歯医者の開業・経営で患者を増やす!医院の明確な違いとは?

患者さんが集まる歯科医院と、患者さんが離れていく歯科医院。この2つの歯科医院に明確な違いはあるのか?また、「これを実践すると患者が集まる歯科医院になる」という方法はあるのか?

結論から言うと、「確実」な違いがあります。患者さんが集まる歯科医院には有り、患者さんが集まらない歯科医院には「確実」に無いものがあります。

患者が増える歯科医院、患者が増えない歯科医院

例えば、飲食店ではどうでしょうか?行列ができるお店もあれば、いつ見ても閑古鳥が鳴いているようなお店もあります。

一般的に集客に関しては、「運」以外はマーケティング力による違いが大きいことは言うまでもありません。

「美味しいから流行っている」という意見もありますが、「美味しいのはあたりまえ」の時代において、「美味しい」や「技術力がある」と言うのはマーケティングにおける強みの要素の一つであり、そのことがすべてではありません。

それどころか、提供する側のプロレベルでの違いであり、サービスを受ける側の一般人レベルではその違いが分からない場合がほとんどです。

「美味しい」や「技術力がある」というのは、そのことを口コミとし集客につなげるための仕掛ける側の自己プロヂュース力が優れているということです。

歯科医院の宣伝広告

一般的な商売の場合、集客と言えば「宣伝広告」です。「宣伝広告」のスキルにより集客の勝ち負けはほぼ決まります。私たちに「お客さんを増やしたい」との依頼があれば、先ず実施するのは間違いなく宣伝広告です。

しかし、歯科医院の宣伝広告は「医療広告ガイドライン」において厳しく制限されています。そのような中でも新患の集患には様々な宣伝方法はありますが、基本的にはWEB広告以外は無く、WEB広告以上に効果のある宣伝方法もほとんどありません。

ただ、WEB広告といっても歯科医院が行っている広告は、PPC広告に代表されるキーワード広告がほとんどです。

ワンクリック数百円から、ヘタすりゃ1000円以上もする歯科関連のキーワードに、ずらりと並ぶ歯科医院のPPC広告を見るたびに「こいつらカモられてるな」と日々感じています。

一般的にはPPC広告のワンクリック単価は、ほとんどのキーワードで高騰しており、PPC広告で成果を上げることができる会社は資金力の会社に限られたものとなっています。

そのような状況も知らずに、費用対効果の検証もせず、おまけに広告費以外に外注委託によるコンサル料まで払っているバカな歯科医師が数多くいます。

今の時代、PPC広告のコンサルを外部委託するような会社は皆無と言っても良いでしょう。

PPC広告で成果を上げている会社は間違いなく自社で取り組み、そのノウハウを持っている会社です。

患者が増える歯科医院

申し訳ございません。宣伝広告による集客に話が脱線してしまいました。本記事は宣伝広告による集患に関する内容ではありませんので本題に軌道修正します。

では、本題の、患者が集まる歯科医院には有り、患者が集まらない歯科医院には「確実」に無いものをお伝えします。

それは、歯科医療を提供する側である歯科医院の「活気」や患者さんが集まる「雰囲気」です。一見抽象的に思われると思いますが、決してあいまいなものではありません。

そしてこの「活気」や患者さんが集まる「雰囲気」は、集患のために非常に重要な要素です。なぜなら、立地条件や医院規模、内外装や歯科医療機器で争っても大型歯科医院にはかないません。

また、思い切って大型歯科医院を開業したとしても月々のランニングコストはもとより、10年後には確実にリニューアルしなければその優位性を保つことはできません。

そもそも一般的な歯科医師1人、受付1人、歯科衛生士・歯科助手1~2人の歯科医院が同じ土俵で勝負しようと考えること自体が間違いです。しかし、「活気」や患者さんが集まる「雰囲気」による集患。という計画の土俵で勝負すれば、大型歯科医院よりも確実にマネイジメントしやすく実現可能な戦略をとることができます。

改めて想像してください。行列ができるほどに人気のあるお店には「活気」やお客さんが集まる「雰囲気」が無いでしょうか?このことを大型店でも実現できているのがマクドナルドなのかもしれません。大型店でここまで実現されてしまうと圧倒的にマクドナルドよりも美味しいハンバーガーを作れたとしても、マクドナルドに勝つことは不可能なのです。

歯科医院のマネイジメント、コーチング

そんなこと「解っているし、できている」という歯科医師がほとんどです。

しかし、実際にはほとんどの歯科医院ではできていません。「できている」というのは思い込みです。実際に経営学やマネイジメント、コーチングを専門的に学んだ人たちであっても自社でもできているという者は僅かです。

そのことから、コンサルタント会社が社内の「活気」や「雰囲気づくり」にコンサルティングを他社に依頼することが多くあるのです。

歯科医が自身の歯科治療を他の歯科医師にお願いするようなものです。マネイジメントやコーチングは専門的トレーニングを受け、内容を熟知していても自社にはできないという特性があります。

医院長は歯科医師であり経営者でもあります。しかし、経営学やマネイジメント、コーチングを専門的に学んでいるわけではありません。

経営学的では、「活気」や患者さんが集まる「雰囲気」づくりの方法はある程度科学的に確立されています。その方法は一見簡単にできるように感じるのですが、実践し継続し続けることは思った以上に難しいのです。

しかし、このことを科学的に実践し成功を収めている企業は山ほどあります。是非、実践してみてください。

それでは次回は具体的な実践方法をお伝えしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

 

歯医者が廃業・倒産しないために知っておくべき3つのこと

「経営が大変!食っていけない」歯医者の悲鳴が聞こえてくる。あなたの歯科医院経営に関する基礎知識は十分と言えるだろうか?

これから開業を目指す歯科医は、経営の知識を付けなければ1年後にこのような悲鳴を上げているだろう。そして3年後には残念・・・、悲鳴もむなしく廃業している歯医者も多い。

今、歯医者の経営で重要と考えられていることは何だろうか?

 

1、他の歯科医院と差別化を図る

専門的な治療技術を磨き、他の歯科医院と差別化を図る歯医者は多い。そんなことで強く安定的で持続的な歯科経営が実現できると本当に思っているのだろうか?

 

2、好立地な場所での開業

確かに重要だ。しかし、その場所が10年後も20年後も好立地であり続けるだろうか?そのために発生する固定費に資金繰りは耐えられるだろうか?

既に都市部に歯科医院の開業は集中している。これまでの単純なエリアマーケティングで開業すると、めでたく近隣歯医者と共倒れするだろう。開業コンサルは10年後にあなたが廃業しようと関係ない。むしろ、また新たな開業医を居抜きで探せるのでラッキーだ。

 

3、自比率を上げる

未だにコンサルタントから連日のように「自比率アップ」に関するFAXが医院に届いてはいないだろうか?そしてバカ歯医者が自費率アップの妄想にかられ参加する。

日銀が捨て身の黒田バズーカをぶっ放しても物価は上昇しない。政府が必死に株価を釣り上げても景気は良くならない。世の中は「ながーい間、深刻なデフレ不景気だ」。

そんな中、原価2割の500円の弁当は売れるかもしれないが、原価2割もしない数万~数十万もするボッタクリの自費治療が増えると考える想像力が凄い。

今の時代、下手に自費を進めても煙たがられるだけで逆効果となる場合も多い。自費治療に限らず、マーケティング(特にターゲティング)とクロージングが重要なのだ。

 

歯科医療費と歯科医師数の推移

現在、歯科医を取り巻く状況は厳しいと言われる。

それもそのはずだ。以下のグラフを見ていただきたい。歯科医療費は長年2兆5~7千億くらいを推移している。

医科や薬局調剤などと比べると歯科医療費のみが長らく据え置かれていることは一目瞭然だ。

 

[pdf-embedder url=”http://nobiru-shika.com/wp-content/uploads/2017/08/国民医療費の推移.pdf”]

 

上記のデータは国民医療費との比較だが、消費者物価指数の伸びと比べても同じような状況にある。また、自費市場も縮小し続けていて、ピーク時の半分程度となっている。

その一方で、歯科医師数は増え続けている。以下のグラフが歯科医師数の推移だ。

 

[pdf-embedder url=”http://nobiru-shika.com/wp-content/uploads/2017/08/歯科医師数の推移.pdf”]

 

歯科医療費の推移と、歯科医師数の推移から分かることは、現在の歯科医療産業では、少ないパイを歯科医師が奪い合っているという構図であることは間違いない。

「う蝕なども減り、歯科医療産業自体が成熟(衰退?)しているため仕方がない!」という声をよく聞くが、ハッキリ言ってバカじゃないかと思う。

一日、内科医の横で患者の口腔内を見てみると良い。歯科医療が必要な患者だらけだ。潜在的な歯科医療ニーズはとてつもなくある。 歯医者に来る患者や健診だけで判断してはいけない。

潜在的ニーズを掘り起こせていないのは、制度的な問題や、経済的な問題、経営力・マーケティング力の問題が大きい。

 

本記事は、歯科医院の開業を考えた場合に、マクロ的視点からザックリと歯科医療の状況を把握していただくために書いている。

そのため、具体的に「どうやったらもっと儲かるか?」という経営に関する内容は別記事を参考にしていただきたい。

しかし、上記に示した

  1. 他の歯科医院と差別化を図る
  2. 好立地な場所での開業
  3. 自比率を上げる

の3点に関しては、過度に重要視する傾向があるので、柔軟な発想を持っていただくための意味も込めて少し問題提起をさせていただきたい。

 

他の歯科医院と差別化を図る

歯科医療(特に専門的)の知識や技術の向上は言うまでもなく重要だ。学会やスタディグループなどでも講師としてプレゼンする立場であれば一目置かれることは間違いない。

しかし、そのことと、その技術や専門性が患者さんに評価され来患や売上アップにつながるかは話が別だ。

例えば、想像していただきたい。

Q

あなたは、本気で4~5年間研究すればマクドナルドのハンバーガーよりも美味しいハンバーガーを作ることができるだろうか?

A

おそらく、ほとんどの方が「作れる!」と答えるであろう。

Q

では、次にマクドナルドのハンバーガーよりも確実に美味しいハンバーガーを作ることができたら、あなたはハンバーガー店を経営してマクドナルドに勝つことができるだろうか?

A

おそらく、ほとんどの方が「不可能だ!」と答えるであろう。

差別化のポイント

まぁ、歯科医院は地域密着型なので多店舗経営のノウハウは必要ないが、地域密着型であってもマクドナルドに勝つことは難しい。要するに差別化を意識する以前に必要なことは経営の知識やマーケティング力ということだ。

差別化による売上アップや、利益の最大化を図るためには、潜在的ニーズの掘起しが最も重要と言われている。

潜在的ニーズとは、基本的には消費者(患者)が気付いていないニーズのことだ。そして、その気付いていないニーズを満たすことのできる商品やサービスを消費者(患者)が知った時にはじめて消費に繋がることとなる。

そのため、そもそもニーズがあるのかや、ターゲティング、患者にその歯科医療サービスと自歯科医院の存在を知らせるということが重要となる。

そして、歯科医が提供したい歯科医療サービスと、患者が受けたい歯科医療サービスには常にギャップが存在する。患者ニーズと歯科医シーズとは大きな違いが常に存在することを意識することが必要だ。

 

歯科医院の立地条件

帝国データバンクの情報を見ると、歯科医院は明らかに都市部に乱立している。また、出身大学の近くに開業する傾向もある。

歯科医院の開業を考える場合、住宅街であれば最も重要視されるのが半径500メートル圏内の人口密度と他歯科医院の状況だ。

これは、歯科医院の商圏が基本的には半径500メートル圏内であることからだ。しかし、その地域の地域性なども重要なポイントとなることは間違いない。

例えば、予防中心の歯科医院経営を目指している場合に、その地域のいわゆる「デンタルIQ」が高いか低いかはかなり重要だ。

低い場合は、地域のデンタルIQを高めるための啓蒙活動や、商圏を超える広範囲から患者を獲得する必要がある。このどちらの場合も「理解してもらう」、「知ってもらう」ということが「治療技術」よりもはるかに重要となる。

年齢による予測も

また、開業を考えるときに、競合する歯科医の年齢も非常に重要なポイントだ。何故なら基本的なことだが、景気動向の予測は難しいが、年齢による状況の変化は予測しやすい。

これは、歯科医の高齢化による引退や生産性の低下を狙った家康作戦(周りが自然淘汰されることで一人勝ちを狙う戦略)のためだけではない。

地域全体の年齢構成や動向も考える必要がある。家康作戦は、生き残りによる需要の集中よりも、市場が衰退している場合は生き残ることができないため成功しない。

開業する歯科医の年齢や、地域の年齢構成や地域性の歯科医とのマッチングが、歯科医院の持続的発展には欠かせない要素となる。

ただ、最近は医療広告ガイドラインの規制を受けないインターネットを活用したWEBマーケティングの発展により、従来の商圏の考え方は大きく変わっていることは知っておく必要がある。

マーケティング戦略はすでに大きく変化している。今からの開業は従来のエリアマーケティング以上にWEBマーケティングが最も重要となることは明らかだ。

参考はこちら👉歯医者がホームページで効果を最大にするWEBマーケティング

 

自比率を上げる

自らの歯科医院の理念や治療方針が自費中心の歯科医院であることで、必然的に自費中心の歯科医院を目指すことは悪くはないと思う。

しかし、多くの歯科医は「儲け」のために自費を増やす。まぁ、それも屋類ことではない。

だが、そのほとんどの場合は、数カ月は予約が取れない程に来患者数が多く、レセプト1枚当たりもいっぱいいっぱいの点数を確保している歯科医が、更なる売上・利益率のアップを目指すためではない。

要するに来患者数の問題を自比率で解決しようとしても間違いなく無理だ。何だかんだ言っても、このデフレ経済の下で歯科の自費治療はボッタクリであることを認識する必要がある。

自費はボッタクリ

私はボッタクリが悪いとは全く思わない。むしろ成立するビジネスモデルは魅力的だ。しかし、それだけに少ないのも事実だ。

私の経験上、ボッタクリ(高単価・高利益率)が成立する場合は以下のような条件下にある場合だ。

  1. 緊急性が高い(成約率が高い)
  2. 相場が決まっていない
  3. 他に選択肢がない(売り手市場)

この様な条件を満たし、実際に私たちが成果を上げることができた業種でいえば、

  1. 水道工事(水漏れや、詰まりなど)
  2. 鍵の110番(鍵開けなど)
  3. 害虫駆除(シロアリの発生など)

しかし、最近ではリスティング広告においても広告費が高騰しているため、かなりの資金力が必要となっている。

歯科の高額治療

では、歯科の自費の高額治療はどうだろうか?上記のような条件に該当するだろうか?

私も多くの自費率アップのセミナーなどに参加したが、どれもひどい内容であった。この、「そこそこのモノをそこそこの値段で」という経済状況下で、変にセミナーの内容を真に受けて実践すると、下手したら患者から「金儲け主義」のボッタクリ歯医者とのレッテルを貼られることとなるだろう。

歯科治療は誰もができることなら受けたくはない。そのため、浪費的消費は起こりにくいという特徴もある。私は、変に自費率アップに取り組む必要はないと思うが、自費であろうが保険であろうが来患者数を増やし利益率を高めるためにはマーケティングを学ぶことが最も重要と考えている。

更に、歯科医療では医療広告ガイドラインにより広告規制があるため、WEBマーケティングは間違いなく今後必要となる経営スキルであろう。

 

 

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    歯科技工士(所)が開業前に絶対に知るべき5ステップ

    歯科技工士数が減少する一方、歯科技工所の開業は増えている。しかし、歯科技工士の経営状況は非常に厳しいのが実態だ。

    独立開業に至るまでに高い技術・技能を習得し、夢と希望で満ち溢れ自信たっぷで開業する歯科技工士も多いと思う。

    一方で、独立開業への大きな不安を抱く歯科技工士はそれ以上に多いと思う。そこで本記事では歯科技工士の独立や、歯科技工所経営で絶対に知っておくべき知識を各ステップごとにお伝えする。

    この記事のポイント

    この記事では、経営に必要な知識(特に資金繰り)をお伝えする。

    そのため、どれ程の技術を身に着けるべきかや、どれだけ営業に力を入れるか。といった個人差が大きい根性論には触れない。

    誰もが同じような成果を上げることができるノウハウをお伝えする。

     

    1、歯科技工所の開業資金を知る

    最近は鋳造機一つとっても歯科技工関連機器は高額化の傾向にある。デンチャー or クラウン・ブリッジによっても違うが、CAD/CAM装置となれば、それだけで1000万円程度する。

    欲しい設備をすべて整えようとすれば、開業資金はいくらあっても足りない。そこで、最初は必要最低限の設備からスタートするべきだ。

    そのことを踏まえて開業資金は700万円程度と考える。というよりは、中古などを活用してでも700万円程度に抑える必要がある。自身があっても1000万円以内には抑えるべきだ。

    理由は様々ある。そのあたりは後でお伝えするが、お金と時間の関係を知ることが最も重要だ。

    2、開業資金は金融機関から調達

    次に開業資金をどう用意するかだ。ここでは起業家としての考え方が必要となる。

    「お金が貯まったら」や「もう少しお金を貯めないと」という声をよく聞く。結論から言うと、開業するのにお金を貯める必要も無ければ、「お金が無いから開業できない」という考え自体が間違っている。

    単純に考えてみてほしい。仮に開業資金に1000万円が必要だとする。1000万円を貯めるために

    1. どれだけの時間と労力を費やす必要があるだろう?
    2. 税金や保険料はどれだけ払う必要があるだろう?
    3. 必死にためた1000万円を使い切って運転資金は大丈夫なのか?

    1000万円を貯めるためには、とてつもなく時間も労力もかかるということだ。自宅を購入するのであれば貯めることにメリットもある。だが事業を起こし営むにはあまり必要ない。

    2-1、金融機関から調達するメリット

    では、開業資金をどうするか?ということになるが金融機関から調達すべきだ。理由は、

    1. 時間や労力を必要としない。
    2. 借入金は負債であるため税金はかからない。
    3. 回収する必要が無く、レバレッジを効かすことができる。

    金融機関からの融資の方が、1000万円を貯めるより圧倒的にメリットが多くスピード感がある。

    金融機関からの借入金の原資は預金者の預金だ。わざわざ苦労して貯めなくても、苦労して貯めてきた人たちの預金を活用するということだ。こういった考え方を起業家や経営者としては持つ必要がある。

     

    ※借金を抱えることが怖いと思う方も多いと思う。実はそんな不安を抱く必要は全くない。そのことは後に説明するので、このまま読み続けていただきたい。

    3、開業資金は公的金融機関から

    では、実際に歯科技工所を開業するにあたって、どのような金融機関から融資を受けるべきかをお伝えする。

    開業資金は国や自治体が実施する公的融資と呼ばれる融資制度を活用する。開業資金に最も適当なのが

    • 日本政策金融公庫
    • 制度融資(保証付き融資)

    の2つだ。

    それではこの2つの公的融資の特徴を説明する。

    3‐1、歯科技工士の開業資金は日本政策金融公庫

    まだ、信用がない開業時に民間金融機関から好条件で融資を受けることは不可能に近い。そこで公的創業融資である日本政策金融公庫の新創業融資を活用するべきだ。

    そこで、開業時に日本政策金融公庫の新創業融資を活用する理由を示す。

    1. 最近の傾向として、政府として起業を積極的に促し、開業融資を積極的に実行している。
    2. 自己資金要件が10分の1以上に緩和されたうえ、設備・運転資金で最大2年の据置期間がある。
    3. 3000万円まで無担保・無保証で融資が可能。

    大きな特徴は、自己資金要件が3分の1から10分の1に大幅に緩和され、据置期間も最大2年に拡充されたことだ。

    要するに、1000万円の事業であれば自己資金100万円で900万円の融資を受けることができ、返済は2年後からスタートということになる。

    政府が融資に積極的に取り組んでいることもあり、無担保・無保証なのでリスクは無いと言ってもよい状況だ。開業時には積極的に活用するべきと考える。

    ✅自己資金0円での融資も可能

    一般的には上記に示した通り自己資金要件は10/1だ。

    だが、1000万円以下に限られるが、実務経験が5年以上ある者や、専門家からの経営支援を受けた場合などは自己資金ゼロでの融資も可能だ。

    歯科技工士の場合、ほとんどが実務経験は5年以上であることから自己資金ゼロでの融資は可能な場合が多い。

    融資実行のポイント

    とは言え、融資を断られることもある。そこで、日本政策金融公庫がどこを見て融資判断を行っているかを、私の経験も含めお伝えする。

    通帳のここを見る

    融資を受けるためには面接がある。そこでは通帳の中身を確認される。これは預金が多いか少ないかを見ているわけではない。見るポイントは日本政策金融公庫が公的な機関であるという特徴が出る。そのことから、

    公共料金や税金の支払い

    電気・ガス・水道といった公共料金が遅れずに引き落としされているか。税金(勤務であれば固定資産税など)の支払いが遅れていないかを見る。

    これは、お金にルーズかどうかを見ているのと、公的機関が融資するということに理由がある。公共料金が遅れたりしそうな方は、引き落としでなく、コンビニ払いなどにしておくと多少遅れても言い訳できる。

    自己資金

    10分の1の自己資金だが、単純にあるか無いかを見ているのではない。自己資金100万円で900万円の融資を受けるのに、預金が1000万円あれば通常は安心して融資が実行されると思いがちだが、決してそういうことではない。

    その自己資金ができるまでの経緯を見ている。なので、裕福なバカボンが「親が援助してくれた資金です」などといっても、それはあなたが管理していたものではないので意味がない。これから事業を継続していくための資金管理能力を見ている。

    最も重要なのは事業計画書

    ここまでで分かるように自己資金要件が10/1となった今では、融資可能かどうかの判断はその事業内容次第ということになる。正確には今から開業なので事業計画次第ということだ。

    そして、その事業計画を伝えるすべは事業計画書のみだ。したがって事業計画書を見て、この事業の

    • 将来性はどうか?
    • 客観的に正確に分析できているか?
    • 実現性は高いか?

    などが総合的に判断され、融資が実行されるかが決まる。当然、金融機関は、返済が焦げ付かないかは最低限の判断基準となる。

    事業計画書には書き方がある。私たちは融資や補助金の獲得などにおいて事業計画書では今のところ100%の採択率だ。

    事業計画書の作成はこちらを参考にしていただきたい👉歯医者も補助金・助成金・融資で必須!事業計画書の作成方法

    断られても交渉

    満額融資が断られることも多い。ほとんどの人はここで諦めるが、「融資は断られてからが本番」というくらいに考えていた方がよい。

    一発で融資が実行されるよりも、交渉で融資が実行されることの方が、私たちは多い。一度断られたくらいで凹むハートの弱さでは話にならない。

    また、最近では事業計画書が融資実行の重要な判断材料となっている。ここでいう事業計画書とは、日本政策金融公庫から求められるレベルの計画書ではない。一般企業の事業コンペやエンジェル(ベンチャーキャピタル投資家)、補助金の獲得などで作成するレベルの事業計画書のことだ。事業計画書については、また別記事で説明する。

    3‐2、歯科技工士の開業資金は制度融資

    制度融資とは、市町村などの自治体が、個人や中小企業をサポートする目的の融資制度だ。

    各自治体にある信用保証協会が個人や中小企業の保証をすることで、金融機関からのからの融資がスムーズに行われる。そのため、保証協会付融資とも呼ばれる。

    制度融資でも開業資金の調達は可能だが、自治体によって自己資金要件にはかなり違いがある。

    最近は自己資金ゼロでの開業融資を行っている自治体もあるので要チェック

    例えば滋賀県や兵庫県などは自己資金要件が0円だ。そのため日本政策金融公庫よりも活用しやすい。

    だが、一方で自己資金要件が2割以上の自治体もある。県と市によっても違うので歯科技工所の在る自治体に確認していただきたい。

    個人的には、事業の途中での使い勝手は日本政策金融公庫よりも制度融資の方が良いように感じる。

    制度融資も日本政策金融公庫と同じく公的融資のため、スムーズに融資が実行されることと金利が低いことが特徴だ。

    市と県での違い

    制度融資でポイントとなるのが、市と県によって制度融資の内容が違う場合がある。例えば、市の制度融資は保証料がかかるが、県は保証料が無料などだ。どちらを選択するのかによって違いが生じる場合があるので、あらかじめ確認する必要がある。

    市県民税

    次に、保証協会と金融機関がどこを見るかと言えば、売り上げを中心的にみている。何故だかよくわからないが利益率や営業利益ではなく売上を見る。

    後は、市県民税の税額によって融資枠を決める傾向がある。そのため、多額の資金が必要な状況など、場合によっては修正申告なども考える必要がある。

    融資条件

    制度融資も日本政策金融公庫と同じく、ほとんどの場合が無担保・無保証・低金利で借りることができる。

    また、制度融資と連動して様々な公的融資のパッケージが出される。そのような新たな制度を常にチェックしておくことで、他者よりも返済条件や借換条件などが好条件となる状況が生まれる。

    また、ここでも日本政策金融公庫と同じく事業計画書を作成することでスムーズな融資実行に繋がる。「あーだこーだ」口頭で説明されても担当者以外は理解できないうえ、事業が持続的に発展する根拠がない。論理的で経営知識があることが感じられる事業計画書で示す以外に、具体的な事業計画を伝える方法は無い。そのため、事業計画書がスムーズな融資実行に繋がるということだ。

    4、借入金が返済できなくなったら?

    冒頭に少し触れたが借金が返せなくなる不安を抱く人は多い。

    ここまでで歯科技工士の開業資金の調達先として、日本政策金融公庫と制度融資を挙げた。その特徴を読んでいただいた方の中には既にお気付きの方もいらっしゃると思うが、この2つの公的融資はどちらも基本的に無担保・無保証だ。

    つまり簡単に言うと、返済不可能となり借金を踏み倒しても、取られる担保も無ければ迷惑をかける保証人もいない。

    極端な良い方だが、「開業前と同じ状態」になるだけだ。なので必要以上に借入を怖がる必要はない。むしろ積極的に活用するべきだ。

    正確には返済が困難な場合は、条件変更や条件変更型借換保証といった制度も活用できる。

    それでも返済不可能になっても代位弁済でも事業は継続できる。制度を知っているにと知らないのとでは天と地ほど違いがあるのだ。

    5、お金と時間の関係を知る

    さて、ここからが重要なポイントとなってくる。ここからはお金と時間の関係を理解する時間だ。ここまでで歯科技工士の開業にあたっては

    • 自己資金ではなく融資を活用する
    • 公的融資の活用と特徴(日本政策金融公庫・制度融資)

    についてお伝えした。

    そしてここからは、その返済方法で利益(キャッシュ・フロー)にとてつもなく大きな差が生じることをお伝えする。

    ■歯科技工士にとって利益とは

    利益とは簡単に言うと、単純に「入り」から「出」を差引いた残りだ。だが、単純に利益と言ってもキャッシュ・フローではない。

    何故なら、決算上は売上から経費を差引いた残りが利益となるが、その利益から設備投資費を捻出することとなれば、利益=キャッシュ・フローとはならない。

    そのため、キャッシュ・フローをいかに多く生み出すかが強い経営のポイントとなる。どんな理想的なビジネスでもキャッシュが枯渇すると最悪倒産する。

    キャッシュは経営資源の王様なのだ。そのため、理想は、

    1. 利益率を最大化し、
    2. キャッシュインとキャッシュアウトに大きな差を生じさせ、
    3. そのサイクルをいかに強く・大きく・早くするか

    ということとなる。

    そこで、どのようにしてキャッシュ・フローを生み出すのかをお伝えする。ここでは理解しやすいように同じ条件の歯科技工所を例えに比べる。ここを理解するだけでも飛躍的に経営力はアップするのでしっかり理解してほしい。

    同じ条件とは、

    ①同じ売上、同じ経費、同じ利益率

    ②同じ借入額・負債額

    で検証してみる。

    5‐1、キャッシュ・フローで歯科技工所は大きな差が生じる

    まず、キャッシュ・フローの管理で、歯科医院にどのような違いが生じるかを示す。売上は同じだが、

    • A.は資金繰り面で最もよい条件で経営する歯科技工所
    • B.は資金繰り面で最低な条件で経営する歯科技工所

    2つを比較してみよう。

     

    A歯科技工所

    B歯科技工所

    比較

     

    A技工所は先に収入があり、材料などを仕入れているので、資金が枯渇することがない。絶対潰れない技工所だ。

    一方でB技工所は先に材料を仕入れて在庫を確保している。多くの技工所がB技工所と同じやり方をしている

    あなたは、「現実にはA技工所のような経営は不可能だ。」と考え諦めているだけだ。しっかりと支払いサイクルを見直すことでA技工所の状況に近づけることは間違いない。

    5‐2、借入方法や返済方法で技工所の固定費に大きな差が生じる

    ここでは、借入を一本化することで月々の返済額を少なくし、キャッシュ・フローを最大化する方法をお伝えする。

    なるべく解りやすいように公的制度である「借換保証制度」という公的制度で説明するが、必ずしも「借換保証制度」を活用する必要はない。

    現在、返済が順調であれば「借換保証制度」を活用しなくても、金融機関や信用保証協会との交渉で「借換保証制度」以上の好条件での一本化は可能だからだ。

    中小企業・小規模事業者の資金繰り支援・「借換保証制度」とは

    複数の保証付借入金を新たに借換えて一本化することで、月々の返済負担を軽減し、中小・小規模事業者の資金繰りの円滑化をうながす制度。

     

    一本化することで、なぜ返済負担が軽減されるのか?

    ピンとこないが、複数の借入先から別々に融資を受けている場合に一本化することで、月々の返済負担が軽減される場合は多い。具体的には簡単にシュミレーションをしてみると理解しやすい。

    例えば、総額5000万円の借入金があり、返済しているとする。(単純計算なので、返済期間は5年。金利は考えずに計算する)

    [pdf-embedder url=”http://nobiru-shika.com/wp-content/uploads/2017/06/▲借換保証 図.pdf”]

     

     

    この場合、4年目の月々の返済額の合計は84万円。借入残高は2780万円となっている。

    この時点で一本化したとする。その場合の月々の返済額は

    2780万円÷5(年)÷12(カ月)=46万円。となる。

     

    このように一本化することにより、月々の返済額が84万円から46万円となり、月々38万円返済が軽減されたこととなる。

    また、実際の借換保証の場合は、保証料がかかるが、金利の引き下げや据え置き期間などもあるので、間違いなく大きな負担軽減となる。

    対象者
    • 保証申込時点において、保証付きの既往借入金の残高がある方
    • セーフティネッ ト保証による借換えを利用する場合は、セーフティネット保証の 認定を受け適切な事業計画を有している方
    本制度のメリット
    • 複数の債権を一本化して、経営実態に合わせて返済計画を新たに設定する。
    • 借換実施時に、返済開始までの据え置き期間を設けることが可能。
    • 経営改善が図られ、審査が通れば新規借入も可能。

    ※経営力強化保証による借換を行う場合、信用保証料の割引(通常よりも概ね0.2%低い)がある。

    また、100%保証の保証付き借入金を同額以内で借り換えるときに、100%保証で借り換えることができる。

    保証期間

    セーフティネット保証による借換の場合、原則10年以内(据置期間1年以内)

    借換保証のまとめ

    借換保証は、経営環境の悪化のより、セーフティーネット保証と併せて利用することをいう。

    しかし、経営悪化だけでなく、経営が順調に進んでいる方も借入の一本化は検討するべきだ。経営が順調な方は、制度活用をしなくても金融機関との交渉を優位に行える。

    5‐3、資金繰りを劇的に改善する

    売上げなどが同じ技工所でもキャッシュインとキャッシュアウトの関係や、融資の方法やタイミングを把握することでキャッシュ・フローは全く違う状況となる。

    開業時に必要以上に借入しない

    歯科技工士が開業時に最大借入額を1本で借入れることは、開業と同時に最大の返済額が長期間決定することとなることはこれまでの説明してきた。

    そのため、開業時の借入額は最小限にとどめ、成長にあわせて設備と借入額を計画的に増やしていくことが最も重要なポイントとなる。

    おそらく開業時は様々な業者やメーカーが必要以上に設備投資を勧めてくる。何故なら彼らは開業時が一番売りやすく儲かるから勧めてくることを理解しよう。すでに商売は始まっている。

    この辺りのテクニックが将来、キャッシュ・フローにとてつもない差を生じさせることは、また別記事で紹介する。お金のことを理解することだ。

    事業計画書の共有

    また、事業計画書を金融機関と共有することもスムーズな融資の実行へと繋がる。

    事業計画としては中長期計画を作成することで、いつ、どのタイミングで、何のために、いくら必要で、どのような効果をもたらすかなどを明確に共有できていれば、間違いなく融資はスムーズに実行される。

    目安は3年後がよい。理由は創業3年後の廃業率が70%とも言われていることからだ。多くの場合は融資の際に3年分の確定申告や決算書の提出を求められるのもそういった理由からであろう。

    経営が存続しているだけでも評価は高いということだ。

    歯科技工士(所)が開業前に絶対に知るべき5ステップ:まとめ

    この記事では技術や設備に関しては全く触れていない。技術が大事なことは百も承知だ。設備や営業力が必要なことも知っている。

    しかし、それらはもはや当たり前のこととなっている。そして、それらは何よりマーケティングの強みの要素であっても経営のすべてではない。

    何故なら、あなたが日本一うまい歯科技工士であっても、そのことを歯医者に知らせなければ仕事には繋がらない。

    例え知ったとしても、その歯医者がメリットを感じなければ仕事や利益には繋がらない。言い換えればマーケティング戦略によっては、ヘタクソ技工士が日本一技工士に勝つことは対して難しいことではない。

    歯科技工士にとって経営知識は重要

    今回はお金と時間の関係を中心に説明した。これは経営知識のほんの一部だ。しかし知っているのと知らないのとでは天と地ほどの差が生じる。

    「先ずは技術」や「技術を付けたら大丈夫」、「修行の期間」などと多くの歯科技工士は言う。確かに重要だが、それと同じくらい経営知識を付けることは重要だ。

    歯科技工士が長時間労働・低賃金である状況において、「技工バカ」のバカ職人ではいけない。経営知識は就労環境を改善することにも繋がる。雇用の創出にも繋がる。

    バカ同士の競争ほど悲惨なことはない。少なくとも今の厳しい状況は技工バカ同士の競争によって創られた部分も大きい。

    是非、賢い歯科技工士が増え、歯科技工士の地位向上と業界全体の力を強めるためにも協力し合える歯科技工士が増えることを願っている。

     

     

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      歯医者の年収と推移:年収を確実に倍化させる3つの方法とは

      歯科診療所:歯医者(開業医)医院長の年収の推移

      (厚生労働省「医療経済実態調査」から)

      [pdf-embedder url=”http://nobiru-shika.com/wp-content/uploads/2017/06/▲グラフ2 歯科診療所:歯医者(開業医)医院長の年収の推移.pdf”]

       

      歯医者の平均年収

      平成27年度「医療経済実態調査」では、個人開業医で

      1,275万円

       

      ◆「医療経済実態調査」の信憑性

      「医療経済実態調査」については、日本医師会など多くの医療関係団体がその調査方法について批判的だ。

      理由は、調査年度と診療報酬改定年度のずれや、医療費の動向」調査「MEDIAS(メディアス)」との比較では数値が大きく乖離しているためだ。

      また、実際の現場感覚としても正確な情報とは考えにくい。歯科医療費が長年据置であるのに対し、歯科医師数は10万人を超え増え続けているため少ないパイの奪い合いの状況であることは間違いない。

      そのため、実態を正確に表しているとは言えず、あまり鵜呑みにしない方がよい。

       

      ◆法人と個人では「歯医者の年収」は同等に比べることはできない

      上記の表は「医療経済実態調査」を基に歯医者(開業医)の年収の推移を示したものだが、法人と個人では同じ「歯医者の年収」と言っても少し異なる。

      ■法人(法人歯科の医院長報酬)

      法人における歯医者(医院長)の年収は法人決算により示された報酬であるため、比較的正確に示されたものであると考えられる。

      ■個人(歯医者(個人)の開業医の年収)

      個人の場合、確定申告による自己申告のため、示された報酬が正確であるかを掴むことは難しい。

      この記事のポイント
      1. キャッシュ・フローで歯科医院は大きな差が生じる
      2. 歯科医院の返済固定費に大きな差が生じる
      3. 資金調達のタイミングと計画性

       

      財務テクニックにより歯医者の年収は倍化する

      「歯医者の年収」と言っても正確な数字を掴むことは難しいことは理解していただけたかと思う。

      しかし、研究機関や政策提言などを目的とする専門家でない者にとって、歯医者の平均年収を知ることに何の意味があるのだろうか?

      そんなことよりも歯医者の年収をアップさせる経営ノウハウを知ることの方が重要だ。平均値を知ったところで自らの年収アップには繋がらないのだから。

      ほとんどの歯医者は個人開業医であるため、「歯医者の年収」=「個人開業医の年収」に絞り、利益(キャッシュ・フロー)の最大化が個人開業医の歯医者の収入につながるということとしてお伝えする。

      法人の財務強化にも当然つながるが、それが勤務医の年収アップや法人歯科の役員報酬につながるかは責任者の判断次第なので間接的ということとなる。

      まぁ、とにかく歯医者の年収アップは財務テクニックにより倍化できることをこの記事ではお伝えする。

       

      資金繰りを劇的に改善する

      利益とは簡単に言うと、単純に「入り」から「出」を差引いた残りだ。だが、単純に利益と言ってもキャッシュ・フローではない。

      何故なら、決算上は売上から経費を差引いた残りが利益となるが、その利益から設備投資費を捻出することとなれば、利益=キャッシュ・フローとはならない。

      そのため、キャッシュ・フローをいかに多く生み出すかが強い経営のポイントとなる。どんな理想的なビジネスでもキャッシュが枯渇すると最悪倒産する。キャッシュは経営資源の王様なのだ。

      そのため理想は、

      ①利益率を最大化し、

      ②キャッシュインとキャッシュアウトに大きな差を生じさせ、

      ③そのサイクルをいかに強く・大きく・早くする

      ということとなる。

      そこで、どのようにしてキャッシュ・フローを生み出すのかをお伝えする。ここでは理解しやすいように同じ条件の歯科医院を例えに比べる。ここを理解するだけでも飛躍的に経営力はアップするのでしっかり理解してほしい。

      同じ条件とは、

      ①同じ売上、同じ経費、同じ利益率

      ②同じ借入額・負債額

      で検証してみる。

       

       

      1、キャッシュ・フローで歯科医院は大きな差が生じる

      まず、キャッシュ・フローの管理で、歯科医院にどのような違いが生じるかを示す。売上は同じだが、

      • Aは資金繰り面で最もよい条件で経営する歯科医院
      • Bは資金繰り面で最低な条件で経営する歯科医院

      2つを比較してみよう。

      次にキャッシュ・フローを比較してみる

       

      A歯科医院は先に収入があり、材料などを仕入れているので、資金が枯渇することがない。絶対潰れない歯科医院だ。

      一方でB歯科医院は先に材料を仕入れて在庫を確保している。多くの歯科医院がB歯科と同じやり方をしている

      あなたは、「現実にはA歯科医院のような経営は不可能だ。」と考え諦めているだけだ。しっかりと支払いサイクルを見直すことでA歯科医院の状況に近づけることは間違いない。

       

       

      2、歯科医院の返済固定費に大きな差が生じる

      ここでは、歯医者の開業資金などの借入を一本化することで月々の返済額を少なくし、キャッシュ・フローを最大化することで歯医者の年収をアップさせる方法をお伝えする。

      なるべく解りやすいように「借換保証制度」という公的制度で説明するが、必ずしも「借換保証制度」を活用する必要はない。

      現在、歯医者の借入金の返済が順調であれば「借換保証制度」を活用しなくても、金融機関や信用保証協会との交渉で「借換保証制度」以上の好条件での一本化は可能だからだ。

       

      中小企業・小規模事業者の資金繰り支援・「借換保証制度」とは

      複数の保証付借入金を新たに借換えて一本化することで、月々の返済負担を軽減し、中小・小規模事業者の資金繰りの円滑化をうながす制度。

      一本化することで、なぜ返済負担が軽減されるのか?

      ピンとこないが、複数の借入先から別々に融資を受けている場合に一本化することで、月々の返済負担が軽減される場合は多い。具体的には簡単にシュミレーションをしてみると理解しやすい。

      例えば、総額5000万円の借入金があり、返済しているとする。(単純計算なので、返済期間は5年。金利は考えずに計算する)

      [pdf-embedder url=”http://nobiru-shika.com/wp-content/uploads/2017/06/▲借換保証 図.pdf”]

       

       

      この場合、4年目の月々の返済額の合計は84万円。借入残高は2780万円となっている。

      この時点で一本化したとする。その場合の月々の返済額は

      2780万円÷5(年)÷12(カ月)=46万円。となる。

       

      このように一本化することにより、月々の返済額が84万円から46万円となり、月々38万円返済が軽減されたこととなる。

      また、実際の借換保証の場合は、保証料がかかるが、金利の引き下げや据え置き期間などもあるので、間違いなく大きな負担軽減となる。

      対象者

      • 保証申込時点において、保証付きの既往借入金の残高がある方
      • セーフティネッ ト保証による借換えを利用する場合は、セーフティネット保証の 認定を受け適切な事業計画を有している方

      本制度のメリット

      • 複数の債権を一本化して、経営実態に合わせて返済計画を新たに設定する。
      • 借換実施時に、返済開始までの据え置き期間を設けることが可能。
      • 経営改善が図られ、審査が通れば新規借入も可能。

      ※経営力強化保証による借換を行う場合、信用保証料の割引(通常よりも概ね0.2%低い)がある。

      また、100%保証の保証付き借入金を同額以内で借り換えるときに、100%保証で借り換えることができる。

      保証期間

      セーフティネット保証による借換の場合、原則10年以内(据置期間1年以内)

      借換保証のまとめ

      借換保証は、経営環境の悪化により、セーフティーネット保証と併せて利用することをいう。

      しかし、経営悪化だけでなく、経営が順調に進んでいる方も借入の一本化は検討するべきだ。経営が順調な方は、制度活用をしなくても借換保証制度と比較することで金融機関との交渉を優位に行える。

       

       

      3、資金調達のタイミングと計画性

      売上げなどが同じ歯科医院でもキャッシュインとキャッシュアウトの関係や、融資の方法やタイミングを把握することでキャッシュ・フローは全く違う状況となり、将来、歯医者の年収には大きな差が生じることとなる。

      歯医者は開業時に必要以上に借入しない

      これまでの説明で開業時に最大借入額を1本で借入れることは、開業と同時に最大の返済額が長期間決定することとなる。

      開業資金が高額である歯科医院においては、開業時に多額の借入を行うことは、長年、多額の返済費が固定費として定着してしまうことで経営を圧迫する。

      例えばチェアが3台設置可能な施設であっても徐々に増やしていくなど、開業時の借入額は最小限にとどめ、成長にあわせて設備と借入額を計画的に増やしていくことが最も重要なポイントとなる。

      おそらく開業時は様々な業者やメーカーが必要以上に設備投資を勧めてくる。何故なら彼らは開業時が一番売りやすく儲かるから勧めてくることを理解しよう。すでに商売は始まっている。

      この辺りのテクニックが将来、キャッシュ・フローにとてつもない差を生じさせることは、また別記事で紹介する。お金のことを理解することだ。

      事業計画書の共有

      また、事業計画書を金融機関と共有することもスムーズな融資の実行へと繋がる。

      事業計画としては中長期計画を作成することで、いつ、どのタイミングで、何のために、いくら必要で、どのような効果をもたらすかなどを明確に共有できていれば、間違いなく融資はスムーズに実行される。

      目安は3年後がよい。理由は創業3年後の廃業率が70%とも言われていることからだ。当然、歯科医院の廃業率はそんなに高いわけがない。ここは歯医者であることがラッキーということだ。

      多くの場合は融資の際に3年分の確定申告や決算書の提出を求められるのもそういった理由からであろう。経営が存続しているだけでも評価は高いということだ。

       

       

      まとめ:歯医者の年収は経営力次第

      歯医者の年収の平均額や推移を知ったところで経営的には何の意味もない。

      本記事では、お金の知識を強化することでテクニカル的に歯医者の年収はアップさせることができるということをお伝えした。

      しかし、財務テクニカルにおいての年収アップには限界があり、10倍にすることは難しい。だが、マーケティング戦略により売上を10倍にすることは決して難しいことではない。

      利益率やキャッシュ・フローを最大化することで、歯医者の年収を最大化することも難しいことではない。

      このような経営力アップにつながるノウハウは、本サイトの別記事で様々なノウハウを紹介しているので参考にしていただきたい。

       

       

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        歯医者が開業資金の調達方法で絶対知るべき3つの知識

        あなたが歯医者で開業を考えているのであれば、まず頭を悩ますのが開業資金や運転資金ではないだろうか?

        あなたは事業資金に関しての悩みを、コンサルタントや税理士、会計士などに相談していないだろうか?

        そうだとしたら、歯医者の開業資金に関するこの記事を最後まで読んでいただきたい。もし、相談している専門家がこの記事で示す基本的な内容すら提案できていないようであれば、すぐに相談を辞め私たちに連絡することをお勧めする。

        何故なら、彼らが言う教科書情報を鵜呑みにして、すべてお任せ状態では最高の成果を得ることができないばかりか典型的なカモ歯医者のパターンとなる可能性が高いからだ。

        ここでは、コンサルタントなどが伝える「しょーもない教科書情報」は伝えない。私たちが今まで様々な事業を立上げ、運営することで得た実戦的で生きた知識を提供する。ここで基本の知識を得て、その専門家が本当に専門家であるか見極めていただきたい。

        この記事のポイントは

        1、自己資金でなく融資が有利な理由

        2、融資制度の種類と特徴

        3、経営知識が乏しいことは罪

         

        問題

        Q.はじめに基本中の基本の質問をする。

        歯医者の開業資金や運転資金は、なるべく多くを借入金で調達した方がよいが、それは何故か?自己資金が有るか無いかは関係ない。その理由は?

        さすがに簡単すぎてほとんどの人がわかったと思う。もし、この質問に答えられなければ、開業は一旦保留とし、経営の基礎知識をつけなければならない。

        では、問題の答えは、

         

        歯科医院経営において資金繰りは血液循環

        A.答えは簡単だ。

        1. レバレッジを利かすことが出来る
        2. 非課税
        3. 負債となる

        からだ。簡単に説明する。

         

        1、レバレッジを利かすことが出来る

        レバレッジとは、金融用語では「てこの原理」という意味で、小さな資金で大きな利益を得ることをいう。

        例えば、あなたが歯科医院の開業資金に1億円を投じたとする。そして2つのパターンを想像してほしい。

        ①自己資金5000万円、借入金5000万円で開業

        ②自己資金を1000万円、借入金9000万円で開業

        この場合、同じ利益率であれば、自己資金1000万円で開業した方が、自己資金の回収に係る期間は何倍も早い。

        回収後は金利分を除きすべてが儲けとなるため、成長のスピードも自己資金5000万円に比べ格段に早くなる。

        不動産投資での例え

        不動産投資で考えると分かりやすい。同じく自己資金1000万円と5000万円で比べよう。

        1億円の不動産に投資し、家賃収入で資金を回収するのは自己資金1000万円の方が圧倒的に早い。自己資金5000万円を回収するのに何年もかかっている間に、1000万円を回収し、新たな家賃収入によって1000万円が溜まる。そして、この1000万円を元に新たに9000万円を借り入れて1億円の不動産をもう1棟購入する。

        この時点で、自己資金1000万円の方は1億円の不動産を2棟得たことになる。これをレバレッジ効果という。レバレッジ効果が大きいほど儲けや成長スピードは速くなる。

         

        2、非課税

        上記を例に自己資金を1000万円と5000万円で考えてみよう。実際には自己資金5000万円は無理な話で、1000万円でも厳しいと思う。あくまで例えということで。

        1000万円と5000万円では差額は4000万円にもなる。4000万円を貯めようと思ったら、かなりの高給取りで、とてつもなく働き、とてつもなく節約し、とてつもない額の税金を納めてきたということになる。

        一方、借入金の場合は、金融機関の預金者の預金4000万円を活用するので、借入側は将来の金利負担以外には何の負担もないということになる。当然、税金がかかることも無い。

        預金者が苦労して貯めてきた預金を効率的に活用するということだ。借入側は、時間的・労働的・税・保険料の負担は一切負っていない。

        お金というものの特徴をしっかりと理解することで、将来のキャッシュ・フローにはとてつもない差が生じることとなる。

         

        3、負債となる

        歯医者の開業資金を借入金で調達すると、それは負債だ。

        なので当然、負債には税金がかからない。一方、自己資金を投じてしまえば、後は儲けだ。利益には税金がかかる。

        歯医者の開業においては負うべき負債と、負ってはいけない負債がある。利益を生み出すための良い負債を理解しなければならない。

         

        問題のまとめ

        歯医者の開業に関わらず、事業経営を行ったことが無い人はどうしても借入が怖くて、なるべく借入金を少なくしたり、早く完済しようとする。

        しかし、実は金融機関や借入金とどのように付き合い、利用するのかが重要なのだ。

        住宅ローンなどの完全負債と事業負債は全く違うものだ。利益を生み出すための負債の意味をしっかり理解しよう。

         

         

        歯科医院経営の資金調達はどこから?

        思ったよりも問題の解答の説明が長くなってしまったため、同じ負債総額であっても返済方法を借入方法と返済方法を変えるだけで、年収を確実に倍化させる3つの方法などもお伝えしたかったが、別記事でお伝えすることとする。

        この記事では、資金の調達先と、各金融機関の特徴などを説明する。

        歯医者の開業で、自己資金10%の借入は可能か?

        先ほどの歯医者の開業資金の例えでは、自己資金負担率が10%であった。でも実際には自己資金10%で借入できる訳がない。そう思っていないだろうか?

        結論から言うと全然可能だ。実際に私たちは新規開業の場合、ほとんどの場合が自己資金負担10%かゼロ%(0円)で融資を受ける。

        コンサルタントなどが「自己資金はなるべく多く用意してくれ」というのは、自己資金が多ければ誰でも融資は実行されるからだ。

        自己資金10%未満は厳しいが、10%程度は全然可能だ。例え1回や2回金融機関に断られても交渉し、実行まで持っていく。たかが数回の交渉と多額の自己資金を貯める労力を比べれば、どちらが良い方法かは言うまでもない。

        歯医者の開業資金の融資において、金融機関は歯医者として優秀かを見ているわけではない。「お金の知識」として優秀なものを持ち合わせている歯医者かどうかを見ている。

        では、本題に入って行こう。

         

         

        開業資金や運転資金の種類と選択

        融資や借入というと、単純に「銀行に行って借りれば良い」と考え、最初から銀行からのプロパー融資(銀行直接融資)での融資実行を目指す開業医も多い。

        それでも実行できれば良いと言えばいいが、今後の資金繰り計画などを考えると最も賢い方法とは到底言えない。

        借入方法や融資の種類などは多く存在するので、ここでは以下の3つに絞って説明する。

        ①日本政策金融公庫

        ②制度融資(保証協会付融資)

        ③プロパー融資(銀行直接融資)

        それぞれに特徴があり、状況に適した種類の融資を活用することで歯科医院を円滑に経営することが可能となる。

         

         

        開業資金は日本政策金融公庫

        まだ、信用がない歯医者の開業時に民間金融機関から好条件で融資を受けることは不可能に近い。そこで公的創業融資である日本政策金融公庫の新創業融資を活用するべきだ。

        そこで、開業時に日本政策金融公庫の新創業融資を活用する理由を示す。

        1. 最近の傾向として、政府として起業を積極的に促し、開業融資を積極的に実行している。
        2. 自己資金要件が10分の1以上に緩和されたうえ、設備・運転資金で最大2年の据置期間がある。
        3. 3000万円まで無担保・無保証で融資が可能。

        大きな特徴は、自己資金要件が3分の1から10分の1に大幅に緩和され、据置期間も最大2年に拡充されたことだ。要するに、1000万円の事業であれば自己資金100万円で900万円の融資を受けることができ、返済は2年後からスタートということになる。

        政府が融資に積極的に取り組んでいることもあり、無担保・無保証なのでリスクは無いと言ってもよい状況だ。歯医者の開業時には積極的に活用するべきと考える。

         

        融資実行のポイント


        とは言え、融資を断られることもある。そこで、日本政策金融公庫がどこを見て融資判断を行っているかを、私の経験も含めお伝えする。

        通帳のここを見る

        歯医者の開業に伴い融資を受けるためには面接がある。そこで通帳の中身を確認される場合がほとんどだ。

        これは預金が多いか少ないかを見ているわけではない。日本政策金融公庫が公的な機関であるという特徴がある。そのことから、

        公共料金や税金の支払い

        電気・ガス・水道といった公共料金が遅れずに引き落としされているか。税金(勤務であれば固定資産税など)の支払いが遅れていないかを見る。

        これは、開業する歯医者がお金にルーズかどうかを見ているのと、公的機関が融資するということに理由がある。公共料金が遅れたりしそうな方は、引き落としでなく、コンビニ払いなどにしておくと多少遅れても言い訳できる。

        自己資金

        10分の1の自己資金だが、単純にあるか無いかを見ているのではない。自己資金100万円で900万円の融資を受けるのに、預金が1000万円あれば通常は安心して融資が実行されると思いがちだが、決してそういうことではない。

        歯医者が開業するまでに自己資金ができる経緯を見ている。なので、裕福なバカボンが「親が援助してくれた資金です」などといっても、それはあなたが管理していたものではないので意味がない。

        これから事業を継続していくための資金管理能力を見ている。

        断られても交渉

        歯医者の開業資金の満額融資が断られることも多い。ほとんどの人はここで諦めるが、「融資は断られてからが本番」というくらいに考えていた方がよい。

        一発で融資が実行されるよりも、交渉で融資が実行されることの方が私たちは圧倒的に多い。一度断られたくらいで凹むハートの弱さでは話にならない。

        また、最近では事業計画書が融資実行の重要な判断材料となっている。ここでいう事業計画書とは、日本政策金融公庫から求められるレベルの計画書ではない。一般企業の事業コンペやエンジェル(ベンチャーキャピタル投資家)、補助金の獲得などで作成するレベルの事業計画書のことだ。事業計画書については、歯医者も補助金・助成金・融資で必須!事業計画書の作成方法で説明している。

        日本政策金融公庫の新創業融資はこちらから➤➤➤

         

         

        歯医者の開業の資金調達に制度融資

        制度融資とは、市町村などの自治体が、個人や中小企業をサポートする目的の融資制度だ。

        各自治体にある信用保証協会が個人や中小企業の保証をすることで、金融機関からのからの融資がスムーズに行われる。そのため、保証協会付融資とも呼ばれる。

        制度融資でも歯医者の開業資金の調達は可能だ。だが、制度融資は事業の途中での使い勝手の方が良いという性質がある。

        しかし、歯医者の開業となると融資額が多額になることから日本政策金融公庫だけで全て調達することは難しい場合もある。そのような場合に併用することも可能だ。

        制度融資も日本政策金融公庫と同じく公的融資のため、スムーズに融資が実行されることと金利が低いことが特徴だ。

        市と県での違い

        制度融資でポイントとなるのが、市と県によって制度融資の内容が違う場合がある。例えば、市の制度融資は保証料がかかるが、県は保証料が無料などだ。

        どちらを選択するのかによって違いが生じる場合があるので、あらかじめ自治体に確認する必要がある。

        市県民税

        次に、保証協会と金融機関がどこを見るかと言えば、売り上げを中心的にみている。後は市県民税の税額によって融資枠を決める傾向にある。

        多額の資金が必要な状況など、場合によっては修正申告なども考える必要がある。

        融資条件

        制度融資も日本政策金融公庫と同じく、ほとんどの場合が無担保・無保証・低金利で借りることができる。

        また、制度融資と連動して様々な公的融資のパッケージが出される。そのような新たな制度を常にチェックしておくことで、他者よりも返済条件や借換条件などが好条件となる状況が生まれる。

        また、ここでも日本政策金融公庫と同じく事業計画書を作成することでスムーズな融資実行に繋がる。「あーだこーだ」口頭で説明されても担当者以外は理解できないうえ、事業が持続的に発展する根拠がない。論理立った事業計画書で示す以外に、具体的な事業計画を伝える方法は無い。そのため、事業計画書がスムーズな融資実行に繋がるということだ。

        事業計画書で金融機関と、いつ、いくら、なぜ、資金が必要となるのかを計画であらかじめ協議しておくと非情にスムーズに進む。ペースとしては400万円を借入て、順調に200万円を返済した時点で新たに400万の借入が可能となる感じだ。

        自己資金ゼロの自治体も

        最近は自己資金ゼロでの制度融資に取り組む自治体も出てきている。

        歯医者の開業資金に関していえば、日本政策金融公庫と自治体の制度融資の条件を見比べて好条件な方からチャレンジするべきだ。

        また、日本政策金融公庫と併用したり、別の金融機関(信用金庫など)から複数本を借入れたりと資金調達には様々テクニックがある。

        信用保証協会の詳しい情報はこちらから➤➤➤

         

         

        プロパー融資(銀行直接融資)

        驚くのが歯医者の開業や、歯科医院経営においてプロパー融資によって資金調達をしている歯科医師が多いことだ。

        あなたが10億円を超える売上が有る歯医者であればプロパー融資は有効だ。しかし、売上が10億円以下であればプロパー融資が好条件である場合はほとんどない。

        したがって歯医者経営でプロパー融資を積極的に活用するメリットはほとんどないと言える。

        プロパー融資でなくてもよい

        制度融資の時に言い忘れていたが、歯医者の開業や事業資金で保証協会付融資で融資を受けるのは信用金庫にするべきだ。

        信用金庫は営業エリアが決まっている。あなたの地域に根差した歯医者を営業していることから、地域密着で貸主と借主は一進一退の関係だ。なので、あなたの歯科医院の経営が順調でないと信用金庫も困るという構図だ。

        なので、地銀はまだしもメガバンクから融資を受ける意味などないと思った方がよい。メガバンクがあなたの歯科医院の経営にそこまで親身になる必要があるのかを考えると分かると思う。

        そこで、プロパー融資でなくても良い理由は、あなたの歯科医院がある地域が余程の郡部ではない限り、数件の信金があると思う。1つの金融機関だけでなく、複数の信用金庫から借入ることで問題は解決できる場合は多い。

        また、複数の信用金庫から借入れるには、とても大きなメリットがある。私も信用金庫から最大8本の借入があったが、それにはとてつもなく大きなメリットがあるからだ。テクニック次第で月の返済額を半額にすることもできる。この方法は歯医者の年収と推移:年収を確実に倍化させる3つの方法とはで説明している。

         

         

        まとめ

        誰でも最初は歯医者の開業に必要な経営知識や経験などない。融資制度の種類や、資金調達方法、金融機関の特徴など知らない。

        しかし、一般的な事業の起業と言えば開業資金200~300万円規模の個人事業から始まる。中規模な飲食店の開業でも、始めはせいぜい1000万~1500万円程度だ。

        そして、その間に小さな失敗を繰り返しながら経験を積み、事業規模の拡大・多角化へと成長していく。例えるなら、自転車に乗れるようになるようなものだ。特殊な才能の持ち主でない限り、一度もコケることなく自転車に乗ることはできない。

        歯医者の開業・経営や、一般事業経営も自転車の練習と同じだ。小さな失敗を繰り返し軌道修正し続けることが重要で、死に至る程の大事故を起こせば終わりだ。自転車も事業も変に慣れてきた頃に即死することが多い。普通は練習時期に即死する程の事故にはならない。

        歯科医院の開業とは

        一方、歯科医院の開業は数千万円かかると言われている。これは失敗すると即死のレベルだ。だが、即死する歯科医院はほとんどない。なぜなら、歯科の保険点数がいくら低いとはいえ、保険制度などで守られているからだ。

        また、キャッシュインの仕組みが零細企業規模にもかかわらず、値下げ要求・競争に巻き込まれることがなく、優先的地位によって先取特権を得ることができていることにある。

        しかし、決して豊かとはいえない。その理由には開業時をはじめとして資金繰りで失敗していることが大きな理由のひとつだ。資金繰りの改善で経営状況は劇的に良くなる。

        経営知識が乏しいことは罪

        今回は融資の種類や特徴をお伝えしたが、返済方法は知識を得ることで、利益を最大にすることができる方法もある。

        同じ借入金額の歯科医院が2軒あるとして、月々の返済額が半額であれば、半額の歯科医院のキャッシュ・フローが豊かであることは誰でもわかる。そのような状況を生み出すことは何も難しいことではない。

        私たちは、歯医者であっても経営者の能力と意識を身に着けてほしいので、記事を書いて伝えている。あなたの歯科医院の経営力アップであなたの収入を増やすことは簡単だ。

        しかし、そんなことよりも経営力アップで手に入れた利潤を、歯科医師以上に困っている衛生士さんや技工士さんに還元してあげてほしい。そうすることであなたへの信頼と評価は絶大なものとなる。良いと感じたものは人に伝えるし、歯科医院の結束力は他医院ではまねができない最高のチームを創り出すことへとつながる。

        本サイトでは、資金面だけでなく歯医者の売上を劇的に増やすノウハウや、開業前から集患する方法なども伝えている。是非、様々な記事を参考にしていただきたい。

         

         

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