大分県別府市亀川中央町5-38の豊島歯科医院(豊島 達也(とよしま たつや))が診療報酬を不正に請求し得ていたことから保険医療機関の指定取消処分となりました。
不正内容は以下の通り
- 実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して診療報酬を不正 に請求していた。(付増請求)
- 実際に行った保険診療を保険点数の高い別の診療に振り替えて診療報酬を不 正に請求していた。(振替請求)
- 自費診療として患者から費用を受領しているにもかかわらず、同診療を保険 診療したかのように装い、診療報酬を不正に請求していた。( 二重請求)
- 実際には保険適用外である診療を保険適用である診療を行ったものとして、診療報酬を不正に請求していた。(その他の請求)
- 算定要件を満たさない医学管理等、処置、手術、歯冠修復及び欠損補綴に係る診療報酬を不当に請求していた。(不当請求)
保険医療機関の指定の取消及び保険医の登録の取消について(平成29年3月6日付)(PDF:95KB)
平成29年3月6日 九州厚生局
目次
豊島歯科医院➔個別指導➔監査➔取消処分
保険医療機関の指定の取消及び保険医の登録の取消
厚生労働省九州厚生局は、平成29年3月6日付けで、保険医療機関に対する指定の取消処分及び保険医に対する登録の取消処分を行いました。
この処分は、自費診療として患者から費用を受領しているにもかかわらず、保険でも請求するなど、診療報酬を不正に請求したことによるものです。
(不正・不当請求額 約145万円) なお、今回の処分にあたっては、平成28年10月19日に開催された九州地方社会保険医療協議会に諮問を行い、諮問のとおりの答申がなされています。
1.保険医療機関の指定の取消処分及び保険医の登録の取消処分
(1) 指定取消となる保険医療機関
- 名称 豊島歯科医院
- 所在地 大分県別府市亀川中央町5-38
- 開設者 豊島 達也(とよしま たつや)
- 指定取消日 平成29年3月6日
(2) 登録取消となる保険医
- 氏名 豊島 達也(とよしま たつや) 40歳
- 登録取消日 平成29年3月6日
2.根拠条文
- 保険医療機関の指定取消 ・ 健康保険法第80条第1号、第2号、第3号及び第6号
- 保険医の登録取消 ・ 健康保険法第81条第1号及び第3号
3.診療報酬の不正及び不当請求
監査において確認した不正・不当請求に係るレセプト件数及び金額 (平成26年10月~平成27年7月)
- 不正請求 27名分 レセプト 45件 1,393,615円
- 不当請求 29名分 レセプト 67件 59,758円
- 合 計 56名分 レセプト 112件 1,453,373円 (31名分) (69件)
※( )内は、患者実人数及びレセプト実件数である。
(注) 上記の件数及び金額は、監査で確認したもののみを計上しており、最終的な 不正・不当請求の件数及び金額は、今後精査していくこととしているので、現 時点では確定していない。
4.取消処分の主な理由
(1) 不正請求
① 付増請求
実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して診療報酬を不正 に請求していた。
《 具体的事例 》
実際には行っていない歯周病検査、歯周基本治療(スケーリング)、歯周基 本治療処置等を、行ったものとして請求していた。
② 振替請求
実際に行った保険診療を保険点数の高い別の診療に振り替えて診療報酬を不 正に請求していた。
《 具体的事例 》
支台歯が全部金属冠である前歯を含まないブリッジを、レジン前装金属冠 を支台歯とした前歯を含むブリッジとして請求していた。
③ 二重請求
自費診療として患者から費用を受領しているにもかかわらず、同診療を保険 診療したかのように装い、診療報酬を不正に請求していた。
《 具体的事例 》
保険適用外の材料であるセラミックを使用したブリッジ又は歯冠補綴物を、 保険適用のブリッジ又は歯冠補綴物として請求していた。
④ その他の請求
実際には保険適用外である診療を保険適用である診療を行ったものとして、診療報酬を不正に請求していた。
《 具体的事例 》
実際にはホワイトニング(自費診療)を行っているものについて、一連の保険診療をしたものとして請求していた。
(2) 不当請求
算定要件を満たさない医学管理等、処置、手術、歯冠修復及び欠損補綴に係る診療報酬を不当に請求していた。
5.監査を行うに至った経緯等
- 平成27年5月、九州厚生局大分事務所に「自費診療分(セラミック)で治療に来た患者について、自費診療分(セラミック)で治療したものを、他の治療をしたようにして保険請求も行われている。」との情報提供があった。
- 平成27年9月、当該保険医療機関に対し個別指導を実施したところ、豊島歯 科医師から、実際には自費診療を行い、患者から自費診療分の支払いを受けていたにもかかわらず、これら患者に係る保険請求を行った旨の回答がなされた。
- しかしながら、指導当日に持参するよう依頼していた資料の一部が未持参であ ったことから、個別指導を中断した。
- 患者調査を実施したところ、口腔内診査所見と診療報酬明細書の記載内容とに相違する点がみられた。
- 平成27年12月、個別指導を再開したところ、豊島歯科医師が、自費診療を行った患者について、保険診療を行ったものとして診療報酬も請求していたことを改めて認めたことから不正請求が疑われ、個別指導を中止した。
歯科の指導・監査から生活・家族・関係者を守る
多かれ少なかれ指導・監査に不安を抱いている歯科医師は多い。
しかし、多くの歯科医師は相談できる相手がいないため、診療で忙しい日々に独自に一人で対応する場合が多い。
そのため、辻褄を合わすために技工所に指示書や納品書の改ざんを指示したりする場合も多いが、この場合は「取消」で済む話ではなく「詐欺」として刑事事件に発展する。
指導・監査は任意調査であるのに対し、事件となれば調査は強制なので当然、厳しいものになる。
「正しい対応」と「相談相手」
個別指導でしっかりと対応しなけば、述べ複数回にもなる監査に繋がる。
個別指導から監査へと移行する場合は、今回のようなに明らかな不正がある場合だけではない。意図しないミスや「言いがかり」ともいえる理由でも実施される。
また、何よりも個別指導や監査での技官は非常に高圧的で、結果が見えない中で長期間・複数回の監査が続く状況は、計り知れないほどの精神的負担を伴う。事実、そのことで自殺にまで追い込まれた医師も存在するのだから。
指導・監査は不正請求の疑いを抱かれているためだ。そのような歯科医師に対して世間の見る目は冷ややかだ。このような状況にある歯科医師へのテクニカル的なアドバイスや、何よりも相談できる相手がいると居ないのとでは、日々の不安や精神ストレス、指導・監査の結果は全く違ったものとなる。
指導・監査の対策マニュアル
是非、私たちが提供する保険医療機関の指導・監査の対策マニュアルをご活用いただき、保険医の指定は勿論、生活・家族・関係者の事業と生活を守っていただきたい。
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