福岡県大牟田市歴木1807-447のタケ・デンタルクリニック(武石 一秀(たけいし かずひで))が診療報酬を不正に請求し得ていたことから保険医療機関の指定取消処分となりました。
不正内容は以下の通り
- 付増請求 実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して、診療報酬を不 正に請求していた。(不正請求)
- 実際に行った保険診療を、保険点数の高い別の診療に振り替えて、診療報酬 を不正に請求していた。(振替請求)
- 自費診療として患者から費用を受領しているにもかかわらず、同診療を保険 診療したかのように装い、診療報酬を不正に請求していた。(二重請求)
- 保険適用外である診療を、保険適用である診療を行ったものとして、診療報 酬を不正に請求していた。(その他の請求)
- 算定要件を満たさない医学管理等、検査、リハビリテーション及び歯冠修復及 び欠損補綴に係る診療報酬を不当に請求していた。(不当請求)
保険医療機関の指定の取消及び保険医の登録の取消について(平成29年7月7日付)(PDF:94KB)
平成29年7月7日 九州厚生局
目次
タケ・デンタルクリニック➔個別指導➔監査➔取消処分
保険医療機関の指定の取消及び保険医の登録の取消
厚生労働省九州厚生局は、平成29年7月7日付けで、保険医療機関に対する指定の取消処分及び保険医に対する登録の取消処分を行いました。
この処分は、実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して請求するな ど、診療報酬を不正に請求したことによるものです。
(不正・不当請求額 約102万円) なお、今回の処分にあたっては、平成29年7月5日に開催された九州地方社会保険 医療協議会に諮問を行い、諮問のとおりの答申がなされています。
1.保険医療機関の指定の取消処分及び保険医の登録の取消処分
(1) 指定取消となる保険医療機関
- 名称 タケ・デンタルクリニック
- 所在地 福岡県大牟田市歴木1807-447
- 開設者 武石 一秀(たけいし かずひで)
- 指定取消日 平成29年7月7日
(2) 登録取消となる保険医
- 氏名 武 石 一 秀(たけいし かずひで) 50歳
- 登録取消日 平成29年7月7日
2.根拠条文
- 保険医療機関の指定取消 ・ 健康保険法第80条第1号、第2号、第3号及び第6号
- 保険医の登録取消 ・ 健康保険法第81条第1号及び第3号
3.診療報酬の不正及び不当請求
監査において確認した不正・不当請求に係るレセプト件数及び金額 (平成26年7月~平成27年9月)
- 正請求 20名分 レセプト 45件 1,011,171円
- 不当請求 7名分 レセプト 7件 0,156円
- 合 計 27名分 レセプト 52件 1,021,327円 (20名分) (45件)
※( )内は、患者実人数及びレセプト実件数である。
(注)上記の件数及び金額は、監査で確認したもののみを計上しており、最終的な 不正・不当請求の件数及び金額は、今後精査していくこととしているので、現 時点では確定していない。
4.取消処分の主な理由
(1) 不正請求
① 付増請求
実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して、診療報酬を不 正に請求していた。
《 具体的事例 》
欠損補綴物製作に際し、行っていないチェックバイト検査(顎運動関連検査) を行ったとして請求していた。
② 振替請求
実際に行った保険診療を、保険点数の高い別の診療に振り替えて、診療報酬 を不正に請求していた。
《 具体的事例 》
有床義歯の製作に際し、実際に使用した金属を保険点数の高い別の金属を使 用したとして請求していた。
③ 二重請求
自費診療として患者から費用を受領しているにもかかわらず、同診療を保険 診療したかのように装い、診療報酬を不正に請求していた。
《 具体的事例 》
保険適用外のジルコニアを使用したクラウン、ブリッジを製作、装着し、患 者から費用を受領したものを、保険適用のレジン前装金属冠、ブリッジを製作、 装着したとして保険でも請求していた。
④ その他の請求
保険適用外である診療を、保険適用である診療を行ったものとして、診療報 酬を不正に請求していた。
《 具体的事例 》
ア 小臼歯に保険適用外のレジン前装金属冠を製作、装着したものを、保険 適用である硬質レジンジャケット冠を製作、装着したものとして請求して いた。
イ 臼歯部に保険適用外のレジン前装金属冠を使用したブリッジを製作、装 着したものを、保険適用である全部金属冠を使用したブリッジを製作、装着したものとして請求していた。
(2) 不当請求
算定要件を満たさない医学管理等、検査、リハビリテーション及び歯冠修復及 び欠損補綴に係る診療報酬を不当に請求していた。
5.監査を行うに至った経緯等
- 平成27年12月16日に当該保険医療機関に対し個別指導を実施したところ、 保険適用外のレジン前装金属冠を製作、装着したものを、保険適用となる硬質レ ジンジャケット冠を製作、装着したとして保険請求している例や保険適用外のレジン前装金属冠支台としたブリッジを製作、装着したものを保険適用となる全部 金属冠支台としたブリッジを製作、装着したものを保険請求している例が認めら れたことから、個別指導を中断した。
- 平成28年2月3日、患者4名に対し患者調査を実施したところ、上記(1) の事例に該当する患者3名を確認した。
- 平成28年2月24日に個別指導を再開したところ、武石歯科医師が不適切な診療報酬の請求を認めたことから、個別指導を中止した。
- 平成28年3月14日から15日にかけて、更に13名の患者調査を実施した結果、このうち9名について上記(1)と同様の事例が確認でき、不正請求が行われていることが強く疑われたため、平成28年5月17日、同年6月3日及び 6月23日に監査を実施した。
歯科の指導・監査から生活・家族・関係者を守る
多かれ少なかれ指導・監査に不安を抱いている歯科医師は多い。
しかし、多くの歯科医師は相談できる相手がいないため、診療で忙しい日々に独自に一人で対応する場合が多い。
そのため、辻褄を合わすために技工所に指示書や納品書の改ざんを指示したりする場合も多いが、この場合は「取消」で済む話ではなく「詐欺」として刑事事件に発展する。
指導・監査は任意調査であるのに対し、事件となれば調査は強制なので当然、厳しいものになる。
「正しい対応」と「相談相手」
個別指導でしっかりと対応しなけば、述べ複数回にもなる監査に繋がる。
個別指導から監査へと移行する場合は、今回のようなに明らかな不正がある場合だけではない。意図しないミスや「言いがかり」ともいえる理由でも実施される。
また、何よりも個別指導や監査での技官は非常に高圧的で、結果が見えない中で長期間・複数回の監査が続く状況は、計り知れないほどの精神的負担を伴う。事実、そのことで自殺にまで追い込まれた医師も存在するのだから。
指導・監査は不正請求の疑いを抱かれているためだ。そのような歯科医師に対して世間の見る目は冷ややかだ。このような状況にある歯科医師へのテクニカル的なアドバイスや、何よりも相談できる相手がいると居ないのとでは、日々の不安や精神ストレス、指導・監査の結果は全く違ったものとなる。
指導・監査の対策マニュアル
是非、私たちが提供する保険医療機関の指導・監査の対策マニュアルをご活用いただき、保険医の指定は勿論、生活・家族・関係者の事業と生活を守っていただきたい。
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