あなたは、歯医者さんによって技術は天と地ほどの差があることをご存じだろうか?
そして、あなたは技術の高い(上手い)歯医者さんを見極めることができるだろうか?
「歯医者なんか何処もほとんど同じ」と思い、自宅から近いということや、優しそう、歯科医院がキレイなどの理由で歯医者選びをする患者さんは非常に多い。
しかし、
1、合わない、違和感のある義歯を装着され、
2、口の中は長年かけてどんどんボロボロになり、
3、そのことから、歯科医療費の負担も大きくなる
私は、歯科技工士として長年、歯科医療の技術面から多くの歯医者を見てきた。そのことから確実に言えることは、「技術が無い歯医者には絶対に行きたくない」ということだ。
※歯科技工士とは、義歯を製作する職人のことで、ほとんどの義歯は歯科技工士が一つ一つ手作りで制作している。
歯は一度失うと再生できない。自分の歯は一度失うと取り戻すことはできない。歯医者選びを間違えると取り返しのつかないことになるということだ。
そのことから、歯科技工士という立場から、確かな技術を持った歯医者さん選びで困っている方のお役に立つ情報を、この記事ではご提供したい。
目次
何故、歯医者によって技術は天と地ほどの差があるのか?
まず、歯医者を目指し、歯医者となる人たちがどういった者たちなのかを考えていただきたい。
口の中は、髪の毛が1本入っても気持ち悪い。その歯を治療する歯医者は職人に近い。歯医者は知識も必要だが、最も重要なことはその知識を治療技術でしっかりと表現できるかということだ。歯科治療は本当に細かな作業なのだ。
しかし、歯医者という職業に就く多くは、器用なので歯医者になるという者はほとんどいない。かと言って医師の様に「人の命を救いたい」という崇高な志をもって歯医者となる者も珍しい。
歯医者になる理由は
- 儲かりそう
- 医療制度に守られ、安定してそう
- 「先生」と呼ばれ、地位を得ることができる
といった理由で歯医者となる。
そして、高額な学費を納めることができれば入学・卒業できる私立歯学部が多いため、歯医者の息子・娘といった2世歯医者や、3世歯医者といった歯医者が多く、世襲制のような状況にある。
そのため、その中からたまたま器用さとセンスを持った歯医者を選ぶ必要がある。ただ、思い出してほしい。学生時に、図画工作や美術などで高い評価とセンスを持った生徒がどれ程いただろうか?
おそらく、ほんの一握りの生徒であったと思う。その生徒が歯医者となった場合は、高い技術をもった歯医者となっているであろう。しかし、そのような者が歯医者となる確率は極めて低い。それどころか、
「普通に器用」といった歯医者も少なく、不思議なことなのだが「不器用な歯医者」の方が圧倒的に多い。
当然だが、ミクロン単位で歯を削り、かみ合わせを調整する職業が歯医者だ。不器用な者が歯科治療を行うと、どのような悲惨な結果を招くのかは想像できると思う。
歯医者に必要な技術とは
歯科治療において歯科医の役割は大きい。そして、歯医者の技術力により、良くも悪くも治療結果とその後の経過に大きな違いが生じる。
歯医者の行う作業は様々だが、直接、技術力の影響を受ける治療は大きく分けると以下の3つといえるだろう。
- 歯を削る・抜く技術
- 歯型を採る技術
- 患者さんの本来の歯を正確に復元し、咬合(嚙み合わせ)を調整する技術
繰り返しになるが、人間は一度失った歯は再生しない。義歯により復元するしか方法は無い。そのため、歯医者にとって最も重要な治療技術がこの基本的な3つだ。
いくら歯科医院を好立地な場所で構えても、最新の歯科医療機器を揃えても、院内を豪華でキレイにしても、この3つの基本技術が無ければ全く意味がない。
技術が無ければ、患者さんは歯科医療による利益を得ることはできない。患者さんは歯科医療で最大の利益を得る権利がある。
なぜなら、保険治療においては全国一律料金で、歯科医療費負担は全く同だ。全く同じ料金であれば、より技術の優れた歯医者さんを選ぶことはあたりまえの権利だ。
月々に高額な保険料を支払い、治療の度に高い窓口負担を支払うのだから。技術の高い歯医者を選べない不利益は計り知れない。
1、歯を削る・抜く技術
歯を削る技術は、歯医者さんの技術力が最も分かる治療技術だ。では、歯を削る技術が何故そんなに大事なのか?
虫歯などの治療では
①歯を削り、虫歯部分を除去する
②削った歯に、被せ物の義歯を装着する
③装着した義歯の嚙み合わせを調整する
というステップで治療が行われる。
その治療過程の中で「歯を削る」という技術では、虫歯の部分を削り完全に除去することは言うまでもない。
しかし、それだけではいけない。「歯を削る」ということで最も重要なことは、削った後に被せ物がピッタリと装着できるように削ることだ。
また、削合前の患者さんの歯を全く同じ状態に義歯で再生できるように削る技術や、想像力が歯医者には必要だ。
この「ピッタリと装着できるように削る」という技術は想像以上に難しい。なめらかな面できれいな形状で、義歯が装着できるスペースをしっかり確保できるように削る必要がある。
この削った後が、ガタガタの面であればピッタリと装着できる義歯を作ることは不可能だ。様々なモノのキャップで想像していただくと分かりやすい。
キャップを装着する面がガタガタであれば、しっかりと装着できる義歯を作るのは不可能だ。
ペットボトルのキャップ装着部分のスクリュー面がガタガタであれば、ピッタリと閉まるキャップは作ることは不可能だ。ペットボトル内の水は漏れ出すことになる。
歯を削る技術は基礎工事
歯で言えば、削り方が悪ければ、その後に装着する義歯がズレて装着され嚙み合わせがおかしくなる。
さらに、ピッタリ装着できていない隙間の部分から食べかすや虫歯菌が入り込むことで、再び虫歯になり再治療を繰り返すこととなる。
「歯を削る」技術は、建物で言う基礎の部分だ。この基礎工事がしっかりとできていなければ、その後の作業でいくらいい治療を行っても、この技術力不足をカバーすることはできない。
2、歯型を採る技術
歯を削ったら、次はその歯型を採る。歯型を採る理由は、この歯形を元に歯科技工士が義歯を作るためだ。
実はこの「歯型を採」る技術にも歯医者さんによって大きな差がある。せっかく「歯を削る」という治療を正確に行ったにも関わらず、「歯型を採」る技術が劣っていると、「歯を削る」治療を正確に行った意味が全くなくなる。
何故なら、義歯は歯医者さんが口の中で直接作るのではなく、この歯型を元に歯科技工士が製作するからだ。
歯科技工士はこの歯型が正確なければ、どう頑張っても良い義歯はつくることができない。歯型が正確でなければ、義歯の出来上がりは正確でない歯型をもとに忠実に再現され出来上がる。
そのため、歯型がそもそも正確でなければ、正確でない歯型をもとに歯科技工物が作られるため、必然的に正確でない歯科技工物が出来上がってしまう。
実はこのことが分かっていない歯科医師は驚くほどに多い。そのため、「歯科技工士が不良な義歯を作ってきた」と責任転換をする歯医者がほとんどだ。しかし、日本の歯科技工士の技術は間違いなく世界トップレベルで、歯科医師、歯科衛生士と比べてもグローバルに活躍する人数は比べ物にならない程に多い。
3、患者さんの本来の歯を正確に復元し、咬合(嚙み合わせ)を調整する技術
本来の歯を正確に復元する技術
義歯は基本的に患者さんの本来あった歯を正確に復元することで、患者さんの歯の様々な機能を回復する人工臓器だ。
そのため、もともとの歯の大きさや特徴、かみ合わせなどを周囲の歯や写真などを参考に正確に義歯として復元する。
その義歯の制度は、歯科技工士の技術次第ということだ。そのため、歯医者さんが提携する歯科技工士(所)がどういった歯科技工士(所)なのかが最も重要となる。
- 患者さんには義歯を製作する歯科技工士(所)が知らされていない
- 患者さん自身が、歯科技工士(所)を選び、義歯製作を直接依頼できるシステムが構築されていない
そのことで、ほとんどの歯医者では最高の技術によって作られた義歯ではなく、経費削減として安物義歯が提供されている。
安物義歯には安い理由がある。当然、技術力などはないことから、このような事件の報告が多くある。参考はこちら👉無資格で歯科技工物を製作!200以上の歯科医院で患者に装着
義歯の精度は、治療を受けた歯医者と歯科技工士(所)の技術力により天と地ほどの差がある。よく保険治療と自費治療(保険が効かない高額治療)の治療の精度の差などが言われるが、高い技術力の歯医者と歯科技工士(所)が連携して行えば、保険と自費の治療精度の差などほとんどない。違いがあるのは、ほとんどは義歯の材料の違いだ。
咬合(嚙み合わせ)を調整する技術
最後に義歯が出来上がったら、実際に口の中への装着となる。その最終調整は歯科医師が行うが、この調整も非常に繊細なものだ。
ここでポイントとなるのが、義歯の種類(被せ物(差し歯、銀歯、ブリッジなど)と、入れ歯)の調整の違いだ。
入れ歯の最終調整は、歯科医師の腕次第という感じだ。
しかし、被せ物(差し歯、銀歯、ブリッジなど)に関しては、これまでの歯科医師の技術と、実際に歯科技工物を製作する歯科技工士の技術が確かであれば、実際に歯科技工物を口の中に装着したときに、全く違和感がない。そして、ほとんどの場合は、ほぼ無調整で装着される。
まとめ
歯医者さんの技術が確かなものか確かめるには、
- 歯を削る・抜く技術
- 歯型を採る技術
- 患者さんの本来の歯を正確に復元し、咬合(嚙み合わせ)を調整する技術
の各段階で技術や丁寧さを確かめることで確認することができる。専門知識を持ち合わせていない患者さんが「歯医者の技術」を確かめるのは難しいが、是非、参考にしていただきたい。
ただ、残念なことにほとんどの歯医者さんが「良い歯医者」といえる技術にないという現実を痛感することとなってしまう可能性が非常に高い。
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