1週間は納期が無いと、まともな歯科技工物を作成することは不可能なのだ。

なので、やたらと義歯の完成が早い歯科医院は要注意だ。

 

 

 

歯医者は加害者

歯科技工所サンエーと取引している歯医者は200軒あるということだ。インタビューの歯医者も如何にも被害者という感じで応じているが、自らが、

1、安物の歯科技工所を選び、買いたたき、

2、短納期を強要し、

3、「安物で低品質な義歯」を患者さんの口に放り込み、

4、自分だけがピンハネで儲ける

そのことで、歯科技工がブラック産業化している。

無資格者の使用は許されることではないが、このような問題を引き起こしているのは、歯科技工所サンエーと取引しているような歯医者たちなのだ。

この被害者面している200件の歯医者に問いたい

業務委託している歯医者へ質問?
  • 安物の歯科技工物と歯科技工所を選んだのはあなたですよね?
  • 異常な短納期の技工所を選んだのはあなたですよね?

治療の質と安全性を第一に考え、患者さんの利益を最大化するのではない。我がの利益第一主義という歯医者たちで、歯科医療の質と安全性は二の次ということだ。

どう言い表せばよいのだろう?情けない・セコイ・しょぼい・・・

 

無資格者が作った技工物が分からない歯医者

そもそも無資格者が作った義歯と、歯科技工士が作った歯科技工物が見分けられない歯医者ってどうなん?って感じだ。

この歯医者たちは歯科技工物の質なんかはどうでもいいという考えだ。目利きもできない。

歯科技工士が作ったかどうか以前に、安物の低品質な歯科技工物を口に放り込まれている時点で患者さんは被害者だ。そして、そのような歯医者は既に加害者なのだ。

 

 

健康被害が出ていない?

報道では、健康被害は確認されていないということだ。

何故そんなことが分かるのか?誰が調べたのだろうか?

おそらく、「被害報告が無い」ということで「健康被害は無い」ということになっているのかと思う。

そもそも、歯科技工所サンエーに歯科技工を委託していた200件以上もの歯医者は、その事実を患者さんに伝え、健康被害の確認をするだろうか?

おそらく、この200軒以上の歯医者は、歯科技工所サンエーとの提携事実は隠ぺいするだろう。患者さんのことを本当に心配し、健康被害の有無を確認する歯医者が何人いるだろうか?

結局は患者さんの心配なんかは二の次で、また、新しい安物の歯科技工物を短納期で作る歯科技工所をさがすのだろう。

どこのだれがいくらで、作ったのかをチェック!

歯科技工はBLACKボックスと化しているので、患者さんには、どこのだれがいくらで、歯科技工物をつくっているのかが分からない。

良質な歯科技工物を装着するためには、患者さん自身が、どこのだれがいくらで、歯科技工物をつくっているのかの確認が必要だ。

そのことから、歯科技工の適正価格と、チェックシートで確認できるようにしてみた。詳しくはこちらから👉✅歯医者の費用が同じなのに「治療の質」が違いすぎる理由!

是非、患者さんには良質な義歯を手に入れていただきたい。

 

歯医者さん


歯医者さんには、もうそろそろ安物の歯科技工物を装着するというセコイことは辞めて、適正価格で歯科技工物を提供し、技術で勝負している歯科技工士と取引をしていただきたい。

そんなセコイことをしなくても、しっかりと経営を学べば売上や収入を飛躍的に向上させることくらいは難しいことではない。

 

歯科技工士さん


歯科技工士さんは、もうそろそろダンピング競争は辞めて、技術で勝負していただきたい。世界の主要資本主義国では、ダンピングはもっとも恥ずべき商法という考えが定着してるのだから。

 

 

まとめ

このような歯科医療に関わる問題事件をきっかけにでも、真っ黒な歯科医療業界が少しはまともになることを期待したい。

この事件は、一つの歯科技工所の問題ではない。歯科医療全体の抱える問題の一部が表面化しただけのことだ。

そろそろ歯科業界は隠ぺい体質から脱却し、可視化をすすめ、まともな業界になる必要があるのではないか?そのことが、結果的には患者さんからの歯科医療不信を払拭し、信頼される歯科医療に繋がると思う。

厚生労働省には健康被害の報告が上がってくるのを待つのではなく、被害に遭った患者さんに本当に健康被害が生じていないのかを、確認していただきたい。

200軒の歯科医院を公表し、直接、患者さんが相談できる窓口くらいは設けてほしいものだ。

 

 

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歯科技工士の問題は、歯科保険点数の仕組だった!解決策は?

◆ 歯科技工士の厳しい実態

  1. 卒後5年以内の若い歯科技工士の離職率が約8割と異常な状態。
  2. その原因は歯科技工士の異常な超長時間労働・低賃金が原因。

 

◆ 歯科技工士のブラック産業化の原因

ハッキリしていることは、歯科技工料金が異常な低料金であり、適正な価格となっていないことが歯科技工問題を引き起こしている根幹であることだ。

しかし、低料金に至る理由を個々個別の問題と考える場合が多い。

例えば、「大手技工所がダンピングを推進している」や「自由競争だから仕方がない」、「技術を習得すればよい」、「歯医者が悪い」など様々だ。

このように、低料金に至る理由を上げるとキリがない。だが、簡単に2つに絞るとしたら

  • 技工所間のダンピング競争
  • 歯科医からの値下げ圧力

という2つが絶妙にかみ合うことにより、ダンピングに歯止めが効かない状況となっているということであろう。

 

◆根本的な問題は「仕組み」

そして、歯科医と外注技工の歯科技工士(所)との取引は「自由競争・市場価格」ということがよく聞かれる。

私は、この「自由競争・市場価格」という言葉を聞くたびに腹が立つ。理由は口にする者のほとんどが自由競争・市場原理の下で商売を行ったことがない者たちだからだ。

経験もない者がイメージで議論するのでチンプンカンプンな話になる。私たちの様に実際に様々な商売を自由競争・市場原理の下で行えば、簡単に「そもそもの仕組み上の欠陥」を感じることができる。

だが、なかなかそうもいかないと思うので、記事にして伝えたい。根本は仕組み上の問題だ。

 

歯科技工料金は下がるマインドにしか働かない

そもそも保険でおこなう歯科治療は、公的保険制度のもと保険点数で決められており、全国一律の公定価格である。

そのため、入れ歯や冠(被せ物)なども保険治療でおこなえば、患者さんの窓口負担も全国一律である。

では、なぜ公定価格であるはずの歯科医療の技工料金はダンピング競争や、値下げ圧力といった問題が生じ、適正価格の義歯安物義歯が存在するのか?

その理由は、公定価格として入るのは歯科診療所までで、そこから技工所に委託する場合は市場価格(歯科医と歯科技工士(所)の間で自由に決めることができる価格)となる仕組みであるからである。

歯科技工料金が決定するまでの流れはこんな感じ

 

  • BtoG=企業対公的機関の取引
  • BtoB=企業対企業の取引
  • BtoC=企業対消費者の取引

 

患者さんは、全国一律で同じ保険料、同じ治療費を支払っている。

だが、無理矢理「市場原理」を医療に持ち込むことで、歯科医療の質の担保に必要とされる歯科技工料金を大幅に下回る安物義歯を患者に提供できる仕組みとなっている。

しかし、患者さんからするとこの制度では、知らないところで不当に安い歯科技工物が口に放り込まれているのでたまったものではない。

 

7:3大臣告示

だが、国は1988年に歯科技工料金に関するルールを示している。

歯科技工物の料金は歯科医院に入った点数の7割を技工士。3割を管理料として歯科医院。という技工料金の目安となる73大臣告示」というものを出している。

しかしこの「7:3大臣告示」というものが話をややこしくしているだけのもので、特に法的拘束力もない。そのうえ全くと言って良いほどに機能していない。

「7:3大臣告示」は歯科保険点数の決定要因

また、今ではこの「7:3大臣告示」は、公定価格である保険点数の決定要因となっている。市場価格である技工料金を2年に一度国が調査(技工料調査・非公開)し、その調査結果を基礎資料とし、調査から得た技工料金を7割とするためである。

この仕組みを説明するのは非常に難しい。訳が分からないため、図で示すとこんな感じだ。

 

7:3大臣告示のまとめ

「7:3大臣告示」を含め、歯科の保険点数の決定要因の特徴を簡単にまとめると以下の通りになる。

7:3大臣告示の目的と特徴

➀歯科医から技工士(所)への委託を円滑に実施するため、国として標準的な割合を示したもの

②市場価格である技工料を保険点数の決定要因として参考にしている

  • 上記の①については全く機能していない。7:3ではなく3:7でもおかしくない。
  • ②については、おそらく後付けで無理やり旧厚生省と日本歯科医師会が描いた無理なロジックであろう。

何故こんな「7:3大臣告示」というバカげた方法を実施したのかは、当時のバカ共に聞いてみないと分からないが、少なくとも私は関係ないので、後世にまで迷惑をかけているバカたちであることは自覚していただかないと困る。

7:3大臣告示は長く議論されているので、この大臣告示での解決は不可能であろう。だが、残念ながら現状はこの大臣告示のみが国が示した唯一のルールだ。

 

なので、一応、修正で活用できるものとするのであればこんな感じかな?と思うことや、7:3大臣告示の詳しい説明は別記事で紹介する。

 

 

歯科技工士(所)の仕組上の問題

ここまで書いた中で、7:3大臣告示は全く機能もしていなければ、これから期待でいるものでもないが、唯一のルールであることは確かだ。

そのことも含めて、ここからは本題である仕組上の問題を示したい。

現行システムの特徴・課題

【特徴】

◎市場価格である技工料が基準となり公定価格(保険点数)が決定するというロジック。

◎基本的に技工料、保険点数ともに下がるマインドにしか働かないシステムである。

 

【課題】

◎組織として7:3を守ろうとすることは独占禁止法に抵触するらしい。

◎市場技工価格のみが保険点数決定の数字的根拠とされている。

  • 労働実態(日技の実態調査で把握)は、点数決定要因とは関連性が無い。
  • 技術力や、技工物の質・安全性は、点数決定要因とは関連性が無い。

◎技工料調査は非公開である。(本当にこのシステムなのかは確認できない)

◎技工料金が上がれば、天井なしに点数が上がるシステム。(あまり考えられないが)

 

 

原価計算・積算が基本

現行のシステムに課題があることは明らかだ。だが、具体的にどうしたら良いかと言われると非常に難しい問題である。

多くの方は、どのようにしたら適正価格の技工料が歯科技工士に支払われるようにできるかというテクニカルな話に進みがちだ。(例えば、「7:3大臣告示の遵守」や「歯科技工士による直接請求(公定価格化)」など)

しかし、テクニカルな問題よりもっと根本的問題がある。

 

歯科保険点数の決定プロセス

それは、歯科医療報酬の全ての原資である歯科保険点数の決定プロセスだ。そして、その歯科保険点数の決定プロセスに歯科技工料金は大きく関係していることだ。

そこで、歯科技工料金や歯科保険点数の決定プロセスにおいて、明らかに異常な点を示したい。

 

  • 市場の歯科技工価格が実際に保険点数に反映されているのかを確認できない。
  • 歯科技工士の労働実態が全く反映されていない。
  • 保険点数は公定価格であるにも関わらず、積算により算出されていない。設計労務単価などもない。

 

原価計算や積算がどういったものかを説明する。厚生労働省は歯科技工物はモノであり、モノとして考えている。と明確に説明している。

要するに、歯科技工の歯科医療サービスにおいての位置付けは、サービス業ではなく製造(モノ)という考えであるということだ。(この記事では、歯科技工が医療か製造かといった話は割愛させていただく)

 

歯科技工物(モノ)であれば原価計算や積算

そこで、原価計算や積算というものがどういったものかを簡単に説明する。

 

すべてのモノの価格は積算で決まる

モノの見積もりであったり、公共工事というものの値段はすべてが積算(たし算)で決まる。積算以外で決まるモノは無い。

ここが最も重要なポイントだ。

 

もし、歯科技工に関わる保険点数以外のモノで、積算以外で価格が決定するモノがあれば教えていただきたい。歯科技工は医療だから特別ということではない。薬価も積算で決まる。

現段階で私が必要と考える具体的な方法を簡単に以下に示す。

 

公共工事は積算

分かりやすい比較は公共工事とだ。公共工事はほとんどの場合、一般競争入札によって価格が決定する。

一般競争入札は、最低価格落札方式と総合評価落札方式がある。最低価格落札方式では、国が定めた予定価格の制限の範囲内で最低の価格を もって申込みをした者を落札者とする方式。

国が定めた予定価格は当然、積算によって算出されたものだ。そして、最低価格以下で入札があっても落札されることはない。その理由は、不当に安い価格での落札では質と安全性が担保できないからだ。

 

公共工事

公共工事 農林水産省及び国土交通省(以下「二省」)では、毎年、公共工事に従事する労働者の県別賃金を職種ごとに調査し、その調査結果に基づいて公共工事の積算に用いる「公共工事設計労務単価」を決定しているが、この調査を「公共事業労務費調査」という。

この調査は、調査月に調査対象となった公共工事に従事した建設労働者の賃金について、労働基準法に基づく「賃金台帳」から調査票へ転記することにより賃金の支払い実態を調べるもので、昭和45年から毎年定期的に実施されている。(国土交通省から)

詳しくは国土交通省のホームページを見ればわかる。

 

歯科医療は公益事業

公共工事というよりは、歯科医療は公益性が高いので公益事業といえる。

なので、本来は公共工事と同じく公定価格である歯科保険点数は

①積算によって歯科技工料金が算出され、

②その価格を元に歯科保険点数が決定され、

③適正価格が製作者(歯科技工士)に分配されるようにし、

④実態を把握し、技術継承などを考慮し、積算により技工料を算出する。

というサイクルが必要だ。

何度も言うが、モノの価格は積算でしか算出できない。公共工事に限らず、市販されているペットボトル水でも同じだ。水の原価などは大した額ではない。

  • ペットボトルの容器やキャップ代
  • 容器のラベルやインク代
  • 製造工場や人件費

などを、たし算で算出したのが販売価格だ。例え水道水をペットボトル詰めして販売しようとしても設備投資費はバカにならない。

どれだけ議論してもモノの価格は積算でしか算出できないのだ。

歯科技工価格は引き算

そこで歯科技工価格の決定プロセスを考えていただきたい。何の根拠もなく決定された歯科保険点数から、歯科医の取分が自由に搾取された残りが歯科技工価格となる引き算だ。

こんな算出方法なのは歯科技工だけだ。

そして、この根本的な異常性を理解しないままに、歯科技工は「自由競争」や「市場価格」などという話をするので、全くチンプンカンプンな議論となる。

そもそも積算という価格決定プロセスを理解できなければ話にならない。積算という原理原則があり、はじめて「自由競争」の話ができる。「自由競争」の話はそれからだ。

取引にはルールがある

また、世の中のBtoB(企業対企業の取引)には取引ルールがある。「自由競争」はルールの下での自由競争だ。何でもありということではない。

歯科技工の価格が異常な低価格となるもう一つの要因は、一般的な「自由競争」にはあるはずの取引ルールが無いことだ。

そこで、公共工事と歯科医療との違いを比較する。

歯科保険点数(厚労省) 公共工事(国交省・農水省)

保険点数の決定プロセス

  1. 技工料調査により、市場価格を把握。
  2. 市場技工価格を7割とし、基本資料に。
  3. 管理料3割をプラスし、総合的に判断し保険点数が決定。

【特徴】

  • 積算でない。原価計算をもとにしていない。
  • 技工士の労働実態は反映されていない。
  • 全国一律である。

入札予定価格の決定プロセス

(一般競争入札)

  1. 公共事業労務費調査にて労働実態を把握。
  2. 公共事業設計労務単価の決定。

【特徴】

  • 積算である。原価計算をもとにしている。
  • 下請業者の労働実態が反映されている。
  • 入札予定価格内で条件を満たす一番安い入札額。

委託技工に関わる取引ルール

 

 

  • 特になし(7:3)
  • 罰則:特になし

 

 

 

下請け委託に関わる取引ルール

基本的に書面での契約(建設業法)

  • 丸投げ(一括請負)の禁止
  • 無許可業者への発注禁止
  • 管理者責任、工程管理責任
  • 罰則:あり

3年以下の懲役または300万円以下の罰

質・安全性の向上、担い手不足の解消に資する施策

 

 

 

  • 特になし

 

 

 

質・安全性の向上、担い手不足の解消に資する施策

〇総合評価方式

工期、機能、安全性等の価格以外の要素を総合的に審査し、最も評価の高い者を落札者とする制度。

☆公契約条例

行政からの、適正な委託費→適正な賃金・労働条件→質の高い公共サービスの好循環を生み出す施策

 

次に、公共工事と比較し課題を上げる。

公定価格、決定プロセスの課題
  • 原価計算による積算方式ではない。
  • 労務単価・実態を反映したものとなっていない。
委託に関するルールの課題
  • 委託における取引ルールが全くない。(ルール無き自由競争となっている)
  • 歯科医師、技工士(所)に対してのCSRやコンプライアンスの向上。
  • 重下請構造でないにも関わらず、原材料費の変動費、消費税を転嫁できているとは言えない状況である。
質と安全性の向上に対する課題
  • 公的資金が入っているにも関わらず、最低賃金・最低価格に対する施策はない。
  • 質と安全性の確保・向上に資する施策はない。
  • 担い手不足。技術・技能の継承・発展。に対する持続可能な政策やビジョンがない。

 

取引ルールというと下請法がある。下請法はほとんどの業種に適用され、違反した場合はペナルティーが課せられる。委託技工との比較は以下の通り。

4つの義務(下請法) ほとんどの業種 委託技工
①書面の交付義務 ①②の違反行為には罰則あり。

(50万円以下の罰金)

 

 

 

①~⑮の違反行為があると疑われる場合

  • 報告を求められる。
  • 立入検査に入られる

報告をしない。虚偽の報告をした。

立入検査を拒む、妨げる。

場合(50万円の罰則)

違反事実が認められた場合、指導勧告がなされる場合がある。

勧告は全件公開される。そのことにより、レピュテーション低下

 

 

 

 

 

 

 

無し

②書類の作成・保存義務
③支払期日を定める義務
④遅延利息の支払義務

11の禁止事項

⑤受領拒否
⑥下請代金の支払延長
⑦下請代金の減額
⑧返品
⑨買いたたき
⑩購入・利用強制
⑪報復処置
⑫支払原材料対価の早期決済
⑬割引困難手形の交付
⑭経済上の利益の提供要請
⑮給付内容の変更・やり直し

 

取引ルールが無い

既にお分かりかと思うが、歯科医は建設業で言う「元請け」にあたる位置付けだ。

ただ、建設業と違うのは、基本的に歯科医は直接、歯科技工士に依頼する。建設業の様に多重下請け構造ではない。

にもかかわらず、取引ルールが無いのだ。なので、再製作はタダなのだ。例えば、家が建ってから「なんかイメージと違うから、もう一回やり直して」と頼んでも、タダで再建築されることは無い。職人さんが自腹を切って建直すことも無い。

よく、歯科医師は患者さんと訴訟問題に発展した場合などの責任を負っている。という話を聞くが、これは歯科技工士には全く関係ない。その訴訟は患者さんと歯科医師の間の問題で、その原因が歯科技工士にあるのであれば、歯科医師が技工士を訴えればよいだけの話だ。

そもそも歯科技工士が原因ということすらあり得ない。歯科医師がそこまで強い責任感の持ち主であれば、再生料金くらいはそもそも支払うであろう。

 

 

歯科技工料の積算価格

では、歯科技工価格を積算により算出するといくらになるのかということとなる。

参考にできる資料は少ないが、2005年に日本歯科技工士会の報告にある「歯科技工原価計算要領」で、積算によって歯科技工料金が専門家によって科学的に算出されている。

ちなみに、この調査ではFMCが8,430円と積算されている。様々な意見はあると思うが、科学的にはクラウン1個を作るのに必要な予算は8,430円ということだ。

 

現在の保険点数の構成と内訳

先ずは、現在の歯科保険点数の構成と内訳を以下に示す。

右下の黄色の表は「歯科技工原価計算要領」で、積算によって算出された歯科技工費だ。

 

 

積算により算出した歯科保険点数

では、上記の黄色の表の部分の原価計算により算出された正しい歯科技工料金をもとに、積算により歯科保険点数を算出する。

厚労省が何故かこだわり続ける7:3大臣告示のロジックに従い、上記の図にある

  • インレー複雑(大臼歯パラ)
  • FMC(大臼歯パラ)
  • 硬質レジン前装冠

を、歯科技工量7:管理料3とすると以下のような保険点数となる。

 

積算の歯科技工料金をもとに算出した保険点数の一覧

他の歯科技工関連の保険点数も算出してみると、以下のような保険点数となる。

※厚労省は、「歯科技工価格を基準に保険点数を決定する」というロジックは崩していない。そのため、積算によって算出された技工料をもとに歯科保険点数を決定することは、本来の姿といえる。

というか、この方法以外で歯科保険点数を決定することには何の根拠はない。

 

 

歯科保険点数の決定プロセス

ここまで見てきたように、歯科保険点数は決定プロセスそのものに問題がある。

そして、この決定プロセスにおいて根本的な問題が、歯科技工費が積算によって算出されていないことだ。

異常に安い歯科技工料金は、歯科技工士の卒後5年以内の離職率が約8割であったり、超長時間労働、低賃金といったブラック産業化などの問題を招いている原因だ。

そして、この歯科技工価格の低価格化は、

  • 歯科医師の値下げ圧力
  • 歯科技工所間のダンピング競争
  • その双方の思惑が合致して歯止めが効かなくなった状態

などの理由は当然あるが、根本的な理由は仕組み上の欠陥だ。

「出来る」、「出来ない」は別として、歯科技工価格と歯科保険点数の決定プロセスが以下のような正常な形へと変わらない限りは、日々まじめに技工物の製作に励む歯科技工士が適正な評価を得ることはない。

1、労務単価をもとに積算で算出された歯科技工費の開示

2、積算技工料を基準に歯科補綴関連の点数を決定

3、歯科医から歯科技工士(所)への委託ルールを創設・遵守

4、歯科技工料金の市場価格と実態を調査

5、実態・積算をもとに保険点数を決定、分析、施策の立案

 

厚生労働省の仕事は?

当然、このすべては国(厚生労働省)が行うべきだ。

厚労省は7:3大臣告示からは、新たな施策の立案などハッキリ言って何も仕事をしていない。

それどころか、PDCAサイクル(計画・実行・検証・改善のサイクル)すら実施していない。これだけ歯科技工業界を混乱させたくせに、7:3大臣告示に対する報告・検証なども無い。

適正な歯科保険点数に必要な予算

上記で示した積算の歯科技工料金をもとに算出した保険点数の一覧①~⑨の現在の合計点数は、原価計算に基づく合計点数に占める割合は、平均59%であった。

従って、積算により算出された適正な歯科技工費を基準とする保険点数にはプラス41%が必要ということとなる。

H24年度の歯科医療費は約2.7兆円であり、歯冠修復及び欠損補綴が歯科医療行為に占める割合は40.5%である。

「平成24年社会医療診療行為別調査の概要」について:から

そのため、平成24年度の歯冠修復及び欠損補綴は約1.1兆円であることから、適正な歯科技工費に必要な新たな予算は、概算で約4500億円であると言える。

 

そろそろ歯科技工士は気付き、主張すべき

厚生労働省や歯科医師会は、歯科技工士の過重労働と犠牲のもとに歯科医療が維持されていることを十分に理解している。

歯科技工がブラック産業であることも分かっている。確信犯であることは間違いない。

理不尽な扱いをされ、利用され、全くロジックとして成立しない根拠で原資が決められ、現代の奴隷扱いであるにもかかわらず、

その確信犯へ、いつまで「へへ~」と自ら奴隷制度を続けるのか?ケツの穴を舐める役に徹するのか?いつまで「しゃあない」とウジウジ密室で愚痴っているのか?

そろそろ自ら提案し、基本的人権くらいは取戻す勇気を持ってはどうか?

今はもう21世紀だ。

 

 

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歯科技工士の実態と離職率!5年以内の離職率は?マジか80%

歯科技工士の離職率について

近年はブラック企業が社会問題となっている。ブラック企業に明確な定義は無いようだが、3~5年以内の離職率が30%以上の企業という定義が一般的であるようだ。

そこで、国家資格を有する歯科技工士の卒後5年以内の離職率は、なんと約80%であると指摘されている。卒後5年以内の離職率が80%であればブラック企業ではなく、ブラック産業といえる。

歯科医療関係者の中では、歯科技工士がブラックなことは長く問題になっていることからも、本記事では歯科技工士の実態を明らかにしていきたい。

では、この歯科技工士は何が問題かを大きく3つに絞り、以下に示す。

  1. 歯科技工士養成学校の卒業5年以内の離職率が約80%と言われる異常な離職率の高さ。
  2. その高い離職率は、超長時間労働、低賃金という就労環境に大きな原因がある。
  3. 高齢化と担い手不足。

簡単に絞ると上記に示した3つが問題といえる。最近では「歯科技工士問題」と題し国会内で集会が行われたりもしている。

また、国会議員が厚生労働委員会などで歯科技工士問題に対し質疑するなど、この問題が歯科医療関係者だけの問題ではなく、社会全体の問題として少し表面化しつつある。

 

 

では次にこの3つに問題を絞り、詳しく説明していく。

 

5年以内の離職率が約75%。

正確な離職率を算出することは難しいが、以下の資料は2008年に日本歯科技工士会が国家資格である歯科技工士免許交付数と就業数の割合から算出したものである。

歯科技工士の免許交付数と就業数

1、年次別免許交付数                       

単位:人

平成9年 平成10年 平成11年 平成12年 平成13年 小計
交付数 2,749 2,728 2,715 2,441 2,479 13,112

 

平成14年 平成15年 平成16年 平成17年 平成18年 小計
交付数 2,657 2,368 2,715 2,209 2,204 11,523

※10年間合計24,635人

 

2、年齢階級別就業歯科技工士数

 平成18年 平成16年
 (1)25~29歳  3,291人 4,125人
 (2)25歳未満  2,417人 2,493人

 

3、歯科技工士の離職率

① 25~29歳:約75%
算出方法

13,112(H9~H13交付者数)-3,291(H18就業者数)=9,821

9,821÷13,112=74.9

離職率=74.9%

 

② 25歳未満:約80%
算出方法

11,523(H14~H18交付者数)-2,417(H18就業者数)=9,106

9,106÷11,523=79.0

離職率=79.0%

※前提条件:各年度の交付者年齢を20歳とする

※資料:「衛生行政報告例」(厚生労働省大臣官房統計情報部編) 

2007.9調査企画部作成

 

 

最近の歯科技工士の離職率

以下のデータは同じ算出方法で2004年~2012年までの歯科技工士の離職率を推計(2年ごと)。

 

  25歳未満 25歳~29歳
2004年 79.2% 70.1%
2006年 79.0% 75.0%
2008年 76.0% 76.7%
2010年 74.2% 75.4%
2012年 85.0% 74.0%

 

最近のデータを見ても歯科技工士の離職率の高さは異常な状況にあり、離職問題が解決の方向へ進んでいるというよりは、むしろ悪化している状態と感じる。

この歯科技工士の離職率の高さは、担い手不足から歯科技工の技術、技能の継承が難しくなり、歯科技工物の質の低下が危惧されることは言うまでもない。

何より、これだけの若者が犠牲になることで、何とか歯科医療を支えているという状況は社会倫理の観点からも当然問題があると考える。

 

 

長時間労働、低賃金 【週70時間以上働く歯科技工士(一人ラボ)が66.2%】

歯科技工士という職業は長く慢性的な長時間労働状態にあり、多くの若手技工士が去っていく最大の原因であることは間違いない。

歯科技工士の離職率の高さの原因は長時間労働にある。

 

歯科技工士実態調査

はじめに示すデータは2年に1度、日本歯科技工士会によって行われる2015年歯科技工士実態調査からの抜粋である。この実態調査は厚労省も把握し、施策に反映されるといわれることから公的なデータといえる。

 

(問) 1週間の残業を含めた就労時間(通勤、休憩、食事等の時間を除く)等。

平均(時間)
全体 61.5
勤務者 55.6
自営者 68.9

 

(問) 他業種に移りたいと思われる理由は何ですか。【上位3回答】

※前問の歯科技工業から離れ、他業に移りたいと思いますか。の問いに対し「非常にそう思う」「そう思う」を選択した方が対象。

1位 給与 71.5%
2位 労働時間 70.8%
3位 将来性 62.8%

 

上記の日本歯科技工士会の実態調査は勤務している技工士(技工所勤務・歯科医院勤務)の割合が大きくなっている。

そのため、多数を占める個人事業者(一人ラボ)の技工士の割合が低くなっていることから、歯科技工士の現状を正確に反映しているかというと、やや疑問に感じる。

 

歯科技工所アンケート

次に示すデータは保団連近畿ブロック歯科技工所アンケートである。

このアンケートは全国保険医団体連合会近畿ブロックにより2015年11月に行われたもので、対象は技工所であり、その多くを占める個人事業者の技工所の現状を反映しているものとなっている。

○開業者の年齢、平均53.4歳

○開業年数、平均23.1年

(問) 1週間の労働時間(開設者のみ)

42時間以内 8.4%
43~50時間 12.7%
51~60時間 11.4%
61~70時間 12.4%
71~80時間 17.6%
81~90時間 15.9%
91~100時間 10.9%
101時間以上 8.9%

 

(問) 1週間のうち休みの日数(開設者のみ)

2日 14.1%
1日 49.4%
ほとんど取れない 28.5%
その他 7.2%

 

(問) 昨年の可処分所得。法人の場合は代表者の報酬。

平均 全体412万円 個人369万円 / 法人635万円 一人技工所345万円

 

高齢化と担い手不足

Ⅰ、後継者

まずは先ほど(2)の同じく歯科技工士実態調査と保団連近畿ブロック歯科技工所アンケートから、後継者の有無についての項目を示したい。

 

(問)後継者の有無。※歯科技工士実態調査

いる いない 決まっていない 無回答
自営者全体 13.1% 72.1 11.8% 3.1%
個人立 10.7% 79.2 8.2% 2.0%
法人立 23.0% 47.1 27.6% 2.3%

 

(問)後継者の有無。※保団連近畿ブロック歯科技工所アンケート

□いる

16.3%

 □いない

78.7%

□その他

2.9%

□無回答

2.5%

 

80% が後継者がいない

いずれの調査からも、特に個人事業者に関しては約8割が「後継者がいない。」という深刻な後継者不足であることがわかる。

歯科技工士の離職率80%と、後継者がいない80%には相関関係がありそうだ。

 

 

Ⅱ、高齢化

次に歯科技工士全体の年齢構成費から高齢化がわかるデータを示す。

上記の表は厚生労働省・平成26年衛生行政報告例から。

この表からは、歯科技工士の年齢構成の比率は50歳以上が約46.5%となっており、これから迎える超高齢化社会、特に歯科の需要のピークと言われる団塊の世代が後期高齢者となる2025年には、このままいくと供給側の歯科技工士の半分が60歳以上ということになる。

 

 

歯科技工士の離職率問題のまとめ

若い技工士の離職率の問題、高齢化・担い手不足の問題は厚労省も「問題だ」とは言いつつも、何の対策も打てていないのが現状である。

いくらデータを示して問題があることを明確化しても現状ではあまり意味がない。この問題を解決するためには全体的な就労環境の改善を図る具体的な対策を打つことが最も重要で、そのことがなされなければ絶対に解決できない問題であることは明らかである。

歯科技工士専門学校の入学者数の減少が問題ではない

よく、歯科技工士養成学校の入学者数の減少が問題と言われている。そして、入学者数を増やすための活動が、歯科技工士会や専門学校を中心に行われている。

しかし、私はこんな活動では何の解決にも繋がらないと考えている。

なぜなら、まともな就労環境を確立し、離職者を減らせば良いだけの話だからだ。歯科技工士の離職率が80%から20%になれば良いだけだ。そうなれば離職者の復帰も考えられる。

歯科技工がブラック産業化していることが問題の根幹だ。問題をすり替えようとしても新たな犠牲者を生むだけで何の解決にもならない。

歯科技工士の離職率を下げること

歯科技工士の離職率の高さは、若い技工士に根性がないからではない。ゆとり教育も関係ない。

厳しい経済状況のもと、奨学金で国家試験に受かり、免許を手にするときは既に多額債務者である若者も多くいる。

彼らは歯科技工が嫌で去っていくわけではない。肉体的にも精神的にもボロボロになり去らざるを得なくなり去っていく。

残念ながら今の歯科技工業界は、このような若者を使い捨てにせざるを得ない状況のもと、何とか歯科医療を支えているというのが現状である。まさにブラック産業化していると言っても過言ではない。

最後に

歯科技工士養成学校の入学者数を増やしても、ポジティブキャンペーンを行っても問題の解決にはならない。

歯科技工士の離職率が80%でブラック産業なのは構造上の問題なのだから、構造上の問題を解決しなければならない。具体的にどこが問題なのかは、歯科技工士の問題は、歯科保険点数の仕組だった!解決策は?で示したいと考える。

 

 

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歯科技工士の本当の年収は?時給で計算すると170円だった!

この記事では、歯科技工士の実態から求人サイトなどで示されている歯科技工士の年収や労働環境が如何に信憑性の乏しい情報であるかを報告したい。

歯科技工士を目指す方々や、実態を正しく把握したい若手技工士のための「歯科技工士の本当の年収」の情報を提供するために。

 

求人サイトなどでは


「歯科技工士 年収」などのキーワードで検索すると、求人サイトなどで多く示されている歯科技工士の年収は、

求人サイト

  • 平均年齢:40~50歳
  • 勤続年数:10~20年
  • 労働時間:170~180時間/月
  • 超過労働:8~10時間
  • 月額給与30~35万円
  • 年間賞与40~45万円
  • 平均年収:400~500万円

などと示している場合が多い。おそらく根拠となる資料は、

厚生労働省:賃金構造基本統計調査 から算出したものだと考えられる。しかし、鵜呑みにしてはならない。ハッキリ言って参考にならないデータなので、実態を示した正確なデータをこの記事では示したいと考える。

 

実態は以下の通り


まず、気になる「実態」を示した歯科技工士の年収と就労状況を示す。

実態

  • 平均年齢:52~57歳
  • 技工年数:10~20年
  • 労働時間60~90時間/週
  • 月額給与17~33万円
  • 平均年収:200~400万円

※労働時間は月ではなく週なのでお間違えないように。そのため、超過労働は労働時間に含む。

以上のデータの根拠は後で説明するとして、8時間労働で週休2日(一般常識を採用)でザックリ時給を算出すると時給170円ということになる。

「さすがに時給170円は無いやろ」と少しビビッてしまった。そこで、思い切って365日年中無休で働いた場合(一人コンビニのような感じ)の時給も示すと、大幅アップで755円となり、多くの自治体の最低賃金に少し及ばない程度となった。

※だが、本来は8時間労働、週休2日程度で算出するのが一般的だ。社会通念上、365日24時間労働で算出する時給や年収なんかは存在しない。

一言でいうと歯科技工士の業界全体はブラック産業ということは間違いない。

それでは、このデータの根拠を示していこう。

 

歯科技工士の特徴

はじめに求人サイトなどで示されている歯科技工士の年収がいかに実態を反映していないかを示す。そのためには歯科技工士の就労実態がどのような特徴があるのかを知る必要がある。

歯科技工士のほとんどは歯科診療所で雇用されているわけではない。歯科医師は患者さんの歯科技工物(入れ歯や、被せ物)を自分で作るわけではなく、患者さんの歯形を歯科技工所(ラボ)という製作現場に外注委託する。

簡単に言うと、歯医者さんから外注委託され、歯科技工物の製作を「歯医者さんの下請け」として作るのが歯科技工所ということになる。そこで入れ歯などを製作するのが国家資格を持った歯科技工士だ。

そして、この歯科技工所の特徴が、歯科技工所全体の80~90%が1~2人で歯科技工業を営む個人事業という事業形態だ。なので、ほとんどの歯科技工士は個人経営であるという大きな特徴がある。

歯医者さんのほとんどが個人経営で、イオン歯科やセブンアンドアイ歯科のような大型量販店型ではないのと同じイメージだ。

全ての歯科技工物は手作りで制作され、職人仕事であることは言うまでもなく、

  • ほとんどの歯科技工士は歯科医院で雇用されているのではない。
  • 歯医者の下請けとして歯科技工物の製作を請け負っている。
  • そのほとんど(80~90%)が個人事業という経営形態である

という特徴がある。

 

 

実態を反映していない

そこで、歯科技工産業がブラック産業であるという根拠に入る前に、求人サイトなどで紹介されている歯科技工士の年収は「厚生労働省:賃金構造基本統計調査」を基に示してあるが、いかに実態を反映していないかを示す。

まず、この調査の特徴は

  • 対象は10人以上の事業所
  • 区分訳は、10~99人、100~999人、1000人以上

となっている。この時点で歯科技工士(所)の特徴を反映したものではない。

しかし、少数ではあるが大手技工所もある。そこに就職すると良いだけかと思われるかもしれないが、私たちが知る限り、大手歯科技工所が調査結果のような就労環境にあることはない。

では、なぜ実態と調査結果にこれだけの開きが生じるのだろうか?明確な理由は分からないが、私たちはこう考える。

この調査は厚生労働省によって行われている。そして歯科技工士を所管するのも厚生労働省だ。さらに技工所の従業員ではなく、報告するのは技工所の経営者だ。

そのことから、ブラック企業である技工所が、自らを所管する厚生労働省にそのまま「ブラック企業です」と報告するはずがないではないか?

 

 

歯科技工士の年収と労働実態

では、実態はブラック産業であるという根拠を示す。冒頭から繰り返している「実態」ということがカギとなる。歯科技工所の実態を示した調査データがある。

 

歯科技工士実態調査

はじめに紹介するのは、公益社団法人「日本歯科技工士会」が定期的に行っている歯科技工士実態調査というものがある。

実際のデータは、こちらの2015歯科技工士実態調査を参考にしていただきたい。ここから、自営者の労働状況と歯科技工士の年収を示すと以下のようになる。

 

2015歯科技工士実態調査

  • 平均年齢:53.6歳
  • 休日:週0.9日
  • 週労働時間:平均は68.9時間
  • 平均年収:255.3万円

 

この調査は、日本歯科技工士会が3年ごとに定期的に行っている調査だ。

特徴は、歯科技工士会員が対象であるということだ。日本歯科技工士会の歯科技工士全体に占める会員比率は30%程度で、ベテランの技工士が多く、会費を支払っていることもあり「比較的豊かな技工士」と言われている。

 

歯科技工所アンケート

次に紹介するのは全国保険医団体連合会が行った「2016 年歯科技工所アンケート」というものから歯科技工士の年収を示したものだ。実際のデータは2016年歯科技工所アンケート調査結果と概要報告を参考にしていただきたい。

 

2016年歯科技工所アンケート

  • 平均年齢:55.77歳
  • 休日:週1 日が48.2%、ほとんど取れない30.5%
  • 週労働時間:71~80 時間が16.3%、61~70 時間が14.5%
  • 平均年収:317万円(300万円以下が53%)

 

このアンケートの特徴は、全国2,454件の歯科技工士(所)がアンケートに答えており、過去に類を見ない規模で実施されたのアンケートであることだ。

また、歯科技工士会の会員、会員以外関係なく行っている調査なので、最も業界の現状を反映していると言える。

また、このアンケートでは膨大な数の自由コメントを集め公開している。データだけでなく現役技工士の生の声が集められている貴重な調査結果だ。

 

 

歯科技工士の年収と実態のまとめ

まずは、歯科技工士の年収や労働実態の貴重な調査・アンケートを実施されいる日本歯科技工士会と全国保険医団体連合会に心より敬意を表したい。

双方の調査結果からは、過労死ラインを大幅に超える超長時間労働であるという実態が明らかになっている。そのことからも日本の歯科医療は歯科技工士の過重労働によって支えられていると言ってもよい。

そして、この調査結果は厚生労働省も日本歯科医師会も把握しているが、特に対策をとる姿勢は見られない。特に日本歯科医師会に至っては、闇献金問題や迂回献金問題と「政治と金」の問題を牽引している「自分たちさえ良ければよい」との考えの問題団体であることは明らかだ。

 

若い技工士が犠牲に

歯科技工士の年収や時給を実態に合わせて算出すると、歯科技工士の就労環境はとんでもなく劣悪な状況であることが分かった。

そして一番の被害者は若い技工士たちだ。「歯科医療を通じて社会に貢献したい」と夢と希望をもって歯科技工士という職業に就くこととなった彼らの約8割は5年以内に離職する。脅威の離職率8割をたたき出すブラック産業化を牽引しているのは誰なのか?

離職率8割の詳しい記事はこちら👉歯科技工士の実態と離職率!5年以内の離職率は?マジか80%

彼らは歯科医療にかかわる者たちの「見て見ぬふり」と「他人事」というような関わり方により未来を奪われている。

私が良い歯医者とは?と問われると、若い歯科技工士のような弱い立場のために勇気を持って行動する歯科医師と答える。そういう歯科医師は、困っている患者さんに対しても同じように接することが出来ると思う。

インテリ気取って辱めもなくしょーもない話をする歯医者ではなく、少数派であってもこのような歯科医師を応援したいし、そのような歯医者が患者さんから評価されるような情報を発信していきたいと考える。

 

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