愛知県みよし市福谷町根浦のはっとり歯科(服部 智哉)が診療報酬を不正に請求し得ていたことから保険医療機関の指定取消処分となりました。
不正内容は以下の通り
- 保険医療機関として指定を受けていない場所で行った診療を、保険医療機関で行ったもの として、診療報酬を不正に請求していた。(その他の請求)
- 保存期間が経過していないにもかかわらず、歯科エックス線写真を保存していなかった。
- 算定要件を満たさない診療報酬を不当に請求していた。
元保険医療機関への対応及び保険医に対する行政処分について(平成26年12月10日付)(PDF:78KB)
平成26年12月10日 東海北陸厚生局
はっとり歯科➔個別指導➔監査➔取消処分
元保険医療機関への対応及び保険医に対する行政処分について
標記について、平成26年12月9日に開催された東海北陸地方社会保険医療協議会において、 「元保険医療機関の指定取消相当」についての建議及び「保険医の登録取消」についての答申を 受けたので、以下のとおり処分等することを決定した。
1 処分等の内容
(1)元保険医療機関の指定取消相当
- 名 称 はっとり歯科
- 所在地 愛知県みよし市福谷町根浦24-1 ベイシア三好店内
- 開設者 服部 智哉
- 指定年月日 平成24年4月1日
- 廃止年月日 平成26年11月27日
(2)保険医の登録取消
- 氏名 服部 智哉(はっとり ともや) (40歳)
- 登録年月日 平成12年5月30日
2 行政処分等の原因となった主な事実
【元保険医療機関の事故】
- 保険医療機関として指定を受けていない場所で行った診療を、保険医療機関で行ったもの として、診療報酬を不正に請求していた。(その他の請求)
- 保存期間が経過していないにもかかわらず、歯科エックス線写真を保存していなかった。
- 算定要件を満たさない診療報酬を不当に請求していた。
これらは、保険医療機関又は保険薬局の責務を定めた健康保険法第70条第1項並びに保険 医療機関等の責務を定めた国民健康保険法第40条第1項及び高齢者の医療の確保に関する 法律第65条に違反する。
【保険医の事故】
- 保険医療機関として指定を受けていない場所で行った診療を、保険医療機関で行ったとし て診療録に不実記載し、保険医療機関に診療報酬を不正に請求させていた。
- 算定要件を満たさない診療報酬を保険医療機関に不当に請求させていた。
これらは、保険医又は保険薬剤師の責務を定めた健康保険法第72条第1項並びに保険医療 機関等の責務を定めた国民健康保険法第40条第1項及び高齢者の医療の確保に関する法律 第65条に違反する。
3 不正・不当請求の事実が判明した経緯
東海北陸厚生局指導監査課に、名古屋市健康福祉局保健医療課を経由して、名古屋市東区で 受診しているにもかかわらず、医療費通知に受診したことのないみよし市の歯科診療所の名前が記載されている旨の情報提供があった。
個別指導を実施したところ、持参を指定した持参物に不足があったこと及び技工指示書と診療報酬明細書の材料名が一致しないことについて、明確な説明が得られなかったことから個別指導を中断した。
患者調査を実施した結果、名古屋市内の歯科診療所を受診したことがあるが名古屋市以外では 歯科診療を受けたことがない、との回答を得た。
個別指導を再開し、患者調査の回答をもとに、みよし市に所在する「はっとり歯科」に通院歴がな い旨を回答した患者に係る診療報酬の請求について明確な説明を得ることができず、保険医療機 関として指定を受けていない場所で行った診療を保険医療機関である「はっとり歯科」で行ったもの として診療報酬の請求を行っていることが疑われたため、個別指導を中止し、監査において事実確 認を行い、元保険医療機関の事故で示した事実及び保険医の事故で示した事実が判明した。
4 監査において確認した不正・不当請求額
監査で判明した不正件数、金額は次のとおり。
不正請求 25名(実質24名) 93件(実質93件) 735,412円
不当請求 6名(実質 6名) 11件(実質11件) 35,315円
(監査対象期間:平成24年4月~平成24年12月診療分)
5 行政処分等の年月日
平成26年12月11日 取消相当となった日から5年を経過するまでの間に、再指定の申請があった場合は保険医療機 関として著しく不適当と認め再指定を行わない。
また、保険医の再登録は、原則としてこの日より 5年間は受けられず、保険診療ができない。
6 行政処分の根拠法令
- 保険医療機関又は保険薬局の指定の取消しを定めた健康保険法第80条第1号、第2号、 第3号、第6号
- 保険医又は保険薬剤師の登録の取消しを定めた健康保険法第81条第1号、第3号
歯科の指導・監査から生活・家族・関係者を守る
多かれ少なかれ指導・監査に不安を抱いている歯科医師は多い。
しかし、多くの歯科医師は相談できる相手がいないため、診療で忙しい日々に独自に一人で対応する場合が多い。
そのため、辻褄を合わすために技工所に指示書や納品書の改ざんを指示したりする場合も多いが、この場合は「取消」で済む話ではなく「詐欺」として刑事事件に発展する。
指導・監査は任意調査であるのに対し、事件となれば調査は強制なので当然、厳しいものになる。
「正しい対応」と「相談相手」
個別指導でしっかりと対応しなけば、述べ複数回にもなる監査に繋がる。
個別指導から監査へと移行する場合は、今回のようなに明らかな不正がある場合だけではない。意図しないミスや「言いがかり」ともいえる理由でも実施される。
また、何よりも個別指導や監査での技官は非常に高圧的で、結果が見えない中で長期間・複数回の監査が続く状況は、計り知れないほどの精神的負担を伴う。事実、そのことで自殺にまで追い込まれた医師も存在するのだから。
指導・監査は不正請求の疑いを抱かれているためだ。そのような歯科医師に対して世間の見る目は冷ややかだ。このような状況にある歯科医師へのテクニカル的なアドバイスや、何よりも相談できる相手がいると居ないのとでは、日々の不安や精神ストレス、指導・監査の結果は全く違ったものとなる。
指導・監査の対策マニュアル
是非、私たちが提供する保険医療機関の指導・監査の対策マニュアルをご活用いただき、保険医の指定は勿論、生活・家族・関係者の事業と生活を守っていただきたい。
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