京都府京都市右京区の岡田歯科医院は別の医療機関や特養に入っている患者や、すでに死亡している患者などに治療を行ったと偽って診療報酬を不正請求・受領していたことから、保険医療機関の指定取消の行政処分となった。
不正内容は以下の通り
- 実際には行っていない保険診療を行ったものとして診療報酬を不正に請求してい た。(架空請求)
- 実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して、診療報酬を不正に 請求していた。(付増請求)
保険医の登録の取消及び元保険医療機関の指定の取消相当(平成27年3月9日付)(PDF:195KB)
平成27年3月9日 近畿厚生局
目次
岡田歯科医院が情報提供をきっかけに取消処分へ
保険医の登録の取消及び元保険医療機関の指定の取消相当について
平成27年3月2日に開催された近畿地方社会保険医療協議会において「保険医の登録の取 消」が妥当との答申及び「元保険医療機関の指定の取消相当」についての建議がありました。
これを受け、近畿厚生局長は次のとおり対応することを決定しましたので、お知らせしま す。
1.保険医の登録の取消及び元保険医療機関の指定の取消相当の取扱い
(1)登録の取消となる保険医
- 氏名: 岡田 勝彦(おかだ かつひこ) 〔69 歳〕
- 取消年月日: 平成27年3月9日
(2)指定の取消相当となる元保険医療機関
- 名称: 岡田歯科医院
- 所在地: 京都府京都市右京区京北周山町上植代 27 番地
- 開設者: 岡田 勝彦
- 取消相当年月日: 平成27年3月9日
※ 当該保険医療機関は平成26年12月31日付で廃止していることから、指定の取消 相当の取扱いとしている。
2.監査を行うに至った経緯
(1)平成25年11月12日、京都府から近畿厚生局京都事務所に対し、下記の情報提供があった。
①被保険者の家族から京都市に、平成25年1月診療分の医療費通知では、被保険者は当該医療機関で受診していることになっているが、別の医療機関に入院していたとの情報提供があった。
②当該被保険者について、京都府後期高齢者医療広域連合が診療報酬明細書を確認したところ、別の保険医療機関に入院中であるにもかかわらず、特別養護老人ホーム(以下、「特養」という。)において、訪問診療を受けたことになっていた。
さらに、当該医療機関にかかる他の患者の診療報酬明細書を確認したところ、他の医療機関に入院中であるにもかかわらず、診療を受けたことになっている患者 13 名及 び死亡しているにもかかわらず診療を受けたことになっている患者 19 名の請求が判明した。
(2)平成26年2月19日、個別指導を実施したところ、開設・管理者は、死亡している患者に対し特養で訪問診療を行ったとして、診療報酬を請求していたことを認めたものの、 別の患者と当該患者を取り違えて診療し、診療報酬を請求したと述べた。しかしながら、 具体的にどの患者と取り違えたか明確な回答がなかったことから、個別指導を中断した。
(3)平成26年3月26日、個別指導を再開したところ、開設・管理者は特養の職員に口腔ケア用品を渡しただけであるにもかかわらず、診療したものとして診療報酬を請求して いる旨を述べたことから、個別指導を中止し、平成26年3月26日ほか計8回の監査を 実施した。
3.取消処分及び取消相当の主な理由
監査において判明した取消処分及び取消相当の理由となる主な事実は、以下のとおり。
- 実際には行っていない保険診療を行ったものとして診療報酬を不正に請求してい た。(架空請求)
- 実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して、診療報酬を不正に 請求していた。(付増請求)
4.不正・不当金額
監査において判明した不正・不当金額は、監査で使用した平成 23 年3月から平成 25 年 12 月分までのレセプトのうち以下のとおり。
- 不正金額: 34 名分 174 件 1,102,185 円
- 不当金額: 7 名分 31 件 105,185 円
なお、監査で判明した分以外についても、不正・不当請求のあったものについては、 監査の日から5年前まで遡り、保険者等へ返還させることとしている。
5.再指定等
原則として、登録の取消及び指定の取消相当の日から5年間は、保険医の再登録及び保 険医療機関の再指定は行わない。 (参考)登録の取消及び指定の取消相当の根拠条文
- 保険医の登録の取消 健康保険法第81条第3号
- 保険医療機関の指定の取消相当 健康保険法第80条第2号及び第6号
歯科の指導・監査から生活・家族・関係者を守る
多かれ少なかれ指導・監査に不安を抱いている歯科医師は多い。
しかし、多くの歯科医師は相談できる相手がいないため、診療で忙しい日々に独自に一人で対応する場合が多い。
そのため、辻褄を合わすために技工所に指示書や納品書の改ざんを指示したりする場合も多いが、この場合は「取消」で済む話ではなく「詐欺」として刑事事件に発展する。
指導・監査は任意調査であるのに対し、事件となれば調査は強制なので当然、厳しいものになる。
「正しい対応」と「相談相手」
個別指導でしっかりと対応しなけば、述べ複数回にもなる監査に繋がる。
個別指導から監査へと移行する場合は、今回のようなに明らかな不正がある場合だけではない。意図しないミスや「言いがかり」ともいえる理由でも実施される。
また、何よりも個別指導や監査での技官は非常に高圧的で、結果が見えない中で長期間・複数回の監査が続く状況は、計り知れないほどの精神的負担を伴う。事実、そのことで自殺にまで追い込まれた医師も存在するのだから。
指導・監査は不正請求の疑いを抱かれているためだ。そのような歯科医師に対して世間の見る目は冷ややかだ。このような状況にある歯科医師へのテクニカル的なアドバイスや、何よりも相談できる相手がいると居ないのとでは、日々の不安や精神ストレス、指導・監査の結果は全く違ったものとなる。
指導・監査の対策マニュアル
是非、私たちが提供する保険医療機関の指導・監査の対策マニュアルをご活用いただき、保険医の指定は勿論、生活・家族・関係者の事業と生活を守っていただきたい。
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