福岡県北九州市門司区大里戸ノ上2-13-12の勝田歯科医院(勝田 高史(かつたたかふみ))が診療報酬を不正に請求し得ていたことから保険医療機関の指定取消処分となりました。
不正内容は以下の通り
- 実際には行っていない保険診療を行ったものとして診療報酬を不正に請求していた。(架空請求)
- 実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して、診療報酬を不正に請求していた。(付増請求)
- 実際に行った保険診療を、保険点数の高い別の診療に振り替えて、診療報酬を不正に請求していた。(振替請求)
- 保険適用外である診療を、保険適用である診療を行ったものとして、診療報酬を不正に請求していた。(その他の請求)
- 算定要件を満たさない医学管理等、検査、画像診断、リハビリテーション及び歯冠修復及び欠損補綴に係る診療報酬を不当に請求していた。(不当請求)
保険医療機関の指定の取消及び保険医の登録の取消について(PDF:139KB)
九州厚生局
勝田歯科医院➔個別指導➔監査➔取消処分
保険医療機関の指定の取消及び保険医の登録の取消
厚生労働省九州厚生局は、本日付けで、保険医療機関に対する指定の取消処分及び保険医に対する登録の取消処分を行いました。
この処分は、実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して請求するなど、診療報酬を不正に請求したことによるものです。(不正・不当請求額 約174万円) なお、今回の処分にあたっては、平成28年7月25日に開催された九州地方社会保 険医療協議会に諮問を行い、諮問のとおりの答申がなされています。
1.保険医療機関の指定の取消処分及び保険医の登録の取消処分
(1)指定取消となる保険医療機関
- 名称 勝田歯科医院
- 所在地 福岡県北九州市門司区大里戸ノ上2-13-12
- 開設者 勝田 高史(かつた たかふみ)
- 指定取消日 平成28年7月28日
(2)登録取消となる保険医
- 氏名 勝田 高史(かつたたかふみ)49歳
- 登録取消日 平成28年7月28日
2.根拠条文
(1)保険医療機関の指定取消
健康保険法第80条第1号、第2号、第3号及び第6号
(2)保険医の登録取消
健康保険法第81条第1号及び第3号
3.診療報酬の不正及び不当請求
監査において確認した不正・不当請求に係るレセプト件数及び金額
(平成23年6月~平成27年6月)
- 不正請求20名分 レセプト57件 1,549,226円
- 不当請求20名分 レセプト66件 197,834円
- 合計 40名分(20名分) レセプト123件(67件) 1,747,060円
※( )内は、患者実人数及びレセプト実件数である。
(注) 上記の件数及び金額は、監査で確認したもののみを計上しており、最終的な不正・不当請求の件数及び金額は、今後精査していくこととしているので、現時点では確定していない。
4.取消処分の主な理由
(1)不正請求
①架空請求
実際には行っていない保険診療を行ったものとして診療報酬を不正に請求していた。
《 具体的事例 》
当該月に一度も受診していない患者について、歯科再診料、歯科疾患管理料、歯科衛生実地指導料及び歯冠修復物の製作、装着に係る一連の費用等を請求していた。
②付増請求
実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して、診療報酬を不正に請求していた。
《 具体的事例 》
- 実際には製作、装着していない歯冠修復物等を製作、装着したとして請求していた。
- 歯科衛生士が勤務していないにもかかわらず、歯科衛生実地指導料を請求していた。
③振替請求
実際に行った保険診療を、保険点数の高い別の診療に振り替えて、診療報酬を不正に請求していた。
《 具体的事例 》
有床義歯の製作に際し、実際に使用した金属を保険点数の高い別の金属を使用したとして請求していた。
④その他の請求
保険適用外である診療を、保険適用である診療を行ったものとして、診療報酬を不正に請求していた。
《 具体的事例 》
実際には小臼歯に保険適用外のレジン前装金属冠を使用したブリッジを製作、装着したにもかかわらず、保険適用の全部金属冠を使用したブリッジを製作、装着したとして請求していた。
(2)不当請求
算定要件を満たさない医学管理等、検査、画像診断、リハビリテーション及び歯冠修復及び欠損補綴に係る診療報酬を不当に請求していた。
5.監査を行うに至った経緯等
- 平成27年8月、当該保険医療機関に対し個別指導を実施したところ、勝田歯科医師が、歯科衛生士がいないにもかかわらず歯科衛生実地指導料を保険請求していたことを認め、また、指導当日に持参するよう依頼していた資料の一部が未持参であったことから、個別指導を中断した。
- 平成27年9月、個別指導を再開したところ、勝田歯科医師が、個別指導を受けるにあたり、同指導の対象患者に関する診療録や歯科技工指示書等を作り直したとの発言がなされ、また、歯科衛生士がいないにもかかわらず歯科衛生実地指導料の請求を行っていたことを改めて認めたことから不正請求が疑われ、個別指導を中止した。
- さらに、患者調査においても、口腔内診査所見と診療報酬明細書の記載内容とに相違がみられ、不正請求が強く疑われたため、監査を実施した。
歯科の指導・監査から生活・家族・関係者を守る
多かれ少なかれ指導・監査に不安を抱いている歯科医師は多い。
しかし、多くの歯科医師は相談できる相手がいないため、診療で忙しい日々に独自に一人で対応する場合が多い。
そのため、辻褄を合わすために技工所に指示書や納品書の改ざんを指示したりする場合も多いが、この場合は「取消」で済む話ではなく「詐欺」として刑事事件に発展する。
指導・監査は任意調査であるのに対し、事件となれば調査は強制なので当然、厳しいものになる。
「正しい対応」と「相談相手」
個別指導でしっかりと対応しなけば、述べ複数回にもなる監査に繋がる。
個別指導から監査へと移行する場合は、今回のようなに明らかな不正がある場合だけではない。意図しないミスや「言いがかり」ともいえる理由でも実施される。
また、何よりも個別指導や監査での技官は非常に高圧的で、結果が見えない中で長期間・複数回の監査が続く状況は、計り知れないほどの精神的負担を伴う。事実、そのことで自殺にまで追い込まれた医師も存在するのだから。
指導・監査は不正請求の疑いを抱かれているためだ。そのような歯科医師に対して世間の見る目は冷ややかだ。このような状況にある歯科医師へのテクニカル的なアドバイスや、何よりも相談できる相手がいると居ないのとでは、日々の不安や精神ストレス、指導・監査の結果は全く違ったものとなる。
指導・監査の対策マニュアル
是非、私たちが提供する保険医療機関の指導・監査の対策マニュアルをご活用いただき、保険医の指定は勿論、生活・家族・関係者の事業と生活を守っていただきたい。
お問合せ・コメントはこちら