歯科技工士専門学校に入学する前に知っておくべき3つの事実

あなたは、歯科技工士のこと知っていますか?

歯科技工士の多くは歯科技工所(ラボ)という所で働いているが、ラボを見たことがある人はどれだけいるだろうか?

  • 歯科技工士は儲かるのか?
  • 歯科技工士は手に職を持った安定した職業なのか?
  • 労働環境や将来性はどうなのか?

あなたは、歯科技工士専門学校や4年制大学・短大へ入ることが目的ではないはずだ。

歯科技工士になった後に充実した人生を送れるかどうかが最も重要なはずだ。そのためには、歯科技工士になった後がどのようなものかを知る必要がある。

何故なら、このことを知らないでいると歯科技工士専門学校の入学金・学費・時間と労力は全て無駄になるからだ。

 

歯科技工士専門学校の入学金・学費が無駄になる

歯科技工士になるためには、歯科技工士の国家資格を得ることが必要だ。

そのためには歯科技工士専門学校(2~3年・夜間課もあり)や、4年制大学・短大でのカリキュラムで歯科技工について学ぶ必要があることは既にご存知の通りである。

しかし、歯科技工士専門学校で学び、国家資格を所得したにも関わらず、そのほとんどの歯科技工士が既に歯科技工士として働いていないことはあまり知られていない。

歯科技工士専門学校の入学金・学費・時間と労力は全て無駄になる」とハッキリ言いきれるには根拠がある。

なぜなら歯科技工士専門学校を卒後し、国家資格を得て、歯科技工士として働きだした若い歯科技工士の5年以内の離職率は約80%と異常な状況にあるからだ。

 

歯科技工士専門学校の情報だけを鵜呑みにしていないか?

歯科技工士に興味を持ち、歯科技工士を目指そうとした場合、歯科技工士教育機関に入学する前に歯科技工士専門学校のホームページやパンフレットなどで情報を得るかと思う。

そこには、「高齢化社会で歯科の需要が高まる」や「年齢構成で若い技工士の割合が低い」などと明るい未来が待っているかのような情報ばかりが発信されている。

さらには、「WEB上での歯科技工士の情報は一部の歯科技工士」と長時間労働の問題を「一部の技工士」と堂々とハッタリをかます専門学校まである。(※歯科技工士の離職問題の原因は長時間労働・低賃金)

学校は生徒を集め、入学金や学費で儲けることが目的なので仕方がない部分もあるが、ここまで行け「詐欺」に近い。そもそもメリットとデメリットの双方があるのは当たり前のことだ。

しかし、デメリットを伝えないということは「意図的に隠している」または「正しく分析できていない」のどちらかだ。そして、“デメリットが多い=ダメ”というわけではない。正確に分析できているかどうかの話だ。

そのことを踏まえて、

本記事では、歯科技工士の長時間労働・低賃金が「一部の歯科技工士」ではないことと、卒後5年以内の離職率が約80%という根拠を示したいと思う。

先ずは、下に各歯科技工士専門学校の一覧を示しているので歯科技工士の魅力をご確認いただきたい。👇

歯科技工士教育機関の一覧はこちら
都道
府県
学  校  名 郵便
番号
住     所 電話番号
北海道 北海道歯科技術専門学校 歯科技工士科 061-1121 北広島市中央3-4-1 011-372-2457
吉田学園医療歯科専門学校 歯科技工学科 060-0063 札幌市中央区南三条西1丁目 011-272-3030
札幌歯科学院専門学校 歯科技工士科 064-0807 札幌市中央区南七条西10-1034
札幌歯科医師会会館内
011-511-1885
青森歯科技工士専門学校 038-0031 青森市三内字稲元122-2 017-782-3040
岩手医科大学医療専門学校 020-8505 盛岡市内丸19-1 019-651-5111
(内4128)
東北歯科技工専門学校 982-0841 仙台市太白区向山4-27-8 022-266-0237
仙台歯科技工士専門学校 984-0051 仙台市若林区新寺3-13-6 022-293-1822
東北大学歯学部附属歯科技工士学校 980-8575 仙台市青葉区星陵町4-1 022-717-8428
東北歯科専門学校 歯科技工士科 963-8015 郡山市細沼町12-18 024-932-5690
茨城歯科専門学校 歯科技工士科 310-0911 水戸市見和2-292-1 029-252-3335
栃木県立衛生福祉大学校 歯科技工学科 320-0834 宇都宮市陽南4-2-1 028-658-8521
埼玉歯科技工士専門学校 337-0051 さいたま市見沼区東大宮1-12-35 048-685-5211
筑波大学附属聴覚特別支援学校 歯科技工科 272-8560 市川市国府台2-2-1 047-371-4135 3年制
東京医科歯科大学歯学部口腔保健学科口腔保健工学専攻 113-8549 文京区湯島1-5-45 03-5803-5780 4年制大学
日本大学歯学部附属歯科技工専門学校 101-8310 千代田区神田駿河台1-8-13
日本大学歯学部内
03-3219-8007 夜間課程 (3年)
愛歯技工専門学校 173-0003 板橋区加賀1-16-6 03-5375-5516
新東京歯科技工士学校 143-0016 大田区大森北1-18-2 03-3763-2211 夜間課程 (3年)
昼間課程(2年)
東邦歯科医療専門学校 歯科技工士学科 191-0032 日野市三沢1-1-1 042-591-5364
日本歯科大学東京短期大学 歯科技工学科 102-0071 千代田区富士見2-3-16 03-3265-8815 短期大学
神奈川 新横浜歯科技工士専門学校 222-0033 横浜市港北区新横浜2-6-10 045-472-5101
横浜歯科医療専門学校 歯科技工士学科 220-0011 横浜市西区高島1-2-15 045-222-8661
明倫短期大学 歯科技工士学科 950-2086 新潟市西区真砂3-16-10 025-232-6351 短期大学
富山歯科総合学院 歯科技工士科 930-0887 富山市五福五味原2741-2 076-441-5355
石川県歯科医師会立歯科医療専門学校 歯科技工士科 920-0806 金沢市神宮寺3-20-5 076-253-0039
岐阜県立衛生専門学校 歯科技工学科 500-8226 岐阜市野一色4-11-2 058-245-3691
愛知学院大学歯科技工専門学校 464-8650 名古屋市千種区楠元町1-100 052-751-2561
名古屋歯科医療専門学校 歯科技工士科 451-0043 名古屋市西区新道1-26-20 052-563-2121
東海歯科医療専門学校 465-0032 名古屋市名東区藤が丘158 052-773-7222
滋賀県歯科技工士専門学校 525-0072 滋賀県草津市笠山7-4-43 077-564-6691
京都歯科医療技術専門学校 技工士科 604-8415 京都市中京区西ノ京栂尾町3-8 075-812-8494
大阪大学歯学部附属歯科技工士学校 565-0871 吹田市山田丘1-8 06-6879-2285
大阪歯科大学歯科技工士専門学校 573-1144 枚方市牧野本町1-4-4 072-857-3905
新大阪歯科技工士専門学校 532-0002 大阪市淀川区東三国6-1-13 06-6391-2211 昼間課程(2年)
夜間課程 (3年)
東洋医療専門学校 歯科技工士学科 532-0004 大阪市淀川区西宮原1-5-35 06-6398-2255 3年制
日本歯科学院専門学校 歯科技工士学科 577-0803 東大阪市下小阪4-12-3 06-6722-5601
鳥取歯科技工専門学校 680-0845 鳥取市富安2-84 0857-23-3197
島根県歯科技術専門学校 歯科技工士科 690-0884 松江市南田町141-9 0852-24-2727
岡山歯科技工専門学院 701-1202 岡山市北区楢津2182 086-284-4905
広島歯科技術専門学校 738-8504 廿日市市佐方本町1-1 0829-32-1861
広島大学歯学部口腔健康科学科口腔工学専攻 734-8553 広島市南区霞1-2-3 082-257-5797 4年制大学
下関歯科技工専門学校 751-0823 下関市貴船町3-1-37 0832-23-4137 夜間課程 (3年)
香川県歯科医療専門学校 技工士科 760-0020 高松市錦町2-8-37 087-851-6414
河原医療大学校 歯科技工学科 790-0005 松山市花園町3-6 089-915-5355 H22年度新設
徳島歯科学院専門学校 歯科技工士科 770-0003 徳島市北田宮1-8-65 088-631-3977
九州歯科技工専門学校 820-0044 飯塚市横田770-1 0948-24-6400
博多メディカル専門学校 歯科技工士科 812-0044 福岡市博多区千代4-32-1 092-651-8001
九州医療専門学校 歯科技工士科 841-0038 鳥栖市古野町176-8 0942-83-4483
熊本歯科技術専門学校 歯科技工士科 860-0811 熊本市本荘3-1-6 096-366-7715
長崎歯科技術専門学校 856-0831 大村市東本町104-7 0957-53-7074
大分県歯科技術専門学校 歯科技工科 874-8567 別府市亀川中央町 0977-67-3038
宮崎歯科技術専門学校 歯科技工士科 880-0021 宮崎市清水1-12-2 0985-29-0057
鹿児島 鹿児島歯科学院専門学校 歯科技工士科 892-0841 鹿児島市照国町13-15 099-226-7079

(公益社団法人 日本歯科技工士会から)

 

歯科技工士の長時間労働・低賃金の実態

■歯科技工士実態調査

はじめに示すデータは2年に1度、日本歯科技工士会によって行われる2015年歯科技工士実態調査からの抜粋である。この実態調査は厚労省も把握し公開されている公的なデータだ。

(問) 1週間の残業を含めた就労時間(通勤、休憩、食事等の時間を除く)等。

平均(時間)
全体 61.5
勤務者 55.6
自営者 68.9

 

(問) 他業種に移りたいと思われる理由は何ですか。【上位3回答】

※前問の歯科技工業から離れ、他業に移りたいと思いますか。の問いに対し「非常にそう思う」「そう思う」を選択した方が対象。

1位 給与 71.5%
2位 労働時間 70.8%
3位 将来性 62.8%

 

■歯科技工所アンケート

次に示すデータは保団連近畿ブロック歯科技工所アンケートである。

このアンケートは全国保険医団体連合会近畿ブロックにより2015年11月に行われたもので、対象は技工所であり、その多くを占める個人事業者の技工所の現状を反映しているものとなっている。

○開業者の年齢、平均53.4歳

○開業年数、平均23.1年

(問) 1週間の労働時間(開設者のみ)

42時間以内 8.4%
43~50時間 12.7%
51~60時間 11.4%
61~70時間 12.4%
71~80時間 17.6%
81~90時間 15.9%
91~100時間 10.9%
101時間以上 8.9%

 

(問) 1週間のうち休みの日数(開設者のみ)

2日 14.1%
1日 49.4%
ほとんど取れない 28.5%
その他 7.2%

 

(問) 昨年の可処分所得。法人の場合は代表者の報酬。

平均 全体412万円 個人369万円 / 法人635万円 一人技工所345万円

 

歯科技工士の実態の詳しい記事はこちら👉歯科技工士の本当の年収は?時給で計算すると170円だった!

 

歯科技工士専門学校の卒後5年以内の離職率

以下のデータは、厚生労働省から公表されている歯科技工士免許交付数と就業数の割合から、

2004年~2012年までの歯科技工士の離職率(2年ごと)を算出したものである。

簡単に言うと、免許発行数に対して、同じ年代の歯科技工士が5年後にどれだけ実際に働いているかを比較したものだ。

計算式は、就労者数÷その年代の免許発行数ということになる。

【歯科技工士の離職率】

25歳未満 25歳~29歳
2004年 79.2% 70.1%
2006年 79.0% 75.0%
2008年 76.0% 76.7%
2010年 74.2% 75.4%
2012年 85.0% 74.0%

 

最近のデータを見ても歯科技工士の離職率の高さは異常な状況にあり、むしろ悪化している状態と感じる。

歯科技工士の離職率に関する詳しい記事はこちら👉歯科技工士の実態と離職率!5年以内の離職率は?マジか80%

 

歯科技工士の魅力

本記事では決して歯科技工士専門学校への入学を考えている人たちに対してネガティブキャンペーンを行っているわけではない。かと言って各専門学校のようにポジティブキャンペーンを行うこともいかがなものかと思う。

歯科技工士の魅力に関しては、各歯科技工士教育機関のホームページで確認していただければお分かりになるかと思う。

■モノづくりが好きな人


モノづくりがとことん好きな人には歯科技工士はいい仕事だ。言い換えれば長時間労働が可能となるのも、モノ作りである歯科技工に没頭できるためだ。

モノづくりが本当に好きな人は歯科技工に没頭できるため、あっという間に時間が過ぎ、多少の長時間労働であれば仕事のストレスはほとんど感じることが無く過ごせると思う。

■独立開業が可能


歯科技工関連機器は高額化しているため、昔に比べると独立開業は難しくなっているが、まだ比較的開業しやすい職業だ。

残念ながら今の開業は、長時間労働・低賃金の就労環境よりは「独立開業の方がマシ」ということから独立がふえているのが実態だ。

しかし、高い歯科技工技術を習得し、しっかりとした歯科技工料金を歯科医からもらうことや、経営を学ぶことで豊かな歯科技工士となることは不可能なことではない。

■海外で活躍することも可能


歯科医療従事者というと、歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士の3者だ。

この3者の中で、世界で活躍しているのは圧倒的に歯科技工士で、日本の歯科技工士の技術や評価は世界一とも言われるほどだ。

世界では日本と違い、歯科技工士に対して非常に評価の高い国も多くある。グローバルに活躍するという大きな夢を実現することも不可能ではない。

 

 

まとめ

歯科技工士専門学校に入学・国家資格を所得する若者は減っている。歯科技工士国家資格の所得状況は以下の通り。

若い歯科技工士の割合が、歯科技工士全体からすると非常に低いことで将来性があるかのように伝えられるが歯科技工士専門学校から伝えられてる。

しかし、若い歯科技工士の割合が低い理由は、間違いなく約80%という異常に高い離職率にある。

言い換えると80%の若者は、歯科技工士専門学校の高い入学金と学費を捨てた上に、歯科技工士として働きだしたのは良いが、肉体的にも精神的にもボロボロになり歯科技工業界を去っているのが現状だ。

歯科技工士を目指し、歯科技工士専門学校への入学を考えている場合は是非、慎重にしっかりと考えてほしいと思う。

 

 

お問合せ・コメントはこちら