鹿児島県鹿児島市紫原3丁目31-30 アリマビル1Fのしのはら歯科クリニック(篠原 英明(しのはら ひであき))が診療報酬を不正に請求し得ていたことから保険医療機関の指定取消処分となりました。
不正内容は以下の通り
- 実際には行っていない保険診療を行ったものとして、診療報酬を不正に請求していた。(架空請求)
- 実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して、診療報酬を不正に請求していた。(付増請求)
- 実際に行った保険診療を保険点数の高い別の診療に振り替えて、診療報酬を不正に請求していた。(振替請求)
- 自費診療として患者から費用を受領しているにもかかわらず、同診療を保険診療したかのように装い、診療報酬を不正に請求していた。(二重請求)
- 保険診療と認められないものを、保険診療を行ったものとして診療報酬を不正に請求していた。(その他の請求)
- 算定要件を満たさない医学管理等、画像診断及び処置の診療報酬を不当に請求していた。(不当請求)
保険医療機関の指定の取消及び保険医の登録の取消について(平成29年11月1日付)(PDF:99KB)
平成29年11発1日 九州厚生局
目次
しのはら歯科クリニック➔個別指導➔監査➔取消処分
保険医療機関の指定の取消及び保険医の登録の取消
厚生労働省九州厚生局は、平成29年11月1日付けで、保険医療機関に対する指定 の取消処分及び保険医に対する登録の取消処分を行いました。
この処分は、実際に行った保険診療を保険点数の高い別の診療に振り替えて請求する など、診療報酬を不正に請求したことによるものです。
(不正・不当請求額 約84万円) なお、今回の処分にあたっては、平成29年10月25日に開催された九州地方社会 保険医療協議会に諮問を行い、諮問のとおりの答申がなされています。
1.保険医療機関の指定の取消処分及び保険医の登録の取消処分
(1) 指定取消となる保険医療機関
- 名称 しのはら歯科クリニック
- 所在地 鹿児島県鹿児島市紫原3丁目31-30 アリマビル1F
- 開設者 篠原 英明 (しのはら ひであき)
- 指定取消日 平成29年11月1日
(2) 登録取消となる保険医
- 氏名 篠原 英明 (しのはら ひであき) 52歳
- 登録取消日 平成29年11月1日
2.根拠条文
(1) 保険医療機関の指定取消
・ 健康保険法第80条第1号、第2号、第3号及び第6号
(2) 保険医の登録取消
・ 健康保険法第81条第1号及び第3号
3.診療報酬の不正及び不当請求
不正・不当請求に係るレセプト件数及び金額 (平成25年4月~平成28年4月)
- 不正請求 18名分 レセプト 54件 820,927円
- 不当請求 7名分 レセプト 12件 20,174円
- 合 計 25名分 レセプト 66件 841,101円 (19名分) (60件)
※( )内は、患者実人数及びレセプト実件数である。
(注) 上記の件数及び金額は、監査で確認したもののみを計上しており、最終的な不 正・不当請求の件数及び金額は、今後精査していくこととしているので、現時点 では確定していない。
4.取消処分の主な理由
(1) 不正請求
① 架空請求
実際には行っていない保険診療を行ったものとして、診療報酬を不正に請求 していた。
《 具体的事例 》
実際には行っていない歯科再診料、指導管理及び有床義歯の製作に係る費用 等を請求していた。
② 付増請求
実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して、診療報酬を不 正に請求していた。
《 具体的事例 》
行っていない歯科エックス線撮影、鋳造バーの費用を請求していた。
③ 振替請求
実際に行った保険診療を保険点数の高い別の診療に振り替えて、診療報酬を 不正に請求していた。
《 具体的事例 》
インレーを全部金属冠として請求していた。 等
④ 二重請求
自費診療として患者から費用を受領しているにもかかわらず、同診療を保険 診療したかのように装い、診療報酬を不正に請求していた。
《 具体的事例 》
実際には保険適用外の材料であるジルコニア又はセラミックを使用した歯 冠修復又はブリッジ製作及び装着し、患者から費用を受領しているにもかか わらず、保険適用の前装金属冠又はブリッジとして請求していた。 等
⑤ その他の請求
保険診療と認められないものを、保険診療を行ったものとして診療報酬を不 正に請求していた。
《 具体的事例 》
実際には小臼歯に保険適用外のレジン前装金属冠を使用した歯冠修復物又 はブリッジを製作及び装着したにもかかわらず、保険適用の全部金属冠を使用 した歯冠修復物又はブリッジを製作及び装着したとして請求していた。 等
(2) 不当請求
算定要件を満たさない医学管理等、画像診断及び処置の診療報酬を不当に請求 3 していた。
5.監査を行うに至った経緯等
- 平成28年4月、診療報酬の不正請求に係る情報提供があったため、平成28年 8月4日に個別指導を実施したところ、請求された材料とは異なる材料の使用が疑 われたこと、また、技工納品書等の資料が一部未持参であったため個別指導を中断 した。
- その後患者調査を実施し、平成28年9月15日に個別指導を再開したところ、 篠原歯科医師が、自費として費用を徴収した補綴物を、保険診療を行ったとしてイ ンレー又は前装金属冠の費用を請求していた事実の他、複数の不適切な診療報酬の請求を認めたことから、個別指導を中止し、追加の患者調査を行った。
- 患者調査の結果と診療報酬の請求内容とが相違し、診療報酬を不正に請求していたことが強く疑われたため、平成28年11月2日から平成29年2月2日まで計3回、延べ4日間の監査を実施した。
歯科の指導・監査から生活・家族・関係者を守る
多かれ少なかれ指導・監査に不安を抱いている歯科医師は多い。
しかし、多くの歯科医師は相談できる相手がいないため、診療で忙しい日々に独自に一人で対応する場合が多い。
そのため、辻褄を合わすために技工所に指示書や納品書の改ざんを指示したりする場合も多いが、この場合は「取消」で済む話ではなく「詐欺」として刑事事件に発展する。
指導・監査は任意調査であるのに対し、事件となれば調査は強制なので当然、厳しいものになる。
「正しい対応」と「相談相手」
個別指導でしっかりと対応しなけば、述べ複数回にもなる監査に繋がる。
個別指導から監査へと移行する場合は、今回のようなに明らかな不正がある場合だけではない。意図しないミスや「言いがかり」ともいえる理由でも実施される。
また、何よりも個別指導や監査での技官は非常に高圧的で、結果が見えない中で長期間・複数回の監査が続く状況は、計り知れないほどの精神的負担を伴う。事実、そのことで自殺にまで追い込まれた医師も存在するのだから。
指導・監査は不正請求の疑いを抱かれているためだ。そのような歯科医師に対して世間の見る目は冷ややかだ。このような状況にある歯科医師へのテクニカル的なアドバイスや、何よりも相談できる相手がいると居ないのとでは、日々の不安や精神ストレス、指導・監査の結果は全く違ったものとなる。
指導・監査の対策マニュアル
是非、私たちが提供する保険医療機関の指導・監査の対策マニュアルをご活用いただき、保険医の指定は勿論、生活・家族・関係者の事業と生活を守っていただきたい。
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